第87話: 舞踏会への招待
朝食の席で、侯爵様が一通の封筒を手にしていた。
「これは...」
侯爵様が封筒を開き、中を確認する。その表情が、少し驚いたように見えた。
「王都で大規模な舞踏会が開催されるらしい」
「舞踏会、ですか」
私も驚いて顔を上げた。
「ああ。王族主催の、年に一度の催しだ」
侯爵様が招待状を見せてくれる。金の縁取りがされた、豪華な招待状だ。
「エリアナ」
侯爵様が私の名前を呼ぶ。
「はい?」
「一緒に行かないか」
心臓が跳ねた。
「私、ですか?」
「ああ。君と一緒に行きたい」
侯爵様の視線が、真剣だ。
「喜んで」
私は微笑んで答えた。
侯爵様の顔に、安堵と喜びが浮かぶ。
「ありがとう」
その笑顔が、本当に嬉しそうで。
私の胸も、温かくなった。
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その日の午後、リリーが部屋に来た。
「エリアナ様! 舞踏会のお話を聞きました!」
リリーの目が輝いている。
「ええ、侯爵様が誘ってくださって」
「それは素敵ですわ! でも、ドレスは?」
「あ...」
そう言われて気づく。ドレスがない。
「大丈夫です。今から街へ参りましょう!」
リリーがにっこり笑う。
「街へ?」
「はい。王都には素敵なドレスショップがたくさんあります」
そうして、私たちは街へ繰り出すことになった。
馬車が屋敷の前に止まる。乗り込もうとした時、侯爵様が現れた。
「私も同行しよう」
「えっ、侯爵様も?」
「ああ。ドレス選びは大切だ」
侯爵様が微笑む。
リリーがこっそり私に耳打ちした。
「侯爵様、一緒に選びたいのですわね」
顔が熱くなる。
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王都のドレスショップは、華やかだった。
色とりどりのドレスが並び、宝石のようなビーズや刺繍が輝いている。
「わあ...」
思わず声が漏れた。
「どれもお似合いになりますわ」
リリーが嬉しそうに言う。
「まずは試着してみましょう」
リリーが次々とドレスを選び、私は試着室へ。
ピンクのドレス、白いドレス、緑のドレス。
どれも綺麗だけれど、しっくりこない。
試着室から出て、侯爵様に見せるたびに、侯爵様は頷いたり首を傾げたりする。
「似合うが、何か違う気がする」
侯爵様が呟く。
そして、店の奥から、侯爵様が一着のドレスを持ってきた。
「これは?」
深い青のドレスだ。
シンプルだけれど、品がある。夜空のような青が、光を受けて微かに輝いている。
「試してみてくれないか」
侯爵様が差し出すドレスを、私は受け取った。
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試着室で、青いドレスを着る。
鏡に映る自分が、知らない誰かに見えた。
深い青が、肌を美しく見せる。シンプルなデザインが、逆に優雅さを引き立てている。
「どう、ですかね」
試着室から出ると、リリーが息を呑んだ。
「素敵...」
そして、侯爵様が立ち上がった。
侯爵様の視線が、私に注がれる。
「...」
侯爵様が言葉を失っている。
「似合って、ますか?」
私が尋ねると、侯爵様はゆっくりと頷いた。
「ああ。完璧だ」
侯爵様が近づいてくる。
「君が一番美しい」
その言葉に、顔が真っ赤になった。
「あ、ありがとうございます」
リリーがにやにやしながら見ている。
「決まりですわね」
「ああ、これにしよう」
侯爵様がそう言って、店員に手続きを頼む。
私は鏡の前に立ったまま、自分の顔が赤いことに気づいた。
侯爵様の「君が一番美しい」という言葉が、胸の中で何度も響いている。
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ドレスを購入した後、リリーが提案した。
「カフェで休憩しませんか?」
「いい考えだ」
侯爵様が賛成し、私たちは近くのカフェへ入った。
紅茶とケーキを注文し、テーブルを囲む。
「素敵なドレスが見つかって良かったですわ」
リリーが嬉しそうに言う。
「ええ、ありがとうございます」
私が答えると、リリーが意味ありげに微笑んだ。
「でも、侯爵様があんなに見惚れるなんて」
「リリー」
侯爵様が軽く咎める。
「あら、本当のことですわ」
リリーが笑う。
「侯爵様、完全に惚れてらっしゃるわね」
「リリー!」
今度は私が叫んだ。
顔が熱い。
リリーはくすくす笑い、侯爵様も苦笑している。
「まあ、否定はしないが」
侯爵様の言葉に、私の心臓が跳ねた。
「えっ...」
侯爵様が私の目を見る。
「君は美しい。それは事実だ」
「あ、ありがとう、ございます」
私はうつむいて、紅茶を飲んだ。
温かい紅茶が、喉を通る。
でも、顔の熱さは収まらない。
リリーが満足そうに微笑み、三人で笑い合った。
窓の外には、午後の柔らかい光が差し込んでいる。
この時間が、とても幸せだ。
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屋敷に戻ってから、部屋でことりに相談した。
> 侯爵様が「君が一番美しい」って言ってくれた。これって、どういう意味なんだろう
【ことり】
*************
確率: 65%
言葉通りの意味と、それ以上の意味があると思われます。
「美しい」という表現は、外見だけでなく、存在そのものへの好意を示すことがあります。
侯爵様の行動パターン(ドレスを自ら選ぶ、見惚れる、直接的な褒め言葉)は、あなたへの特別な感情を示唆しています。
あなた自身は、侯爵様をどう思っていますか?
*************
[魔力: 140/150] (-10)
またことりが質問を返してきた。
私の気持ち。
侯爵様を、どう思っているのか。
窓の外を見る。夕日が沈みかけている。
侯爵様の笑顔が思い浮かぶ。
優しい声。真剣な眼差し。
「君が一番美しい」という言葉。
胸が温かくなる。
ドキドキする。
一緒にいると、安心する。
これは...
私も、侯爵様のことが。
ベッドに倒れ込んで、枕に顔を埋めた。
舞踏会が楽しみだ。
侯爵様と一緒に、あの青いドレスを着て。
考えただけで、胸が高鳴る。
私は恋をしているんだろうか。
前世では経験しなかった感情が、胸の中で膨らんでいく。
窓の外、星が輝き始めていた。
**次回予告**
いよいよ舞踏会の日が来た。王宮の大広間は、シャンデリアの光と音楽に満ちている。侯爵様が私の手を取り、ダンスフロアへ。優雅な曲に合わせて踊りながら、周囲が消えていく。侯爵様の腕の中で、私は幸せを感じる。「ずっとこうしていたい」。そう思った時、侯爵様が微笑んで...
第88話: 舞踏会。




