突然の再会は痛みと共に
フラワードから帰ってきた深夜、会議室では本部の人達が慌ただしく動いている。その雰囲気に似合わないカノンがバルバの横で、のんびりしている
「素敵な人だった……って」
カノンがポツリ呟いた言葉に、バルバが気づく
「メイナちゃんが、あの女性から聞いたってまだ、落ち込んでいるよ」
「そうか……。クリル君は、どうしている?」
「部屋で寝ているよ。ノエル君と一緒だから大丈夫と思うけど」
あれからずっとうつ向いていたメイナ。その理由が分かって、何となく話が進まない
「ところで、フラワードはどうだったの?」
ちょっと離れたところで、隊員達と話をしていたダングに声をかけると、隊員と話を終えてこちらに来る
「土地は戻りつつあるな。花が咲くのには時間が掛かるだろうがな。魔術は誰がしたのか結局不明のまま……。学園はラックによると帰宅後に起こった様子だそうで、何が起きたかは分からないそうだ」
そう話ながらカノンとバルバに数枚資料等を渡すと、読み始める二人。それを見ながらダングは話を進めていく
「建て直しはすぐ出来るそうだが……」
と、ちょっと話が詰まる。何やらあまり良くない感じである
「何か問題でも?」
「いや、すぐに授業を再開するか否か揉めててな……」
バルバの質問に、ふぅ。とため息ついて答えるダング。大分揉めている様子。そんな時、会議室に聞き馴染みのある声が聞こえてきた
「すぐに再開は止めた方が良いよ」
「またすぐ壊れちゃうと思うからさ。建て直しも、もうちょっと待った方が良いよ」
声のする方に、会議室にいた全員が振り向く。笑顔で挨拶するアゼルを見て、カノンが睨むように見ている
「……何しに来たんだ?」
「んー?通り道だったから、ついでにね」
突然、カノンがアゼルを壁に押し付ける。一瞬の出来事に、全員動けないまま二人を見ている
「おい、カノン止めろ!」
バルバが叫ぶと、会議室がざわめきだす。まだ、笑顔のアゼルは焦ることなくカノンに睨まれたまま、話しかけていく
「久しぶりに会ったのに痛いじゃないか」
「二人が会えるのを待っている。分かってて色々動いているんだろう?」
アゼルを掴む手が段々と強くなっていく。それでもまだ余裕そうに笑顔で、見つめあっている。二人の雰囲気に会議室にいる人々の表情が強張っていく
「待てカノン、落ち着け」
バルバに話しかけられても離さないまま。仕方なしにダングとバルバに無理矢理離されても、睨みつけ落ち着かない。それを見ていてもアゼルは笑ってカノンに話しかける
「そうだよ、落ち着いて。僕はカノンと喧嘩をする為に来た訳じゃないんだからさ」




