第43話: 研究の進展
夕食後、屋敷の書斎に集まった私は、侯爵様とフィリップスさんと共に呪いの資料を広げていた。
「呪いの発動条件に“契約”の痕跡があるようです」
フィリップスさんは資料の一行を指先で示した。
侯爵様は眉をひそめて、魔法陣の図案を見つめていた。
「魔法陣だけでは説明がつかない現象が多い。何か他に要素が絡んでいるはずだ」
私は二人のやり取りを聞きながら、心の中でことりに問いかける。
【ことり】
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確率: 80%
「三つの要素が複雑に絡み合っています。契約、魔法陣、触媒の順で調べると良いでしょう」
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[魔力: 78/110(消費: 10)]
書斎の窓からは夜の庭園が見え、静かな空気が漂っている。
机の上には分厚い魔法書や古い契約書が積み重なり、蝋燭の灯りが揺れていた。
私は緊張しながらも、みんなと一緒に謎に挑むことに少しだけ心が躍る。
侯爵様は時折、私の顔を見る。
「無理はしないように」
フィリップスさんは資料の山を整えながら、細かいメモを取っている。
三人の間には、これまでにない連帯感が生まれていた。
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私はことりの助言を胸に、契約書の文言と魔法陣の図案を重ねて検証し始めた。
フィリップスさんは触媒となる物品のリストを作り始める。
侯爵様は契約書から目を上げた。
「ルシアの遺品に手がかりがあるかもしれない」
三人で夜遅くまで資料を読み解き、集中して仮説を立てていく。
契約書の文字は古い魔法語で書かれていて、解読には時間がかかった。
私は指でなぞりながら、過去の記憶を呼び起こす。
侯爵様は隣で魔法陣の図案を何度も描き直し、フィリップスさんは触媒候補の品を一つずつ机に並べていく。
「この文言、呪いの発動条件に関係しているかもしれません」
私は声を潜める。
「契約の成立には、魔力の流れが不可欠だ」
フィリップスさんは資料をめくる。
「触媒は、魔法陣の中心に置かれるものが多いですね。過去の事例を調べてみます」
窓の外はすっかり夜になり、静寂の中でページをめくる音だけが響く。
私は自分の手が震えていることに気づき、深呼吸した。
「ルシアの遺品に、特殊な石があったはずです。あれが触媒かもしれない」
フィリップスさんは小さく頷いた。
「明日、保管庫を調べましょう」
三人の間に緊張感が漂う。
それでも、協力し合う温かさが確かにあった。
私は、みんなと一緒ならこの謎を解けるかもしれないと、心の奥で小さな希望を抱いた。
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深夜、フィリップスさんが席を立つ。
「少し休憩します」
そう言って扉の向こうへ消え、書斎には私と侯爵様だけが残った。
「契約魔法の再現実験をしてみよう」
侯爵様は椅子の背から身を起こした。
私は緊張しながら、契約魔法の詠唱を始める。
魔力が指先に集まり、魔法陣の上に淡い光が広がる。
【魔法使用】
[魔力: 61/110(消費: 17)]
侯爵様は触媒となる小瓶を手渡し、魔法陣の起動を補助してくれる。
「君の魔力は本当に繊細だな」
侯爵様の声が優しく響く。
私は触媒を魔法陣の中心に置き、再度魔力を込める。
【魔法使用】
[魔力: 43/110(消費: 18)]
魔法陣・契約・触媒が連動し、呪いが発動する仕組みが明らかになる。
資料を至近距離で読み合う中、ふと手が触れ、私は心臓が跳ねるのを感じた。
侯爵様の瞳が私を見つめ、私は思わず目をそらす。
詠唱の言葉は静かに部屋に響き、魔法陣の光が壁に模様を描く。
私は自分の鼓動が早くなっているのを感じ、手のひらに汗が滲む。
侯爵様は私の動きを見守りながら、時折小さく頷いてくれる。
触媒の小瓶を受け取るとき、指先が少しだけ触れ合い、私は思わず息を呑んだ。
魔法が発動した瞬間、部屋の空気が変わり、古い書物の香りと魔力の気配が混ざり合う。
「すごい…本当に連動している」
私は驚きと達成感で胸がいっぱいになる。
侯爵様は満足げに微笑んだ。
「君の成長を間近で見られて嬉しい」
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「夜食にどうぞ」
しばらくすると、静かにノックの音がして、メイドが温かいミルクとパンを運んできた。
「君のために夜食を用意させたんだ」
侯爵様が微笑みながら、メイドに礼を言い、私の前にそっとトレイを置いてくれる。
「ありがとう…」
私はほっと息をつき、二人で静かに夜食をとる。
「君といると、不思議と前向きになれる」
侯爵様が微笑む。
私は心が温かくなり、安心して深呼吸した。
ミルクの湯気がふわりと立ち上り、パンの香ばしい匂いが部屋に広がる。
私は一口食べて、体の芯まで温かさが染み渡るのを感じた。
侯爵様は静かに私の隣に座る。
「今日の発見は大きかったね」
私はうなずく。
「みんなと協力できて嬉しかったです」
二人の間に穏やかな空気が流れ、外の夜風の音が遠くに聞こえる。
侯爵様は少し照れたように微笑む。
「君がいると、僕も前向きになれる」
私はその言葉に心がじんわりと温まり、安心して深呼吸した。
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自室に戻り、研究ノートに今日の発見をまとめる。
「三つの要素…これで呪いを解けるかもしれない」
希望が胸に灯る。
ことりの助言を思い返す。
「契約、魔法陣、触媒――触媒の正体を突き止めるのが最優先だ」
私はその一行をノートに書きつけた。
月明かりの中、私は新たな決意を胸に眠りについた。
窓の外には静かな夜空が広がり、星が瞬いている。
私はペンを握りしめ、今日の発見を何度も反芻した。
「きっと、みんなとなら乗り越えられる」
心の奥で小さな勇気が芽生え、未来への期待が膨らむ。
月明かりが机の上を優しく照らし、私はそっと目を閉じた。
**次回予告**
新たな触媒の謎を追い、外部からの干渉が激化する。主人公たちはさらなる試練に直面する。
第44話「契約の謎」をお楽しみに!




