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【第III部完結】異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第I部: 到着と発見

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第8話: メイド長の鍵

朝食の準備をするメイド長を見ながら、ふと気づいた。


腰に下げている鍵。


他の使用人たちは普通の鍵を持っているけれど、メイド長の鍵は違う。


古びた銀色で、複雑な魔法の文様が彫られている。


魔法使いとしての感覚が、その鍵に反応する。


「これは、特別な鍵だ」


侯爵様も、その鍵を見ているけれど、何も言わない。


不思議だ。


---


午前中、廊下で掃除をしているメイド長に声をかけた。


「メイド長、少しお時間よろしいですか?」


「何でしょう、エリアナ様」


「長くこの屋敷で働いているんですか?」


メイド長は手を止めて、考えるように目を細める。


「30年以上になります」


「そんなに...」


「ええ。ルシア様...以前この屋敷におられた方にも仕えました」


ルシア、という名前に反応する。


「ルシア様って...」


メイド長の表情が、柔らかくなる。


「優しく、聡明な方でした。この屋敷を明るく照らしてくださった」


懐かしむような、でも少し悲しいような表情だ。


「15年前のあの日以来...」


言葉を濁す。


何か、聞いてはいけないことのような気がして、それ以上は聞けなかった。


「失礼しました」


「いえ。エリアナ様も、ルシア様と同じように、この屋敷を明るくしてくださっています」


メイド長の言葉に、少し驚く。


「ありがとうございます」


メイド長は静かに微笑んで、掃除を続けた。


---


図書室で、ことりに相談する。


【ことり】

*************

何かお悩みですか?

*************

[魔力: 45/60]


> メイド長とルシア様の関係について教えてください。メイド長は何か特別な秘密を守っているのでしょうか?


【ことり】

*************

確率: 85%


メイド長は重要な秘密を守っています。ルシア様の残した何かを管理している可能性が高いです。

*************

[魔力: 35/60] (-10)


やはり、そうなのか。


> それは西棟と関係していますか?


【ことり】

*************

確率: 72%


推測の範囲ですが、可能性があります。西棟には特別な場所がある可能性が示唆されます。

*************

[魔力: 25/60] (-10)


前世のSE経験から思い出す。「アクセス権限」という概念。


メイド長は、特別な権限を持っている。あの鍵がその証だ。


探求心が湧く。でも、勝手に調べるのは良くない気もする。


「どうしよう...」


---


夕方、侯爵様との訓練。


でも、メイド長のことが気になって、集中できない。


「エリアナさん」


侯爵様の声で我に返る。


「何か心配事ですか?」


優しい声だ。


「いえ、大丈夫です」


「無理をしないでください」


侯爵様は訓練を早めに切り上げてくれた。


そして、温かいココアを用意してくれる。


「疲れているようですね。今日はゆっくり休んでください」


カップを受け取る。甘くて、温かい。


「ありがとうございます」


侯爵様の優しさが、心に染みる。


この人は本当に、私のことを心配してくれている。


「何かあれば、いつでも相談してください」


「はい」


侯爵様の言葉に、心が温かくなる。


でも、メイド長のことを聞くのは...まだ早い気がする。


自分で、もう少し考えてみよう。


---


夜、眠れなくて窓の外を眺めていた。


すると、西棟の方向から微かな光が見える。


「誰かいる...?」


好奇心に負けて、部屋を出た。


廊下を慎重に進む。足音を立てないように。


西棟の入口近くまで来ると、人影が見えた。


メイド長だ。


例の鍵で、扉を開けている。


扉の奥から、魔力の気配がする。


メイド長が中に入り、扉が閉まる。


「やっぱり...何かある」


近づこうとした時、床がきしんだ。


「しまった!」


慌てて柱の陰に隠れる。


心臓が激しく鳴る。


しばらくじっとしていると、扉が開く音。


メイド長が出てきた。


私の方を一瞬見るけれど、何も言わずに去っていく。


気づかれなかった...のかな?


扉を見る。複雑な魔法の紋様が刻まれている。


あの鍵がないと、開けられないようだ。


「中に、何があるんだろう」


でも今は、入るわけにはいかない。


そっと自分の部屋に戻った。


---


ベッドに座り、今日のことを考える。


メイド長は、ルシア様の何かを守っている。


西棟の中に、それがある。


でも、なぜ隠すんだろう。


そして、侯爵様はそれを知っているのだろうか。


疑問ばかりが浮かぶ。


ことりを起動する。


【ことり】

*************

眠れませんか?

*************

[魔力: 35/60]


> メイド長が西棟に入るのを見ました。中には何があると思いますか?


【ことり】

*************

確率: 55%


ルシア様の遺品か、または重要な研究資料が保管されている可能性があります。ただし推測の域を出ません。

*************

[魔力: 35/60]


「ルシア様の遺品...」


だとしたら、メイド長が守るのも理解できる。


大切な方の思い出を、守っているんだ。


そう思うと、勝手に探すのは良くない気がする。


「でも、知りたい」


この気持ちをどうすればいいんだろう。


明日、図書室でルシア様についてもっと調べてみよう。


そう決めて、ベッドに横になった。


窓の外では、星が静かに輝いている。


この屋敷の秘密は、まだまだ深い。


でも、少しずつわかってきた気がする。


焦らず、ゆっくりと。


侯爵様の言葉を思い出す。


そうだ、焦らずに。


いつか、全ての真実が明らかになる日が来る。


そう信じて、目を閉じた。

**次回予告**

図書室でルシアの残した研究資料を発見するエリアナ。そこには驚くべき内容が記されていた。そして、侯爵との関係がさらに深まる重要な会話が...


第9話「図書室の秘密」をお楽しみに!

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