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最終話その2  思い出す日々

俺は…

「起きることにするよ」

「そうか…じゃあ、さよならだな」

「全然事態も呑み込めてないっていうか何言ってんのって思いましたけど、やっぱり本来ここにいちゃいけないってなんとなくわかるんです」

「まぁ、今日はまだここにいてもらうわけだが、今日が終わって寝れば明日にはもう帰れる。いいかえれば突然とはいえ今日中にお別れ会でも開くかい?」

「大丈夫です。いつも通り…てわけにもいかないですけど、普段通りに過ごします」

どうせ忘れてしまうならいつも通り過ごして…


ーそして、今日が終わるー


一日過ごして考えてた。

忘れてしまうなら無意味なのではないかと

なかったことになるなら、無駄ではなかったのかと


でも、俺にとっては忘れがたい大切な思い出だ。

たとえ偽物だったとしても


忘れてしまうと美咲さんは言った。

けど、なんとなく…根拠はないけど、きっと覚えてる。

そんな気がするんだ。


ーー俺は、眠りについたーー

目が覚めるとそこは知らない天井が…

「………っ!?えっ!?目が……覚めたの?お医者様…お医者様を呼んできて!」

声のする方を見ると、頬を紅くしたかわいらしい少女が慌てていた。

見覚えはない。誰なんだろうこの子は。

反対のほうを見ると、日が高く昇っていた。

………そうか。昼か。

お医者様…ここは病院か。

なんで……あぁ、そっか。あの日、事故にあって…。

事故……助けようとして、引かれたんだっけ。

じゃあ、この子は……

「君の………名前、は……」

「名前…私のっ!名前は…愛澄といいます。その、助けていただきありがとうございましたっ!!」

………愛澄か、どこかで……。

「はい、古崎恒輝さんですね。意識は……ありますね。光彩反応も…ありますね。よかったですね、無事に目が覚めましたよ」

「そう、ですかぁ…ほんとうによかったぁ……」

「では…。あっと」

おそらく俺の担当医の去り際。

「病室内ではお静かにね」

「はーい…」

と静かに愛澄は返事をした。


その後数か月の内にみるみる回復していった。


あの未曾有の事故から2年……

リハビリも終わり、喫茶店のオーナーに挨拶しに行こうと家を出る。

「恒輝さん。戸締りしましたか?」

半年前から愛澄ちゃんとは付き合っている。

事故にあったのは私のせいだと謝罪を繰り返す彼女が、付き合ってほしいと言ってきた。

付き合ってくれなくてもいいから、そばにいたいとそう告げる彼女に、俺は、


「罪悪感でそういってるなら、同情はいらないよ。事故にあったのは俺の勝手だ。気にするな」

と、彼女を突き放した。贖罪のつもりだとしたら、俺にとっても愛澄ちゃんにとっても、わだかまりが残るだけだ。


「あの日、恒輝さんを巻き込んでしまったこと、ずっと後悔してました。謝りたいと思ってました。また、会いたいと思ってました…。本当は、あの事故私のせいなんです」

「え?」

「あの日、おぼえてますか?車が突っ込んでくる直前、目が合ったこと」

「そういえば……なんか視線感じて、振り向いた気がする」

「私、恒輝さんを街中で見かけて、目で追ってたら、車に轢かれちゃったんですよ」

「そうだったんだ…」

「次に、お店に行ったとき告白しようと思ってたんですよ。結局叶わなかったんですけどね。目が覚めたとき、うれしくて………でも、恒輝さんの時間を奪ったんだって気付いて…体にも傷をつけちゃって…申し訳なくて……」

「俺は、気にしてないよ。もともと無茶したんだし当然じゃないかなぁ?」

「いえ…私のせいなんです。だから決めたんです。今決めたんです。ずっとお側にいます」

「………やめときなって言いたいところだけど、拒否権は?」

「ないです。なんて言われようとずっと一緒です」

「はぁ…、親御さんにはちゃんと伝えた?」

「伝えました。むしろそうしなさいと言ってました」

「根回し済みかぁ……好きにしたらー。はぁ…」


なんやかんやで、付き合うことに…

なんて思い出してたら喫茶店についた。

「すいませーん。オーナーいますかー?」

「はいはい…おや、恒輝君じゃないか。もう大丈夫なのかい?」

「ええ、おかげさまで」

「そうかい、それはよかった。ところで、恒輝君。この店を継ぐ気はないかね?」

「え、俺ただのバイトなんですけど」

「いやぁ、僕も年だからねぇ…もう閉めようかって思ってるんだけど、どうせならって思ってね」

「え、でも」

「そうかー、じゃあしょうがないなぁ、店じまいかねぇ…」

「…わかりました。やります」

これはひどい。継がなきゃ仕事なくなるっていう。

「ところで、愛澄ちゃんは元気かい?」

「元気だよー。おじいちゃん」

「ん?え?オーナーがおじいちゃん?ん!?」

「愛澄ちゃんは僕の孫だよ。だいぶ前から恒輝君のこと気に入ってたみたいだけど、うまくいったのかい?」

「もちろん。ぬふふ」


愛澄がオーナーの孫だってわかったところで喫茶店を継ぐことが決まった。


そして喫茶店を継ぎ、半年がたつ。

妙に手慣れた手つきで、コーヒーを淹れる。

「2年たっても慣れてるもんか…」

ちょっと違和感はあるけど、いまいち思い出せないし。

さて、新メニューのカレーでも作ろうか。あいつ、好きみたいだし。

「なぁ、あすみー」

「ん?」

「カレー好きだったろ?食べる?」

「?カレーそんなに好きじゃないけど?」

「……あっ。えぇ?ぁあ!!」

「恒輝さん、どうしたの?」

そっか…妙に手慣れてるのも、カレーを作ろうとするのもそっか。

向こうでずっとやってきたもんな、未来。

1年もたっちゃったけど、思い出したぞ。

どうせまた会えるしな。

次は70年後くらいかな…。

「いや、なんでもない。ちょっとした夢を思い出してな」

「どんな夢?」

「なーいしょ。いつか見れる夢だからそん時まで待ってなー」

「えーなにー?教えてよー」

「教えなーい」

「うー、教えてくれてもいいじゃーん」

「そんなことより、カレー作ったけど食べる?」

ごめん忘れてた。てっきり投稿したものかと……みっちゃんです。

いやーながかったですねぇ。やっと最終回です。

若干無理くり終わらせた感ありますけど、最後まで読んでくださりありがとうございました。

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