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【第III部 開始】異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第III部: 試練と葛藤

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第73話: リリーとの時間

 午後、突然の訪問客があった。


「エリー!」


 応接室のドアが勢いよく開き、リリーが飛び込んできた。


「リリー!」


 私は驚いて立ち上がった。


「会いたかった!」


 リリーが私に抱きついてきた。彼女の明るいエネルギーが、部屋全体を包む。


「急に来てごめんね。でも、どうしてもエリーに会いたくなって」


「全然いいよ。嬉しい」


 本当に嬉しかった。リリーと会うのは、久しぶりだった。


「さあ、座って座って」


 私たちはソファに座り、マーガレットさんが紅茶とケーキを運んできてくれた。


---


「で、どうなの?」


 リリーが紅茶を一口飲んでから、ニヤリと笑った。


「何が?」


「とぼけないで」


 リリーが私をじっと見つめる。


「最近、侯爵様といい感じなんじゃない?」


「ええっ、そんな...」


 私は顔が熱くなるのを感じた。


「ほら、赤くなった!」


 リリーが指を指す。


「やっぱりそうなんだ!」


「リリー...」


 私は恥ずかしくて、顔を手で覆った。


「可愛い〜」


 リリーが笑った。彼女の笑い声が、部屋に響く。


---


「教えてよ、何があったの?」


 リリーが身を乗り出してきた。


「その、色々...」


「色々って?」


「昨日、庭園で散歩したり...」


 私が小さく言うと、リリーの目が輝いた。


「夜の散歩?」


「うん」


「それで?」


「手、繋いだ...」


「きゃー!」


 リリーが声を上げた。


「手繋ぎデート!それ完全に付き合ってるじゃん!」


「付き合ってないよ!」


 私は慌てて否定した。


「まだ、そういう関係じゃ...」


「でも、好きなんでしょ?」


 リリーが真剣な顔で聞いてきた。


---


 私は、言葉に詰まった。


「...うん」


 小さく頷いた。


「やっと認めた!」


 リリーが嬉しそうに笑った。


「もう侯爵様のこと好きって認めなさいよ」


「認めます」


 私は観念して、はっきりと言った。


「私、侯爵様が好きです」


 口に出してみると、不思議と心が軽くなった。


「良かった。ずっと気づいてたよ」


 リリーが優しく笑った。


「エリーの目が、侯爵様を見る時いつも違ってたもん」


「そんなに分かりやすかったの?」


「うん。でも可愛かったよ」


 リリーがケーキをフォークで刺しながら言った。


---


「でもね」


 リリーが少し真剣な表情になった。


「呪いがあるから、告白のタイミングが難しいよね」


「...そうなの」


 私は俯いた。


 侯爵様の呪い。それが、私たちの間に立ちはだかっている。


「呪いが解けたら...」


 私が呟くと、リリーが頷いた。


「その時は、ちゃんと想いを伝えなきゃね」


「うん」


「でも、今はそばにいてあげることが大事だよ」


 リリーが私の手を握った。


「エリーは、もう十分に侯爵様を支えてる」


「ありがとう、リリー」


 友達の言葉が、心に染みた。


---


「そういえば」


 私がケーキをフォークで切りながら言った。


「リリーは、誰か気になる人いないの?」


「え?」


 リリーが一瞬、顔を赤らめた。


「いない、いない!」


「嘘」


 私は笑った。


「今、絶対顔赤くなったよ」


「エリーのせいだよ!」


 リリーが抗議した。


「急に聞くから」


「教えてよ」


 今度は私が身を乗り出した。


「その...王宮の騎士団に...」


 リリーが小声で言った。


「騎士団?」


「うん。エドワードって人がいて...」


---


 リリーが話し始めた。


 エドワードという騎士は、真面目で優しくて、でも少し不器用な人らしい。リリーが困っている時、いつも助けてくれるという。


「それ、完全に好きじゃん」


 私が言うと、リリーが真っ赤になった。


「でも、まだ何も...」


「じゃあ、これから」


「エリーと侯爵様みたいに、うまくいくといいな」


