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【第III部 開始】異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第I部: 到着と発見

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第6話: 新たな訪問者

**次回予告**

侯爵の指導で本格的な魔法訓練が始まる。手を取って魔力の流れを教えてもらい、至近距離に心臓が高鳴るエリアナ。二人の距離が、少しずつ縮まっていく。


第7話「魔法の訓練」をお楽しみに!

図書室で本を読んでいると、馬車の音が聞こえた。


窓から外を見ると、立派な馬車が玄関前に停まっている。


「誰か来客...?」


ドアをノックする音。


「エリアナ様、客人がいらっしゃいました」


メイド長の声だ。


---


エントランスホールに降りると、見知らぬ男性がいた。


30代後半くらい、明るい茶色の髪に穏やかな笑顔。学者のような雰囲気だ。


「おや、これはこれは。侯爵、新しいお弟子さんですか?」


その男性が、私を見て微笑む。


侯爵様が現れた。


「フィリップ、久しぶりだな。こちらはエリアナさん、私の指導を受けている魔法使いだ」


「初めまして。フィリップ・エヴァンスと申します。魔法技術の研究者です」


「エリアナ・フォレストです。よろしくお願いします」


フィリップさんは気さくな雰囲気で、緊張が少しほぐれる。


「可愛らしい魔法使いさんですね。魔法学院の出身?」


「はい、王都の魔法学院を卒業しました」


「優秀そうだ。侯爵の目に留まるとは、相当な才能をお持ちなんでしょうね」


褒められて、少し照れる。


侯爵様が「昼食にしましょう」と促す。


---


ダイニングルームでの昼食は、いつもより賑やかだった。


「フィリップは古い友人でね。ルシアの研究仲間でもあった」


侯爵様の言葉に、私は反応する。


「ルシア様の...!」


「ええ、彼女は素晴らしい研究者でした。魔法とテクノロジーの融合という、革新的な分野を開拓していた」


フィリップさんが懐かしそうに語る。


「語り箱の技術も、彼女の研究から生まれたんです。意識の保存と転送...当時は夢物語だと思われていましたが」


「意識の保存...」


前世の知識が反応する。まるでバックアップシステムみたいだ。


「エリアナさんも興味がある?素晴らしい。もしよければ、一緒に研究してみませんか」


フィリップさんの提案に、心が躍る。


でも、その時。


「エリアナさんは私の指導下にあります」


侯爵様の声が、少し強い口調だった。


え?侯爵様が、こんな風に...?


「おっと、失礼。侯爵が大切に指導されているんですね」


フィリップさんは意味深な笑みを浮かべる。


侯爵様の表情は、いつもより硬い気がする。


---


午後、侯爵様の書斎兼研究室で、フィリップさんが持参した資料を見せてもらった。


古代魔法の文献、魔法陣の設計図、意識の保存に関する理論...


驚きと好奇心で胸が高鳴り、ふとこの一節について確かめたくなった。資料を前にして、ことりに簡単に尋ねてみる。


【ことり】

*************

こんにちは、エリアナ様。何を調べましょうか?

*************

[魔力: 55/55]


> この図面の注記にある「記憶のループ」の意味を教えてください。


少しの間、ことりが考えるように光を揺らす。


【ことり】

*************

確率: 68%


「記憶のループ」は、記憶の同一性を保持しながら情報を循環させるための構造です。異なる時間軸の情報を統合する役割を持ちます。

*************

[魔力: 45/55] (-10)


説明は簡潔ながら有用だった。これで資料を読み解く手助けになるはずだ。


「これは...すごいです」


「でしょう?エリアナさんのような若い魔法使いに、これらの知識を継承したいんです」


フィリップさんの言葉に、侯爵様が割って入る。


「彼女の教育は私が責任を持っています」


何だか、いつもと違う侯爵様だ。


フィリップさんは愉快そうに笑っている。


何か、おかしな雰囲気...?


---


フィリップさんが帰った後、侯爵様が私をお茶に誘ってくれた。


庭園のガゼボで、二人きり。


その席で、侯爵様はふと私の表情を見て、『よければ、簡単な運動を一つ教えようか』と控えめに言った。


私は頷き、侯爵の動きを真似る。指先のリズムに合わせて呼吸を整えると、体内にじんわりとした消耗が伝わってきた。


練習を終え、表示を見ると小さくこう出ていた。[魔力: 35/55] (-10)


侯爵様は満足げに微笑み、紅茶を一杯進めてくれた。二人は穏やかにお茶を飲み交わし、庭園の時間はあっという間に過ぎていった。


説明は簡潔ながら有用だった。これで資料を読み解く手助けになるはずだ。


「先ほどは、強く言いすぎました。申し訳ありません」


侯爵様が、珍しく謝罪する。


「いえ、大丈夫です」


「フィリップは良い研究者ですが...」


言葉を選んでいるようだ。


「あなたには、この屋敷で安心して学んでほしい。焦らず、ゆっくりと」


侯爵様が自ら淹れてくれた紅茶。私の好みを覚えていてくれたみたいだ。


「ありがとうございます」


庭園の花々が美しい。穏やかな時間だ。


夕日に照らされた侯爵様の横顔が、とても美しく見える。


「侯爵様といると...安心します」


思わず本音が出る。


侯爵様は少し驚いた表情の後、優しく微笑んだ。


「私も...あなたといる時間は心地よい」


その言葉に、胸が温かくなる。


この人は、本当に特別な人なのかもしれない。


---


夜、部屋に戻って今日の出来事を振り返る。


フィリップさんは面白い人だった。でも、侯爵様の反応が気になる。


いつもより、強い口調だった。


ことりを起動する。


【ことり】

*************

今日はどうでしたか?

*************

[魔力: 35/55]


> 侯爵様が、今日はいつもと違う態度でした。なぜだと思いますか?


【ことり】

*************

確率: 45%


不確定要素が多く、推測は困難です。人間の感情は複雑で、多くの要因が関係します。

*************

[魔力: 25/55] (-10)


ことりらしい答えだ。確かに、わからないことは多い。


でも、侯爵様が私に対して...何か特別な感情を持っているのかもしれない。


「いや、そんなはずない。考えすぎだ」


自分に言い聞かせる。


窓の外を見ると、西棟の一室に灯りが見える。


まだ、この屋敷には知らないことがたくさんある。


フィリップさんの言っていた「意識の保存」。


ことりと、どう関係しているんだろう。


明日も、たくさんのことを学ぼう。


ベッドに入り、目を閉じる。


今日も良い一日だった。


そして、少しだけドキドキする一日だった。

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