母、来訪。その2
ふて寝?した未来はさておき…正直いって、美咲さんに対して、憧れはあるものの…苦手だ。
「あの…美咲さん、どこいってたんですか?自分の娘ほっといて…」
未来をほったらかしにしている彼女の母親を若干睨みつつ、話を聞く。
「仕事だよ、仕事。ちゃんと養育費と店の資金出してやってんだろ?」
「うっ…そうですけど、そうじゃなくて!仕事って何してるんですか?」
すると美咲はひとしきり唸ったあと、黙って考え込んでしまった。そんなに、説明難しい職業なのか?
「まぁ…あれだな。世界に償っている罪人の監視かぁ…」
「からかってるんですか?いくらなんでもそれはひどくないですか?」
「からかってないよ。事実だ。だけれど何も知らない一般人である君には分からなくて当然だ。だから気にするな。いいな?」
むっ…ヤベェ、美咲さん怒らせちゃったか。もう雰囲気からしてプンスカしている…のが分かればいいんだけど、ニコニコ笑顔なのがより怖い。
え?何故怒らせたのがわかったかって?そんなの決まってんだろ。俺の呼び方が『恒輝』→『君』に変わったからだよ。名前を呼ばなくなったら怒った証拠。
「…分かったよ。で、今日はどんな御用で?」
「私は未来に…『後刻屋』に用があるんだ。正確には、こいつが後刻屋に用があるんだとさ」
と、後ろで、美咲さんとの壮絶?な言い争いの末、言い負けて、思いっきりへこんでいるクリちゃんを指した。
「うぅ…なんで、いつも勝てないんだよぉ…ぐすっ」
あーあ、泣いてんじゃん。いくら罪人?といえど泣かしちゃダメでしょ。
「泣いてなんかないしっ!!」
「君はナチュラルに心を勝手に読まないでくれるかな?」
ちょっと…どころか、相当焦ったよ。心って読むものじゃないよね?
「んじゃ、起こしてきます」
二人にそう告げ、座敷に横たわっている未来を揺すった。
「起きろー、起きないと晩御飯なしだぞー、ほら!起きた起きた」
揺すっても全然反応してくれない。もしかして、もう起きているんじゃないかと思って、顔を覗いてみると案の定、起きていた。
「…(むっすー‼)」
「おはよう?」
「…………(むっすー‼!!)」
え、なんか、むくれてらっしゃる。なんで?…あれか、美咲さんがクリちゃんと仲良さげな空気をずっと出してるからかな?どうなんだろう?
「……そうじゃないよ。そんなの別にどうだっていいよ…」
「…どうやったら、人の心を読めるのかな?」
まじで、怖いんだけど((( ;゜Д゜)))ガタガタ。
「鈍感野郎め…察してやれよ」
うわっ…びっくりした~。
「急に話しかけないで?ね、クリちゃん」
「クリちゃん言うな。鈍感クソ野郎」
もっと酷くなった……。てか、鈍感言うな。
「はぁ……仕方ねぇな」
「はっはーん、何カッコつけちゃってんの?ぷーくすくす」
「ちょっと黙ってて、美咲さん」
「へーい」
この人見かけによらず、子供っぽいんだよなぁ…まぁ、年齢の割には若く見えるんだけどな。なんでこの人20代に見えるんだろ?もう16になる娘もいるのに。
閑話休題。
「未来、起きて。…あのな、確かにお前の」
「…お前じゃない」
「あぁ…ごめん。未来のお母さんにずっと…今も憧れてるよ。だけどね、未来。俺は憧れだけでなにもない。他にもっと大事な気持ちが出来たからね、未来。ふてくされてないで、起きて。1つだけなんでも言うこと聞いてあげるからさ…」
と、耳のそばでそうささやいた。話し始める前より後の方がなんか熱気がスゴイ。未来の顔も赤くなってる。風邪ひいた?
「なんでも?」
「なんでも」
「…分かったよ」
「ありがとう」
ふぅー……だああぁぁぁぁああ!!めっちゃ恥ずかしいんだけど!?俺なにしてんの?
「ヒューヒュー、わぁーなに人の娘口説いてんのよ、このこの~♪」
「止めてください…我に帰るとめっちゃ恥ずかしいんですから…」
あぁぁぁぁぁああああああ‼ほんともう‼ほんとなんなの俺!?
「で、ご用件はなんでしょう、クリミネルさん」
「な、なんだよ…急にキャラ変わったな…」
「仕事モードに入ったんだよ」
「で、ご用件は…」
「あぁ…えぇっと…」
クリちゃんは、少し頭のなかを整理してから言いはなった。
『あたしの…償いの旅は、いつ終わるんだ?』
「それは…」
どーもどーも、鵺織深尋でございます。
いやー、皆さんは新しい環境…新しい生活に慣れましたかでしょうか?
私は未だに慣れておりません。やはり、相手の事をよく知らないっていうのは怖いですね。些細な事で傷つけてしまうかもしれないと思うとやっぱり怖いですね。
さて、クリちゃんの依頼がやっと出てきましたが、未来の答えは次回です。(次の更新は未定ですが…)
クリちゃんの言った『償いの旅』…犯してしまった罪とは?
次回の内容はそんな感じ(になる予定)です。
ではでは、また次回もよろしくお願いしますm(_ _)m