侵食
バキンッ!
ガキンッ!
「おおお!」
「遅い!」
決戦に向けて調整とも言える手合わせをしていた我狼とリオンだが…
ベキンッ!!
「うおっ!?」
「わわわっ!?」
「なんや!?」
我狼とリオンの奇声(?)を聞いた涼雅が鍛冶屋から飛び出す。
すると…
ビュン!!
「ぎゃああああああああああ!!!」
何かが顔に向かって物凄い速さで飛んできた。
ズドン!
「………(汗)」
頭をかすり鍛冶屋の壁に突き刺さったのは…
「太刀が…折れた…(汗)」我狼の唖然とした声。
自分の頭の上の折れた太刀の刃。
折れた太刀…自分が打った太刀…
「我狼の…我狼の…」
(まずい…(汗))
(涼雅さんが…!)
涼雅からなんか黒いオーラが出てる。
ダッ!!
そのオーラが出始めた瞬間我狼がダッシュで逃げた。
「我狼の阿呆ぉぉぉぉぉぉ!!!」
「いっ!?」
ズドォン!!
涼雅の爆発魔法。
「ぐお!」
吹き飛ばされる我狼。
だが着地する所はさすが。
だが一発で終わるはずもなく。
ズドドドォン!!!
「うおおおおお!!?」
「私知りません…。何も見てません…。先生の悲鳴が聞こえるとか気のせい気のせい。」
目の前の出来事を直視出来ないリオン。~1時間~
「最悪や…わいの魂が…」
ズモモモと黒いオーラを放出し続ける涼雅。
「…はあ…。」
戦いの前にボロボロの我狼。
「お疲れ様でーす」
現実逃避をして何事も無かった様に爽やかな笑顔で水を渡してくるリオンが恨めしい。
「大体手入れもせずにあんな風に使っとったらそりゃ折れるわ…」
「「……(汗)」」
相変わらずブルーな涼雅。
「涼雅…」
「なんやー(泣)」
「直すとしたら何日かかる?」
「根元から折れとるから1週間はかかるでー。直そうとも思わへんけどなー(泣)」
「1週間か…。」
「先生。涼雅さん復活する気配ありませんよ?」
心配そうなリオン。
「それは心配無い。」
「へ?」
言い切った我狼。
不思議に思うリオン。
「涼雅。」
「なんやねーん(泣)」
「煮干し1パックでどうだ。」
「乗ったぁぁぁ!!!」
涼雅即復活。
(ええぇぇぇ~…)
リオン、顔がひきつってる。
「いいんですか…?あれ…」
「あいつは煮干しがあれば何でも出来る。」
「…ああいう人って人生幸せそうですね。」
「ひゃほぉぉい!!」
「…人生幸せに生きた奴が勝ちだ。」
「…そうですね。」
切にそう思ったリオンだった。「直ったでー!!」
数日後涼雅が太刀を持ってきた。
かなりご機嫌で。
「ご苦労様でーす」
「煮干し!煮干しどこや!?」
「……。」
我狼が黙って煮干しのパックを差し出す。
「煮干しっ!」
煮干しを受けとる涼雅。
「…本当に幸せそうですね。」
「…それが奴の取り柄だ。」
「煮干し美味っ!」
「「……。」」
我狼が呆れた目で涼雅を見ている中…
(本当に美味しいのかな…?)
