誰かが壊した学園と魔力
学園に到着すると辺りは人だかりで溢れ、中に入れず本部の隊員が、集まった人達を学園から離れるように誘導している
「メイナどこだ!」
「リエル!どこ!」
人混みの中、大声を上げ二人手分けして探し回っても見当たらない
「状況はどうなっていますか?」
カノンは、先に来ていた隊員達に状況を聞きにノエル達から離れていく。人混みからの声や隊員達の声に、学園の回りは更にパニックになっていく
「いた。お兄ちゃん、ここだよ」
クリルの声が聞こえたメイナが、手を大きく振ってクリルを呼ぶ。声に気づいてクリルとノエルが大急ぎで人混みをかき分けながら駆け寄っていく
「メイナ、大丈夫か!」
「うん。でも、学園が……」
元気そうな様子に、ホッとするクリル。側にいるリエルに気づいたノエルも、駆け寄っていく
「リエルも良かった」
傷はなさそうなリエルにノエルも安心した様子で、ホッとしいている
「カリア。何があったのですか?」
カノンもノエル達の所に駆け寄り、すぐにカリアに学園の事を聞くが、カリアも状況が読めない様子で近くにいる隊員に話を聞いていた
「私達は先程までタストスに居ました。今日は休校日だったそうで、学園見学はしていません。なので、学園で何があったとかは何も……」
そう話しているうちに、バルバ達も学園に到着し全員揃った所で、更に人混みが増している。人波にリエルがはぐれそうになり、ノエルが辛うじて助けたのを見て、カノンがカリアを呼ぶ
「カリアはとりあえず、四人と本部へ戻るように。話はまた後で。ノエル君クリル君、良いかね?」
「どの程度なら治せそうだ?」
学園から森にある小屋に帰ってきた三人。またフラワード同様、傷だらけになっている。傷を治そうにも、今は午後の為、治療が出来ない代わりにラックが治療をしている
「擦り傷程度なら治せるが……深い傷はムリだな」
「仕方ない。午前になるまでは死なないよう耐えるんだな」
今は、見守る事しかできない状況にため息をつく。そのため息を聞いて、治療を受けながら段々不機嫌になっていく
「不便だよね、本当。すぐ治してくれてもいいのにさ……」
「現状は仕方ないだろ。学園の様子を見に行くから、寝ておくんだな」
大怪我といえど元気そうな様子に安心して、一人出掛ける準備を始めていく
「ラックも行くの?」
「いや、お前が死なないよう見張っておく……」
そう言って側にある椅子に座り、珈琲を一口飲む。一人きりではないと分かって、嬉しそうな様子に、ラックは対照的に嫌そうな様子
「後は本部だよね。どうかなぁ?」
傷の痛みも何のその、ご機嫌で話をかけても二人は浮かない表情
「学園程度でこうなるなら止めておけ。魔力も相当消費して、ほぼ無いだろう」
ラックの否定的な言葉に、ガバッと突然起き上がる
「ダメだよ。やる前に諦めたら。せっかく見えてきたんだし」
「しかしだな……」
話しているそばから傷口が少し開いたのか、少し苦悶な表情になっている。まだ午後になったばかり。治療するには、まだまだ時間がかかる。見守るしかできない二人。それに気づいて、今度は笑う
「大丈夫だ。僕にはマリヤがついている」




