第54話: 陰謀の全貌
屋敷の情報室で、私はフィリップスさんとセレスティアさんと共に机を囲んでいた。机の上には、古い書簡や密約の断片が広げられている。
「これを見てください。」
フィリップスさんが一枚の書簡を指差した。その内容には、蒼の環と呼ばれる組織が不老不死の研究に資金を投じていた痕跡が記されていた。
「この資金の流れ、過去の装置暴走事件と一致しています。」
私は眉をひそめながら、書簡の内容を確認した。蒼の環が侯爵様の呪いを利用していた可能性が、徐々に明らかになっていく。
私は書簡を胸に抱え、関連文献の目録を繰りながら考えをまとめた。
"ことり、これらの書簡の関連性をざっと照合して。"
【ことり】
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『過去の装置暴走事件と一致するデータを確認しました。関連性は85%です。』
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[魔力: 103/113 (-10)]
ことりの簡易解析を待ちながら、私たちは別の手がかりを洗い直すことにした。
"彼らの目的は、侯爵様の呪いとことりの技術……。"
セレスティアさんが静かに頷き、言葉を添えた。
"このままでは、私たち全員が危険にさらされるわ。"
私は決意を新たにし、次の調査に向けて準備を進めることを心に誓った。
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夜の書斎で、侯爵様は静かに口を開いた。彼の表情には、深い悲しみと決意が浮かんでいる。
「過去に、私の研究が蒼の環に利用されたことがある。」
その言葉に、私は驚きと怒りを覚えた。侯爵様は続けて、装置暴走事件や研究者の失踪について語り始めた。
「彼らは私の研究を盗み、呪いを利用して不老不死の技術を追求していた。」
私は拳を握りしめ、彼の言葉に耳を傾けた。蒼の環がどれほど非道な手段を使ってきたのか、その全貌が少しずつ明らかになっていく。
「私たちは、彼らの野望を止めなければならない。」
侯爵様の言葉に、私は深く頷いた。彼の決意に応えるためにも、次の調査方針をしっかりと立てる必要がある。
「蒼の環が呪いをどのように利用しているのか、さらに詳しく調べましょう。」
私はそう提案し、侯爵様と共に次の一手を考え始めた。
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実験室で、私たちはことりの内部ログを解析していた。フィリップスさんが慎重に操作を進める中、ことりの表面に不審なアクセス痕が浮かび上がった。
「これは……外部からの干渉の痕跡です。」
フィリップスさんの声に、私は息を呑んだ。蒼の環がことりを標的にしている証拠が、目の前に現れたのだ。
"ことり、さらに詳細な解析をお願い。"
【ことり】
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『外部干渉の痕跡を確認しました。意識転送技術の断片が収集されています。』
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[魔力: 93/113 (-10)]
その解析結果を受け、私はすぐに実験端末に向かい、ことりのログを可視化させた。ログには外部からの断続的な接続痕が記録されており、転送符号に類するパターンが浮かんでいた。
「ここまでやられているとは……。」
セレスティアさんが険しい表情で言葉を続けた。
"このままでは、ことりだけでなく、私たち全員が危険にさらされるわ。"
私は深呼吸をし、冷静さを取り戻そうと努めた。
仲間たちに向けて、私は決断を告げる。「ここで、直接ログの干渉痕を暴くために魔力を使います」
私は指先に魔力を集中させ、ことりのログ出力を魔力で強制展開した。空間に紋章が浮かび上がり、そこに刻まれた断片の符号が一つ、鮮やかに結びついて見えた。
【魔力: 53/113 (-40)】
フィリップスさんが息を呑む。ログの断片が解析され、特定の符号列が蒼の環の使用していた転送符号と一致する証拠が表示された。
「これで間違いない。蒼の環が意識転送の断片を集めている。」
仲間たちの顔に決意が浮かぶ。私たちは次の行動へと動き出す覚悟を固めた。
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食堂に戻ると、テーブルには温かいスープと焼きたてのパンが並べられていた。仲間たちと共に食事を囲むこの時間が、どれほど貴重なものかを改めて感じる。
「少し休もう。無理をしても良い結果は出ない。」
侯爵様が静かにそう言い、私にスープの皿を差し出してくれた。その優しさに、胸がじんわりと温かくなる。
「ありがとうございます、侯爵様。」
私は礼を言い、スープを一口飲んだ。体の芯から温まる感覚が広がり、緊張していた心がほぐれていく。
フィリップスさんが軽い冗談を飛ばし、セレスティアさんが微笑みながらそれに応じる。短い会話の中で、私たちの絆がさらに深まっていくのを感じた。
「明日からも頑張りましょう。」
セレスティアさんの言葉に、私は力強く頷いた。仲間たちと共にいる限り、どんな困難も乗り越えられる——そう信じることができた。
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夜の書庫で、私は机に向かい、ことりの解析結果を見つめていた。蒼の環が『転送符号』を集めている可能性が高いことが、データから明らかになった。
「彼らの次の狙いは、きっと……。」
私はノートに考察を書き留めながら、次の行動を決意した。蒼の環の拠点を特定し、彼らの計画を阻止するために動かなければならない。
窓の外には、夜空に浮かぶ月が静かに輝いていた。その光を見つめながら、私は深呼吸をして心を落ち着けた。
「明日からの調査が、新しい道を切り開いてくれる。」
そう心に誓い、私はノートを閉じた。
**次回予告**
蒼の環の拠点を追うエリアナたち。次回「ことりの危機と緊急対応」をお楽しみに!




