キミだけしか見えない
―高知 智弘side―
ボクの大好きなヒトが。
今日もボクのお部屋の模様替えをしに来ている。
「とりあえず、テーブルとソファと、中古だけど、TV・冷蔵庫・ガスコンロは、友達のツテで安く入手出来たし。後は……」
おっきい荷物のお山の前で、なにやら真剣に、ブツブツ呟いている大好きなヒトの背中。
えへへ!!
大好きな人がいるだけで、お部屋の中がお花畑にいるみたいに、ポカポカ暖かく感じるなぁ。
「んー、なぁ智弘先輩。カーテンの色だけどさ。ホントにこんな、なんていうか、その、女の子が好きそうな、可愛い系のパステルイエローで良いの?」
「うん! 大好きなとーま君のね、キラキラした色なの」
「……そうっスか」
カアッと耳まで真っ赤になった可愛らしいとーま君。
ボクの“大好き”っていう言葉に、未だ過剰反応する所がとーま君らしくって、益々大大だ~い好きになってしまっている。
そんなボクに、家でも学校でも、毎日会いに来てくれる優しい、とーま君。
きっとボクの身体が弱いから。
心配して来てくれているんだろうけど。
(いつかボクの大好きって気持ちと同じく、とーま君もボクの事、大大だ~い好きになってくれたら、嬉しいな!)
あの運命の出会いをした日。
倒れていたボクを見て、すぐに差し伸べてくれたあったかい手。
小さいけどあったかい背中の感触に、首元から漂う石鹸の香り。
的確にボクの気持ちを酌みとってくれる、愛情に満ち溢れた優しい瞳。
(ボクは、それが忘れられなくって、とーま君を探して見つけた)
そう、あの運命の出会いから。
数か月の時を経て。
夢じゃないホンモノのとーま君と、愛に溢れたお話を部屋で交わしてから――数週間。
ボクは変わらず時間が許す限り、とーま君を見つめていた。
そうすると、とーま君は必ず振り返って、笑顔をボクに向けてくれるから。
「……」
ほら、
今も、ね?
「……智弘先輩」
振り向いてニコッて笑ってくれるんだ。
「んー? へへ、なぁに?」
同じように笑顔を返したボク。
じぃっとボクを見つめながら、目の前まで近付いて来たとーま君。
何かを決心したように、唇を噛むと、おもむろに話し始めた。
「俺も、先輩といると……ですね」
「うん?」
「その、このカーテンの色みたいな、気持ちになれます!」
そう言ったとーま君は、これでもかって位に、顔中真っ赤にしてボクの肩に頬を乗せると、愛の言葉を一言囁いてくれた。
「……とーま君!!」
嬉しくなったボクは、恥ずかしがるとーま君の唇や首筋に、何度もキスの雨を降らせるのだった。
■終■
閉鎖したフォレストさまからレスキューした過去作品です




