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【第III部 開始】異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第III部: 試練と葛藤

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第78話: 危機感と決意

朝日が、窓から差し込んできた。


でも、私は眠れなかった。昨夜の会議の内容が、頭の中を何度も巡っている。


世界の魔力支配計画。結社の恐るべき野望。そして、それを止めなければならない私たち。


「私たちで、本当に世界を救えるのだろうか」


その恐怖が、心を締め付けていた。


私は、ベッドから起き上がった。部屋の中を歩き回る。でも、不安は消えない。


前世では、SEとして小さなプロジェクトを担当していただけだ。世界を救うなんて、あまりにも大きすぎる。


私には、そんな力があるのだろうか。


---


私は、小さな水晶箱を手に取った。


> 私たちの勝算は、どのくらいですか?


【ことり】

*************

確率: 45%


現時点での勝算は決して高くありませんが、仲間と協力し、慎重に計画を実行すれば可能性はあります。


最も重要なのは、情報の精度と、チームワークです。一人で抱え込まず、信頼できる仲間と共に進むことが鍵となります。

*************

[魔力: 140/150]


確率45%。


それは、半分以下の確率だ。


でも、ことりは「可能性はある」と言ってくれた。仲間と協力すれば。


私は、水晶箱をそっと机に置いた。


一人で悩んでいても仕方ない。外の空気を吸おう。


---


庭園に出ると、朝の冷たい空気が肌に触れた。


草の上には、朝露が光っている。鳥のさえずりが、静かに響いている。


この美しい世界を、守りたい。


私は、深呼吸をした。


「エリアナ」


振り返ると、アレクサンダー様が立っていた。


「眠れなかったのか」


その優しい声に、思わず涙が溢れそうになった。


「はい...不安で」


アレクサンダー様が、隣に立った。


「無理もない。これから立ち向かうのは、世界規模の脅威だ」


彼の横顔を見つめた。この人も、きっと不安を抱えているはずだ。でも、それを表に出さず、私たちを支えてくれている。


「不安です。私たちで本当に世界を救えるのか、自信がありません」


正直な気持ちを、口にした。


アレクサンダー様は、私の肩に手を置いた。


「君一人じゃない。私も、フィリップスさんも、セレスティアさんも、皆がいる」


---


「でも、もし失敗したら――」


「失敗を恐れていたら、何もできない」


アレクサンダー様の言葉が、優しく響いた。


「大切なのは、諦めないことだ。君には、その強さがある」


その言葉に、胸が熱くなった。


「私に、そんな強さが?」


「ああ。君は、家族を捨てて転生した。それだけで、十分に強い」


前世の記憶が、頭をよぎる。


確かに、私は前世で家族と上手くいかず、孤独だった。そして、転生した。


でも、この世界で出会った人たちが、私に新しい家族をくれた。


「私にしかできないことが、あるんですよね」


アレクサンダー様が頷いた。


「転生者として、前世の知識がある。それは、誰にも真似できない強みだ」


「そして、君には優しさがある。人を信じる力がある」


その言葉に、涙が一粒、頬を伝った。


「私、この世界を救いたいです。大切な人たちを、守りたいです」


---


アレクサンダー様が、私を抱きしめてくれた。


温かい腕の中で、不安が少しずつ消えていく。


「一緒に戦おう、エリアナ」


その声が、耳元で優しく響いた。


「はい」


私は、彼の胸に顔を埋めた。この温もりが、私に勇気をくれる。


しばらくそうしていると、心が落ち着いてきた。


彼の心臓の音が、規則正しく聞こえる。その音が、私を安心させてくれる。


「ありがとうございます」


顔を上げると、アレクサンダー様が優しく微笑んでいた。


「君がいてくれて、私も心強い」


その言葉に、胸が高鳴った。


この人は、いつも私を支えてくれる。そして、私も、この人を支えたい。


---


「朝日を見よう」


アレクサンダー様が、東の空を指差した。


朝日が、ゆっくりと昇っていく。オレンジ色の光が、空を染めている。


「綺麗ですね」


「ああ。新しい一日の始まりだ」


その言葉に、希望が湧いてきた。


そうだ。これは、新しい一日の始まり。昨日の不安を引きずるのではなく、今日を精一杯生きよう。


「私、頑張ります」


アレクサンダー様が、私の手を握った。


「君なら、できる」


その手の温もりが、勇気をくれる。


鳥のさえずりが、また聞こえてきた。朝露が、草の上でキラキラと光っている。冷たい空気が、肺に入り込んでくる。


この世界は、こんなにも美しい。


この美しさを、守りたい。


---


庭園のベンチに座った。


アレクサンダー様も、隣に座る。


「君の前世の話を、もっと聞かせてくれないか」


その言葉に、私は少し驚いた。


「私の前世ですか?」


「ああ。君がどんな人生を送ってきたのか、知りたい」


私は、少し考えた。前世の記憶は、あまり幸せなものではない。でも、この人になら話せる気がした。


「私は、SEとして働いていました。システムエンジニアです」


「システムエンジニア?」


「コンピューターを使って、色々なシステムを作る仕事です」


アレクサンダー様が、興味深そうに聞いている。


「でも、仕事は忙しくて、家族とも上手くいかなくて。孤独でした」


その言葉を口にすると、少し胸が痛んだ。


「そうか。辛かったんだな」


アレクサンダー様が、私の手を握った。


「でも、この世界で君に出会えて良かった」


その言葉に、涙が溢れそうになった。


「私も、アレクサンダー様に出会えて良かったです」


---


朝日が、完全に昇った。


空は、青く晴れ渡っている。


「さあ、戻ろう」


アレクサンダー様が立ち上がった。


「今日から、本格的な準備が始まる」


私も、立ち上がった。


「はい」


不安はまだある。でも、諦めない。


私には、仲間がいる。この人がいる。


そして、私にしかできないことがある。


転生者として、この世界を救う使命がある。


「頑張ります」


アレクサンダー様が、優しく微笑んだ。


「君なら、大丈夫だ」


その言葉が、胸に深く響いた。


庭園を後にして、屋敷に戻る。


今日から、本当の戦いが始まる。


でも、私は一人じゃない。


この世界を、守ってみせる。

**次回予告**


決意を固めた私に、アレクサンダー様が自分の過去を語り始める。ルシアとの思い出、そして深い傷。私は、彼の苦しみを知り、もっと支えたいと思う――。第79話: 侯爵様の過去、次回もお楽しみに。

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