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【第III部 開始】異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第I部: 到着と発見

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第9話: 図書室の秘密

昨夜のことが忘れられず、今日も図書室で調査を続けることにした。


ルシア・ヴァンヘルシング。


この名前が、全ての謎の中心にあるような気がする。


---


図書室の奥の棚を、丁寧に探す。


古い魔法理論書、研究論文、日記...


そして、ある本の間に挟まれた数ページを見つけた。


「これは...」


ルシアの筆跡だ。前に見た日記と同じ、几帳面な文字。


『意識の転送実験 記録 No.47』


「意識の転送...?」


前世の記憶が蘇る。現代日本で議論されていた技術。意識のデジタル化、アップロード...


『器への定着率: 78% 成功』


『次の段階は完全な自律性の獲得』


心臓が激しく鳴る。


これは...前世の世界で夢だった技術と、同じことをしているんじゃないか?


魔法とテクノロジー。異なる世界の、でも同じ目標。


「ことり...」


語り箱を取り出す。


---


【ことり】

*************

こんにちは、エリアナ様。

*************

[魔力: 55/60]


> ルシア様の研究について教えてください。意識の転送という実験について、何か知っていますか?


質問を入力すると、いつもより長い沈黙。


通常はすぐに返答が来るのに。


そして、ようやく表示される文字。


【ことり】

*************

...情報を処理中...


申し訳ありません。この件については十分な情報がありません。

*************

[魔力: 45/60] (-10)


おかしい。


いつもなら「確率: XX%」と表示されるのに、今回はない。


まるで、答えを避けているような...


「ことり、あなたは...」


もう一度聞こうとしたけれど、やめた。


もしかしたら、答えられない理由があるのかもしれない。


---


昼食の時間。


侯爵様と向かい合って座る。


「侯爵様」


「はい?」


「ルシア様は、研究者だったと聞きましたが...どんな研究をされていたんですか?」


侯爵様の表情が、一瞬曇る。


「...優れた魔法研究者でした」


メイド長が気を利かせて「デザートをお持ちします」と席を外す。


二人きりになる。


「ルシアは、意識と魔法の関係を研究していました」


侯爵様の声が、少し震えている。


「彼女の研究は革新的でしたが...危険でもあった」


「どんな研究だったんですか?」


侯爵様は、少し躊躇した後。


「いずれお話しします。今はまだ...時ではありません」


悲しげな表情。


「失礼しました」


これ以上聞くのは、侯爵様を傷つける気がする。


「いえ。あなたが知りたがるのは当然です。でも、順序というものがあります」


侯爵様の言葉は、優しかった。


---


午後、気分転換に侯爵様が散歩を提案してくれた。


庭園を歩く。


春の花々が咲いている。色とりどりで、美しい。


「この季節が一番好きです」


思わず言葉が出る。


「ルシアも、春が好きでした」


侯爵様が、遠くを見つめる。


「この庭園を、よく散歩していました」


二人で、花々を眺めながら歩く。


穏やかな時間だ。


---


夜、部屋に戻って日記に記録を書く。


今日得た情報。


「意識の転送」「器への定着」


前世の知識: 意識のデジタル化、AIへのアップロード。


ことりの異常な反応。


そして、侯爵様の「特別」という言葉。


点と線が、少しずつ繋がっていく気がする。


でも、まだ全体像は見えない。


> ことり、あなたは本当は何なんですか?


【ことり】

*************

私は...語り箱、ことりです。それ以上のことは、今は申し上げられません。

*************

[魔力: 45/60]


やはり、何か隠している。


でも、無理に聞き出すのは違う気がする。


侯爵様も、ことりも。


それぞれに理由があって、まだ話せないんだ。


焦らず、待とう。


いつか、全ての真実が明らかになる日が来る。


そう信じて。


窓の外を見ると、満月が美しく輝いている。


静かな夜。


明日は、何が待っているんだろう。


少しの不安と、たくさんの期待を抱えて。


私は眠りについた。

**次回予告**

友人リリアから手紙が届く。王都での政治的緊張と、侯爵家への奇妙な噂。そして、エリアナはある違和感に気づく...侯爵の外見年齢の謎が浮上する。


第10話「王都からの手紙と気づき」をお楽しみに!

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