涼雅の煮干し好きに密かに感染されつつあるリオンだった。その日の夜。
「なあ、我狼。」
「…なんだ。」
リオンが涼雅の与えた自室に戻った時涼雅が我狼に話しかけた。
我狼は月を眺めていた。
「お前ギロルを倒したらどうするんや?」
「倒したら…か…。」
「無計画かいな…(呆)」
「倒せるかどうかも…分からない状態ではな。」
苦笑する我狼に涼雅は言う。
「ネガティブっちゅうか…悲観的っちゅうか…そんなんやから幸せ逃げるんやで~。」
「…お前が楽観的すぎる。」
「悲観的よりはいいと思うんやけど。」
「言ってろ。関西人被れ。」
「…わい泣きそう…(泣)」
そんな涼雅にため息をつきながら我狼は立ち上がった。
「少し出てくる。」
「なんや?満月見ると血が騒ぐんか?狼だけに。」
「斬るぞ。」
「ゴメンナサイ。」
無表情で殺気を飛ばす我狼は物凄く怖い。
背中を向けた我狼に今度は何も言わずに見送った涼雅であった。我狼はリオンと涼雅に嘘をついていた。
『これで…全てだ』
「ぐ…おお…!」
リオンと涼雅に言ってなかった事がある。
誰にも見つかる事の無い林の中で左腕の痛みに耐える。
「…ッ」
「この…化け物の左腕も…隠しきれなくなってきたか…。」
我狼1人だけが分かっていた。
ギロルに再会し、戦った時、虎の合成獣の牙に塗ってあったのは自分の中の狼の力を強くする薬…。
現に1度狼に意識をもっていかれ合成獣となりリオンと涼雅を傷つけた。
リオンと涼雅に言っていなかったのは…
自分の中にいる狼の力を抑え、自分が合成獣になるのを耐えている事。
そして今も我狼の左腕は異様な形をしている。
獣…いや、本人の言うとおり化け物の様な左腕。
狼に左腕が侵食されているのが分かる。
爪は鋭く伸び、狼によって自分の意思とは裏腹に動かされる。
「~~~!!」
定期的に訪れるこの時間。
だが今回はいつもと違った。
「侵食が終わっても元に戻らない…か。」
いつもは侵食が終わると人間の腕に直るのだが…
我狼の左腕は化け物のままだった。
満月が綺麗に輝いていた。「……。」
こちらは鍛冶屋のリオン。
リオンも満月を眺めていた。
(これで…ギロルを倒したら…)
(先生と涼雅さんと…3人で暮らせたらいいな。)
自然と口元に笑みが浮かんだ。
だが…
「!!」
ビッ…!
リオンの首筋には冷たい刃。
「…我狼だったら私の首筋にも刃を当てていただろうが…。僅かに発した殺気に反応するとは…さすがだな。」
「…何故貴方が…。」
リオンに刃を向けたのはギロル。
リオンには何故ここにギロルが居るのか分からなかった。
「フッ…気配を消しながら来た甲斐があった。」
「……。」
「リオン…自分の過去を知りたくないか?」
「何故貴方がそれを…!?」
自分が記憶喪失だと言う事は我狼と涼雅しか知らない。
「少し…な。自分の過去が知りたければ私についてこい。」
「…素直に着いていくとでも?」
鋭い眼差しのリオン。
「君が必要だ…。我狼を殺すために…。」
「素直に着いて来ないなら…連れていく。力づくでな…。」
リオンの蒼い瞳にギロルの赤い瞳がうつった。(…なんだ?)
鍛冶屋に戻り、左腕を隠すため包帯を巻いていた我狼だったが…
(…嫌な予感がする…。)
ガタン!
「!」
突然の物音。
しかも物音がしたのはリオンの部屋。
リオンはもう寝ているハズだ。
まさか。
(…まさか…!)
「リオン!リオン入るぞ!!」
ドアを開ける。
そこは…
荒れた室内。
そしてリオンとは違う茶色の髪の毛。
「クソッ…!!」
リオンがギロルに連れ去られたのは明らかだった。
作者の怜でございますはい。
予告通りにならなくてすいません。
前半はギャグ。後半はシリアスにしてみました。(上手く出来たか分かりませんが…。)
ここで捕捉的な物を加えておきますね。
我狼の左腕は獣の様な形ってありますけど肉球はありませんからね!!←
肉球あったら物掴めませんから!!
悠輝さんがリクエストしてくれた我狼とリオンの一年前の話はこの小説が終わった後、最終話の後に投稿しようと思います。
それまですいませんがお待ち下さいm(_ _)m
今回はおまけもありますよ~(^o^)/
~おまけ~
涼「我狼!どういう事や!?」
我「…なんだ。」
涼「この煮干し…!!」
我「その煮干しがどうした。減塩タイプだぞ。」
涼「ちゃうんや…!!この煮干し…ッ!!」
涼「国産や無いんやぁぁぁ!!(叫)」
我「……。」
涼「……。」
我「国産かぁ…。」
涼「国産や。」
我「輸入品じゃ駄目なのか…。」
涼「駄目や。」
我「…そうか。」
涼「次回から頼むで。(バリボリ)」
我(輸入品でも食ってるだろ…。)
我狼さんはもう涼雅さんの煮干し好き過ぎる症を諦めてれば良いと思います(笑)




