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【第III部 開始】異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第III部: 試練と葛藤

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第88話: 舞踏会

馬車が王宮に到着した。


窓の外を見ると、煌びやかな建物が夜空に聳えている。無数の窓から光が溢れ、まるで星が地上に降りてきたようだ。


「綺麗...」


思わず呟くと、侯爵様が微笑んだ。


「これからもっと綺麗なものが見られる」


馬車のドアが開き、侯爵様が先に降りる。そして手を差し出してくれた。


「お嬢様」


その優雅な仕草に、ドキリとする。


私は侯爵様の手を取り、馬車を降りた。


青いドレスの裾が、石畳に広がる。


「行こう」


侯爵様が私の手を取り、腕にかけてくれる。エスコートされて、王宮の入口へ向かう。


周囲には他の貴族たちもいて、皆が華やかな装いをしている。女性たちの宝石が、男性たちの勲章が、光を反射して輝いている。


「緊張するか?」


侯爵様が小声で尋ねる。


「少し」


正直に答えると、侯爵様が優しく笑った。


「大丈夫。私がいる」


その言葉に、少し安心した。


---


王宮の大広間に入ると、息を呑んだ。


天井から吊るされた巨大なシャンデリアが、無数の光を放っている。壁には金の装飾が施され、大理石の床が鏡のように輝いている。


オーケストラが優雅な曲を奏で、人々が笑い、語らい、踊っている。


「わあ...」


圧倒される美しさだ。


前世でこんな場所に来たことはなかった。システムエンジニアとして、パソコンの前で過ごす日々。こんな華やかな世界とは無縁だった。


でも今、私はここにいる。


侯爵様と一緒に。


「エリアナ」


侯爵様が私の手を取る。


「踊らないか」


「えっ、私、あまり上手じゃ...」


「大丈夫。私がリードする」


侯爵様が微笑み、私をダンスフロアへ導く。


---


オーケストラが新しい曲を始める。


ワルツだ。


侯爵様が私の腰に手を置き、もう一方の手で私の手を取る。


「リラックスして」


侯爵様の声が優しい。


音楽が流れ、侯爵様がステップを踏む。


私はそれに合わせて動く。


最初はぎこちなかったけれど、侯爵様のリードが完璧で、自然と体が動く。


一歩、二歩、三歩。


回転する。


ドレスの裾が広がる。


周囲の景色が流れていく。


気づくと、もう周りのことは気にならなくなっていた。


侯爵様の瞳だけが、私を見つめている。


他の人々の姿が消えていく。


音楽だけが聞こえる。


侯爵様の手の温もりだけが感じられる。


二人だけの世界。


「君は美しい」


侯爵様が囁く。


「ありがとう、ございます」


「いや、本当のことだ」


侯爵様の腕が、少し強く私を抱きしめる。


胸が高鳴る。


音楽が、私たちを包み込む。


この瞬間が、永遠に続けばいいのに。


---


曲が終わり、周囲から拍手が起こった。


私たちはダンスフロアを離れ、テラスへ出た。


夜風が心地よい。


街の明かりが、遠くに見える。


「疲れたか?」


侯爵様が尋ねる。


「いいえ。楽しかったです」


本音だ。


「そうか」


侯爵様が安堵したように微笑む。


私たちは手すりにもたれて、夜空を見上げた。


星が輝いている。


「ずっとこうしていたい」


私が呟くと、侯爵様が驚いたように私を見た。


「...本当に?」


「はい」


私は頷いた。


侯爵様の表情が、柔らかくなる。


「私もだ」


侯爵様が私の手を取る。


「エリアナ、君と一緒にいると、時間を忘れる」


「私も、です」


私たちは見つめ合う。


侯爵様の瞳が、月の光を反射している。


「この舞踏会に君を誘えて、良かった」


「私も、来られて良かったです」


風が吹き、髪が揺れる。


侯爵様が優しく髪を整えてくれた。


その手が、頬に触れる。


ドキリとする。


「エリアナ」


侯爵様が私の名前を呼ぶ。


「はい」


「君は...」


侯爵様が何か言いかけて、でも言葉を飲み込んだ。


そして、ただ微笑んだ。


「いや、今日は言わない」


「...?」


侯爵様の手が、私の手を優しく握る。


「いつか、必ず伝える」


その言葉の意味が、何となく分かる気がした。


胸が温かくなる。


私たちは再び、星空を見上げた。


---


舞踏会は深夜まで続いた。


帰りの馬車の中、私は少し眠くなっていた。


「疲れたか?」


侯爵様が尋ねる。


「少し」


私が答えると、侯爵様が肩を貸してくれた。


「寄りかかっていい」


「ありがとうございます」


私は侯爵様の肩に頭を預けた。


温かい。


安心する。


馬車の揺れが心地よい。


「今日は、ありがとうございました」


私が囁く。


「いや、こちらこそだ」


侯爵様の声が優しい。


「君と一緒に過ごせて、幸せだった」


その言葉に、胸がいっぱいになった。


「私も、幸せでした」


侯爵様の手が、私の手を握る。


私はそのまま、目を閉じた。


侯爵様の温もりを感じながら。


---


屋敷に戻り、部屋で一人になってから、ことりに相談した。


> 今日の舞踏会、本当に素敵だった。侯爵様と踊って、二人だけの世界みたいだった。これって...


【ことり】

*************

確率: 70%


あなたの感情は明確に「恋愛感情」の特徴を示しています。


1. 相手と一緒にいる時間を特別に感じる

2. 身体的接触(ダンス、手を繋ぐ)に強い感情的反応

3. 相手の言葉や行動を記憶し、繰り返し思い返す

4. 「永遠に続けばいい」という願望


これらはすべて、愛情の兆候です。


侯爵様もまた、同じ感情を抱いている可能性が非常に高いです。あなたはどうしたいですか?

*************

[魔力: 140/150] (-10)


ことりの分析を読んで、改めて実感する。


私は、侯爵様を愛している。


前世では経験しなかった感情。


誰かを好きになるって、こういうことなんだ。


ベッドに横になり、天井を見つめる。


侯爵様の笑顔が浮かぶ。


優しい声。


温かい手。


「いつか、必ず伝える」と言った侯爵様の言葉。


それは、もしかして...


胸が高鳴る。


窓の外、星が輝いている。


今日と同じ星空。


侯爵様と一緒に見た星空。


私も、いつか侯爵様に伝えたい。


この気持ちを。


目を閉じると、侯爵様と踊る記憶が蘇る。


幸せな記憶。


大切な記憶。


明日も、侯爵様に会える。


その考えだけで、心が温かくなった。

**次回予告**


舞踏会の翌日、噂が広がっていた。「侯爵様が若い魔法使いを伴って現れた」と。王宮の大広間で、侯爵様が私の手を取り、壇上へ。そして、驚くべき宣言をする。「皆さんにご紹介したい。彼女は私の大切な人だ」。会場がざわめく中、侯爵様の手が私を支える。「大丈夫。私がいる」。その強さに...


第89話: 宣言。

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