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【第III部 開始】異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第II部: 調査と成長

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第43話: 研究の進展

夕食後、屋敷の書斎に集まった私は、侯爵様とフィリップスさんと共に呪いの資料を広げていた。


「呪いの発動条件に“契約”の痕跡があるようです」

フィリップスさんは資料の一行を指先で示した。


侯爵様は眉をひそめて、魔法陣の図案を見つめていた。

「魔法陣だけでは説明がつかない現象が多い。何か他に要素が絡んでいるはずだ」


私は二人のやり取りを聞きながら、心の中でことりに問いかける。


【ことり】

*************

確率: 80%

「三つの要素が複雑に絡み合っています。契約、魔法陣、触媒の順で調べると良いでしょう」

*************

[魔力: 78/110(消費: 10)]


書斎の窓からは夜の庭園が見え、静かな空気が漂っている。

机の上には分厚い魔法書や古い契約書が積み重なり、蝋燭の灯りが揺れていた。


私は緊張しながらも、みんなと一緒に謎に挑むことに少しだけ心が躍る。


侯爵様は時折、私の顔を見る。

「無理はしないように」


フィリップスさんは資料の山を整えながら、細かいメモを取っている。


三人の間には、これまでにない連帯感が生まれていた。


---


私はことりの助言を胸に、契約書の文言と魔法陣の図案を重ねて検証し始めた。


フィリップスさんは触媒となる物品のリストを作り始める。


侯爵様は契約書から目を上げた。

「ルシアの遺品に手がかりがあるかもしれない」


三人で夜遅くまで資料を読み解き、集中して仮説を立てていく。


契約書の文字は古い魔法語で書かれていて、解読には時間がかかった。

私は指でなぞりながら、過去の記憶を呼び起こす。


侯爵様は隣で魔法陣の図案を何度も描き直し、フィリップスさんは触媒候補の品を一つずつ机に並べていく。


「この文言、呪いの発動条件に関係しているかもしれません」


私は声を潜める。


「契約の成立には、魔力の流れが不可欠だ」


フィリップスさんは資料をめくる。

「触媒は、魔法陣の中心に置かれるものが多いですね。過去の事例を調べてみます」


窓の外はすっかり夜になり、静寂の中でページをめくる音だけが響く。

私は自分の手が震えていることに気づき、深呼吸した。


「ルシアの遺品に、特殊な石があったはずです。あれが触媒かもしれない」

フィリップスさんは小さく頷いた。

「明日、保管庫を調べましょう」


三人の間に緊張感が漂う。

それでも、協力し合う温かさが確かにあった。


私は、みんなと一緒ならこの謎を解けるかもしれないと、心の奥で小さな希望を抱いた。


---


深夜、フィリップスさんが席を立つ。

「少し休憩します」


そう言って扉の向こうへ消え、書斎には私と侯爵様だけが残った。


「契約魔法の再現実験をしてみよう」

侯爵様は椅子の背から身を起こした。


私は緊張しながら、契約魔法の詠唱を始める。

魔力が指先に集まり、魔法陣の上に淡い光が広がる。


【魔法使用】

[魔力: 61/110(消費: 17)]


侯爵様は触媒となる小瓶を手渡し、魔法陣の起動を補助してくれる。


「君の魔力は本当に繊細だな」

侯爵様の声が優しく響く。


私は触媒を魔法陣の中心に置き、再度魔力を込める。


【魔法使用】

[魔力: 43/110(消費: 18)]


魔法陣・契約・触媒が連動し、呪いが発動する仕組みが明らかになる。


資料を至近距離で読み合う中、ふと手が触れ、私は心臓が跳ねるのを感じた。


侯爵様の瞳が私を見つめ、私は思わず目をそらす。


詠唱の言葉は静かに部屋に響き、魔法陣の光が壁に模様を描く。

私は自分の鼓動が早くなっているのを感じ、手のひらに汗が滲む。

侯爵様は私の動きを見守りながら、時折小さく頷いてくれる。

触媒の小瓶を受け取るとき、指先が少しだけ触れ合い、私は思わず息を呑んだ。

魔法が発動した瞬間、部屋の空気が変わり、古い書物の香りと魔力の気配が混ざり合う。

「すごい…本当に連動している」

私は驚きと達成感で胸がいっぱいになる。

侯爵様は満足げに微笑んだ。

「君の成長を間近で見られて嬉しい」


---


「夜食にどうぞ」


しばらくすると、静かにノックの音がして、メイドが温かいミルクとパンを運んできた。

「君のために夜食を用意させたんだ」

侯爵様が微笑みながら、メイドに礼を言い、私の前にそっとトレイを置いてくれる。


「ありがとう…」

私はほっと息をつき、二人で静かに夜食をとる。


「君といると、不思議と前向きになれる」

侯爵様が微笑む。


私は心が温かくなり、安心して深呼吸した。


ミルクの湯気がふわりと立ち上り、パンの香ばしい匂いが部屋に広がる。

私は一口食べて、体の芯まで温かさが染み渡るのを感じた。

侯爵様は静かに私の隣に座る。

「今日の発見は大きかったね」


私はうなずく。

「みんなと協力できて嬉しかったです」


二人の間に穏やかな空気が流れ、外の夜風の音が遠くに聞こえる。


侯爵様は少し照れたように微笑む。

「君がいると、僕も前向きになれる」

私はその言葉に心がじんわりと温まり、安心して深呼吸した。


---


自室に戻り、研究ノートに今日の発見をまとめる。


「三つの要素…これで呪いを解けるかもしれない」

希望が胸に灯る。


ことりの助言を思い返す。

「契約、魔法陣、触媒――触媒の正体を突き止めるのが最優先だ」


私はその一行をノートに書きつけた。


月明かりの中、私は新たな決意を胸に眠りについた。


窓の外には静かな夜空が広がり、星が瞬いている。

私はペンを握りしめ、今日の発見を何度も反芻した。

「きっと、みんなとなら乗り越えられる」

心の奥で小さな勇気が芽生え、未来への期待が膨らむ。

月明かりが机の上を優しく照らし、私はそっと目を閉じた。

**次回予告**

新たな触媒の謎を追い、外部からの干渉が激化する。主人公たちはさらなる試練に直面する。


第44話「契約の謎」をお楽しみに!

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