二人の歌に、思いを乗せて
「後程、クリル君とメイナちゃんから話を聞いてみようか」
「そうだな。だがまず……」
会議室にカノンを残して、二人は話し合いをしながら、本部の廊下を歩いている
「あっ、バルバさん、ダングさん。どこ行くの?」
玄関近くのソファーにいたリエルとメイナが、二人を見つけて声をかける
「今からフラワードに調査だよ」
「私も行く!」
バルバがそう話すと、メイナが答えにすぐ反応して答える
「メイナ、ダメだよ。邪魔になっちゃう」
「でも……」
リエルがメイナを宥めていると、バルバとダングが何やら相談を始めだした
「クリル君とノエル君は、どこに?」
「ずっと見てないからお部屋に居ると思うよ」
バルバが二人に質問するとリエルが答えて、その内容に考え始める
「カリアは見たのかい?」
「うん、お部屋で寝てるよ。さっき来たから、まだ寝てると思う」
今度はダンクが質問して、それにはメイナが答えた。二 人の話を聞いて、また相談し始めたバルバとダング。しばらく話し合い、バルバが二人に声をかける
「……一緒に行くかい?」
「良いの?」
「ああ、だがクリル君とノエル君も一緒にな」
許可を貰って嬉しそうなリエル。言い出したメイナは複雑そうな様子。そんな二人を見ながら、ダングが振り向き来た道を戻ろうとしていた
「じゃあ、カノンに話してくる。その後、二人を呼んでくる。ちょっと待っててくれ」
後にするダングを見送りながら、バルバもソファーに座る。出掛けられることで、一気にご機嫌になったリエルが、歌を唄い始めると、つられてメイナも一緒に唄い始めた
「その歌……」
聞き覚えのある曲に、唄い続ける二人を見て驚て思わず声が出る。その声にリエルが気づいて、更に嬉しそうな顔になっている
「やっぱりバルバさんも知ってるんだ!」
「ああ、もちろん。マリヤの歌だね」
「うん、メイナも知ってたんだよ」
また楽しそうに唄い、ノエル達をリエルとメイナ。その隣で、バルバが微笑んで二人を見守っている
「懐かしい歌だな……」
三人の回りで通り過ぎていく本部の人達が、二人の歌声に声をかけたり懐かしんだりしている。その様子を見て、バルバがマリヤを思い出していた
「マリヤの願いは叶っているのかもしれないな……」




