第48話: 襲撃者の正体と装置暴走の真相
昼下がり、屋敷の地下牢。冷たい石壁に囲まれた空間で、私は侯爵様、フィリップスさんと共に、昨夜の襲撃者を見下ろしていた。
襲撃者は意外なほど抵抗せず、不敵な笑みを浮かべている。侯爵様は冷静に指示を出し、フィリップスさんが魔法的な拘束を強化する。
以前、屋敷で起きた装置の暴走を思い出し、胸の奥がざわつく。あの時の危機は本当に偶然だったのか――。
「全ては計画通り」
襲撃者は不穏な言葉を漏らす。その目は、何かを企んでいるように光っていた。
地下牢の空気は重く、石壁の冷たさが肌にじわりと伝わる。侯爵様の横顔は鋭く、フィリップスさんは魔法陣を描きながら集中している。
私は昨夜の戦闘の余韻がまだ体に残っているのを感じていた。
襲撃者の視線が私に向けられると、背筋がぞくりとする。
「……なぜ、抵抗しないの?」
心の中で問いかけるが、襲撃者はただ微笑むだけ。
侯爵様は私の肩に手を置き、静かに囁いた。
「油断するな」
その言葉に、少し安心した。
牢の奥では、魔力の流れが微かに揺れている。フィリップスさんが呪文を唱え、拘束の魔法がさらに強化される。
私は、あの装置暴走の瞬間を思い出し、胸が締め付けられる。
---
侯爵様が直接尋問を始める。声は冷徹で、威圧的だ。
「お前の目的は何だ。誰の指示で動いた?」
襲撃者は、秘密結社の一員であることを自ら明かす。
「我々は“呪い”の研究をしている。侯爵の呪いのデータが必要だった」
息を呑む。まさか、あの暴走も――。
「あの暴走も我々の仕業だ。遠隔起動の魔法装置を仕掛けていた。暴走時の魔力反応を記録していた」
フィリップスさんが装置の捜索を提案する。
「屋敷内を徹底的に調べます」
私はことりに相談する。
> 遠隔起動魔法の原理と対策は?
***************
【ことり】
遠隔起動は魔力波を利用した装置連携です。遮断結界で防御可能。
***************
[魔力: 69/113 (-10)]
私は「あの時の危機は事故ではなかった」とショックを受ける。
侯爵様はさらに問い詰める。
「屋敷に仕掛けた装置は何個だ?他にも仲間がいるのか?」
襲撃者は余裕の表情で答える。
「数は言えないが、我々の目的は明確だ」
フィリップスさんは魔法探知具を取り出し、壁際で何かを調べ始める。
> この結界で本当に防げる?
***************
【ことり】
確率: 78%
遮断結界の強度を高めれば安全です。
***************
[魔力: 59/113 (-10)]
尋問の間、襲撃者の態度は終始落ち着いていて、逆に不気味さが増していく。
私は、侯爵様の隣で拳を握りしめ、絶対に真相を突き止めると決意した。
---
襲撃者は「呪いの研究」に興味があることを明かす。
「我々の組織は“不老不死の秘密”を解き明かすために動いている。侯爵の呪いは“時間を操る魔法”の鍵だ」
ことりも狙われている理由を問うと、意識転送技術への興味があると告げられる。
「次はもっと本気で来る」
襲撃者は脅迫的な言葉を残す。
侯爵様は警備の更なる強化を決定する。
「全員、警戒を怠るな」
襲撃者の声は低く、どこか狂気を孕んでいる。
「呪いの力は、我々の理想に必要不可欠だ。侯爵の呪いが解ければ、時の流れすら操れる」
私はその言葉に戦慄し、ことりに「不老不死の魔法は本当に可能なの?」と心の中で尋ねる。
> 不老不死の魔法は本当に可能なの?
***************
【ことり】
確率: 41%
理論上は可能ですが、莫大な魔力と犠牲が必要です。
現時点では実現例はありません。
***************
[魔力: 59/113 (-10)]
侯爵様は襲撃者を睨みつけた。
「お前たちの野望は絶対に許さない」
と静かに宣言した。
フィリップスさんは装置の回収作業を続けながら、
「情報はすべて解析します」
と力強く言った。
私は、敵の本気度と組織の規模に圧倒されながらも、守るべきもののために立ち向かう覚悟を新たにした。
---
尋問後、私は疲労と不安で自室に戻る。
夕方、侯爵様が温かい飲み物を持って訪ねてくる。
「怖い思いをさせて申し訳ない」
「私も戦う覚悟ができています」
侯爵様が私の手を取り、
「君を守る」
その手の温もりに、心がじんわりと癒される。
二人の距離がさらに縮まった気がした。
窓の外は夕焼けに染まり、部屋の中は静かな安堵に包まれている。侯爵様はそっとカップを差し出し、私の手を優しく包み込む。
「君がいてくれるだけで、私は救われる」
その言葉に、胸が熱くなり、涙が滲みそうになる。
「私も、守る覚悟があります」
侯爵様は微笑み、
「無理はしないで。君の笑顔が、私の支えなんだ」
と優しく言う。
温かい飲み物の香りと、侯爵様の優しさに心がほぐれていく。
---
夜、侯爵様が去った後、私は窓辺で夜空を見上げる。
「敵は思っていたより強大だ」
「半年で必ず侯爵様を救う」
それでも私は、改めて決意する。
柔らかな月明かりの下、私は新たな覚悟を胸に静かに目を閉じた。
夜空には星が瞬き、静寂が広がっている。私は窓辺で深呼吸し、これまでの出来事を振り返る。
「怖いけど、絶対に諦めない」
侯爵様のため、仲間のため、そして自分自身のために――。
私はそっと拳を握りしめ、未来への希望を胸に刻んだ。
**次回予告**
次回、二人の距離が急速に縮まる。――第49話「侯爵の想いと時間の恐怖」をお楽しみに!




