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異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第III部: 試練と葛藤

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第99話: 襲撃

侯爵様と愛を確かめ合ってから、数時間後。


私は自室で休んでいた。侯爵様は隣の部屋で書類に目を通している。いつでも駆けつけられるように——彼はそう言っていた。


静かな夜。


窓の外では、月が綺麗に輝いている。


——このまま、平和な夜が続けばいい。


そう願っていた。


その時——


キィィィィィン!


甲高い警報音が、屋敷中に響き渡った。


「!」


私は飛び起きた。


扉が勢いよく開き、侯爵様が駆け込んできた。


「エリアナ!」


「侯爵様!」


「襲撃だ。結社の刺客が侵入した」


侯爵様の表情は、厳しかった。


「私から離れるな」


「はい!」


私たちは廊下に出た。


---


屋敷の中は、混乱していた。


メイドたちが避難し、衛兵たちが警戒している。


「侯爵様!」


フィリップさんが駆けつけてきた。刀を抜き、臨戦態勢だ。


「状況は?」


「刺客は5名。全員、結社の戦闘員です。目的は——エリアナ様の捕獲と思われます」


私の捕獲——。


背筋が凍った。


「エリアナを守れ。最優先だ」


「承知」


その時、窓ガラスが割れた。


「!」


黒い服を着た人影が、飛び込んできた。


刺客だ。


「エリアナ!」


侯爵様が私を庇った。


刺客は鋭い目で私を見つめ、短剣を構えた。


「転生者——いただく」


低い声が響いた。


「させるか!」


侯爵様が魔法を放った。炎の球が刺客に迫る。


刺客は素早く避け、壁を蹴って跳躍した。


「くっ——」


侯爵様が追撃しようとした瞬間、別の刺客が現れた。


「侯爵様、後ろ!」


フィリップさんが叫んだ。


---


戦闘が始まった。


侯爵様とフィリップさんが、刺客たちと戦っている。


私は——何もできない。


ただ、震えることしかできない。


「エリアナ様!」


リリーが駆けつけてきた。彼女も剣を抜いている。


「リリー!」


「大丈夫ですか?」


「はい——でも」


その時、刺客の一人が私に向かって跳躍した。


「危ない!」


リリーが私の前に立ちはだかった。


ガキィン!


刺客の短剣と、リリーの剣が交錯した。


「エリアナ様は——渡さない!」


リリーが叫んだ。


「リリー......」


私は語り箱を取り出した。こんな時こそ——。


> 敵の動きを予測する方法は?


【ことり】

*************

確率: 65%


戦闘分析を開始します。敵の攻撃パターンから、次の標的は左側からの奇襲が予測されます。


3秒後、窓際から追加の侵入者が来る可能性が高いです。警戒してください。

*************

[魔力: 140/150] (-10)


「左側——窓際!」


私は叫んだ。


「!」


侯爵様が振り向いた瞬間、窓から新たな刺客が飛び込んできた。


「やはり!」


侯爵様は即座に魔法を放った。炎の壁が刺客を遮る。


「エリアナ、よくやった!」


「はい!」


ことりの助言が——功を奏した。


---


しかし、刺客たちは訓練されていた。


次々と攻撃を仕掛けてくる。


「くっ——」


リリーが刺客の攻撃を受け止める。


でも——その瞬間。


別の刺客の短剣が、リリーの腕をかすめた。


「!」


血が飛び散った。


「リリー!」


私は叫んだ。


「大丈夫——かすり傷よ」


リリーは強がったが、明らかに痛みを堪えている。


「リリー......」


「心配しないで。エリアナ様を守るのが、私の役目だから」


リリーは笑顔を見せた。


でも——その笑顔の裏に、痛みが見える。


「もう——」


私の中で、何かが弾けた。


「もう、誰も傷つけさせない!」


私は魔法を放った。


光の矢が、刺客に向かって飛んでいく。


刺客は避けようとしたが——


光の矢は、正確に刺客の武器を弾き飛ばした。


「!」


刺客が動揺する。


その隙に、侯爵様とフィリップさんが攻撃を加えた。


「撤退だ!」


刺客のリーダーが叫んだ。


刺客たちは素早く窓から飛び出し、闇に消えていった。


---


戦闘が終わった。


静寂が戻る。


「リリー、大丈夫?」


私はリリーに駆け寄った。


「はい——少し痛いですけど、大したことないです」


「そんな——血が......」


「本当に大丈夫です」


リリーは微笑んだ。


「エリアナ様が無事なら、それでいいんです」


その言葉に、涙が溢れた。


「ごめんなさい——私のせいで」


「違いますよ」


リリーは私の手を取った。


「エリアナ様は何も悪くない。悪いのは、結社です」


「リリー......」


「だから——泣かないでください」


侯爵様が私たちの傍に来た。


「リリー、手当てを受けろ」


「はい、侯爵様」


リリーはメイドに連れられて、医務室へ向かった。


---


私は侯爵様の胸に顔を埋めた。


「侯爵様......」


「大丈夫だ。もう終わった」


侯爵様は私を優しく抱きしめた。


「よく頑張った。君の助言のおかげで、被害を最小限に抑えられた」


「でも——リリーが......」


「彼女は大丈夫だ。軽傷だ」


侯爵様は私の頭を撫でた。


「君が無事で——本当に良かった」


「私も——皆さんが無事で、良かったです」


私たちはしばらく、抱き合っていた。


戦闘の興奮が冷めていく。


代わりに、疲労が押し寄せてきた。


「エリアナ、休もう」


「はい」


侯爵様は私を部屋まで送ってくれた。


---


部屋に戻り、ベッドに横になると——


侯爵様が隣に座った。


「今夜は、ここにいる」


「え......」


「君を一人にはできない」


侯爵様は優しく微笑んだ。


「安心して眠ってくれ」


「......ありがとうございます」


私は目を閉じた。


でも——頭の中は、さっきの戦闘でいっぱいだった。


リリーの血。刺客の冷たい目。襲撃の恐怖。


「エリアナ」


侯爵様が私の手を取った。


「大丈夫だ。私がいる」


その言葉に——少しずつ、心が落ち着いていった。


「侯爵様......」


「ん?」


「もう誰も——傷つけさせたくない」


「私もだ」


侯爵様の声は、強かった。


「これから——結社を止める」


「はい」


私は頷いた。


「もう——逃げない」


「君は強い、エリアナ」


侯爵様は私の頭を撫でた。


「今日の戦いで、それがよく分かった」


「ありがとうございます」


私は侯爵様の手を、強く握った。


温かい。彼の手は、いつも温かい。


この温もりが——私を守ってくれる。


「おやすみ、エリアナ」


「おやすみなさい、侯爵様」


私は目を閉じた。


侯爵様の手を握ったまま——私は、ゆっくりと眠りについた。

**次回予告**


襲撃を退けたエリアナたち。しかし、これは始まりに過ぎなかった。屋敷に戻り、最終決戦への準備が始まる——。


第100話「第III部終章」は今夜19時公開予定です。


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