 リリーが恥ずかしそうに笑った。


「きっとうまくいくよ」


 私は励ました。


「リリーは明るくて可愛いから」


「エリーもだよ」


 お互いに笑い合った。


---


 私たちは、お茶とケーキを楽しみながら他愛ない話を続けた。


 最近の流行の服の話、王都で人気のカフェの話、共通の友人の近況。


 すべてが楽しかった。


 こうやって、女の子同士で語り合う時間。それが、心を軽くしてくれる。


「ねえ、このケーキすごく美味しい」


 リリーがイチゴのショートケーキを食べながら言った。


「でしょ?屋敷のシェフが作ったの」


「さすが侯爵様家」


 リリーが感心している。


 ケーキの甘さが、口の中に広がる。イチゴの酸味とクリームの甘さが、絶妙に調和している。紅茶の香りと相まって、幸せな気分になる。


---


「そういえば」


 リリーが紅茶を飲み終えてから言った。


「セレスティアは元気?」


「うん、元気だよ」


 私はセレスティアのことを思い出した。


「また三人で会いたいね」


「本当に」


 リリーが笑顔を見せた。


「三人でお茶会したいな」


「じゃあ、今度企画しよう」


「うん!」


 未来の約束をするのは、楽しい。それだけで、心が弾む。


---


 気づけば、もう夕方近くになっていた。


「あ、もうこんな時間」


 リリーが時計を見て驚いた。


「そろそろ帰らなきゃ」


「もう少しいてもいいのに」


「また来るから」


 リリーが立ち上がった。


 私も一緒に立ち上がり、玄関まで見送った。


「今日は、本当に楽しかった」


 私が言うと、リリーが笑った。


「私も。またすぐ来るね」


「待ってる」


 リリーが馬車に乗り込む前に、私を振り返った。


「エリー、頑張ってね」


「うん」


「侯爵様との恋、応援してるから」


 その言葉に、私は頬が熱くなった。


「ありがとう」


---


 リリーの馬車が去っていくのを見送りながら、私は微笑んだ。


 良い友達がいる。それだけで、人生は豊かになる。


---


 部屋に戻り、ことりに相談してみた。


> 恋愛感情を自覚した今、どう行動すべきでしょうか?


【ことり】

*************

確率: 62%


恋愛感情を自覚することは、大きな一歩です。


今は焦らず、侯爵様との時間を大切にしてください。呪いの問題もありますので、タイミングが重要です。


あなたの気持ちは、適切な時が来れば、自然と伝わるでしょう。それまで、今の関係を育んでいってください。

*************

[魔力: 140/150 (-10)]


 確率62%。タイミング、か。


---


 応接室にはまだ紅茶の香りが残っていた。


 ケーキの皿も、空になっている。


 楽しい時間の余韻が、部屋に漂っている。


 私は窓辺に座り、外を眺めた。夕日が、オレンジ色に染まっている。


「侯爵様...」


 小さく呟いた。


 リリーに認めた想い。それは、本当の気持ちだ。


 私は、侯爵様を愛している。


 でも、呪いのことがある。簡単には進めない。


「でも、諦めない」


 私は決意を新たにした。


 呪いを解く方法を見つける。そして、いつか侯爵様に想いを伝える。


 その日まで、私は侯爵様の傍にいる。支え続ける。


---


 夜、自分の部屋でベッドに横になった。


 今日は、本当に良い一日だった。


 リリーと笑い合い、恋の話をし、友情を確かめ合った。


 心が、温かい。


 でも、明日からまた、色々なことが待っている。


 結社のこと、呪いのこと、様々な問題。


 それでも、私には仲間がいる。侯爵様がいる。リリーがいる。セレスティアがいる。


 一人じゃない。


 その事実が、私を強くしてくれる。


「明日も、頑張ろう」


 私は自分に言い聞かせて、目を閉じた。


 ゆっくりと、眠りについた。


 夢の中で、侯爵様の笑顔とリリーの笑い声が聞こえた気がした。


---


**次回予告**


幸せな日々を過ごすエリアナ。しかし、翌日、衝撃的な事実が判明する。フィリップスさんの調査により、セレスティアの家族が秘密結社と取引関係にあることが明らかに。親友を信じたいエリアナは、どう向き合うのか——。


次回、第74話: セレスティアの秘密。

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