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【第III部 開始】異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第II部: 調査と成長

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第42話: 友情の芽生え

午後、図書室で魔法書を整理していると、セレスティアがそっと近づいてきた。


私は本の背表紙を指でなぞりながら、ふと気配を感じて振り返る。


セレスティアは、少し迷うように私の隣に立った。


「少し、お話しできるかしら?」


彼女の声はどこか不安げで、私はすぐに頷いた。


「もちろん。どうぞ」


二人で窓際のソファに座る。


外の庭園が穏やかに揺れているのが見える。

午後の光が静かに差し込み、埃の粒がきらきらと舞っていた。


セレスティアは膝の上で手を組み、しばらく黙っていた。


私は何も言わず、彼女が話し出すのを待つ。


図書室の静けさの中、遠くで時計の針が時を刻む音が聞こえる。


やがて、セレスティアが小さく息を吐いた。


「……ありがとう」


その一言に、私は少しだけ緊張がほぐれるのを感じた。


---


しばらく沈黙が続いた。


セレスティアは窓の外を見つめたまま、ぽつりと呟く。


「私の家は名門で、失敗は許されないの」


その声は震えていて、私は思わず彼女の横顔を見つめた。


「家族は私に期待ばかりで、友達もできなかった。ずっと一人だったの」


私は静かに頷く。


「……つらかったんだね」


セレスティアの瞳が潤み、唇がかすかに震える。


「本当は……私の家には、誰にも言えない秘密があるの。父も母も、私にだけは絶対に失敗を許さない。何かを守るために、私を厳しく育ててきたのだと思う。でも、その“何か”はまだ教えてもらえないの」


私は前世の孤独や今の不安を重ね、胸の奥がじんわりと痛くなる。


「私も、昔はずっと一人だった。家族の期待や、誰にも言えないこと……分かる気がする」


セレスティアは驚いたように私を見た。


「エリアナも?」


私は小さく微笑む。


「うん。だから、セレスティアの気持ち、少しだけ分かるかもしれない」


二人の間に、静かな共感の空気が流れる。


私は心の中でことりに問いかけた。


【ことり】

*************

確率: 85%

「彼女は本当に友達を求めています。あなたの優しさが、きっと力になります」

*************

[魔力: 68/110(消費: 10)]


ことりの声が心に響き、私はそっとセレスティアの手に自分の手を重ねた。


---


私はそっと手を差し伸べた。


「私でよければ、友達になってほしい」


セレスティアは驚いたように私を見つめ、しばらく言葉を失っていた。


やがて、彼女の瞳に涙があふれ、ぽろりと頬を伝う。


「……本当に?」


私はうなずく。


「もちろん。セレスティアと、もっといろんな話がしたい」


彼女は震える手で私の手を握り返した。


「ありがとう…こんな気持ち、初めて」


その手は少し冷たかったけれど、私の心まで温かくなった。


二人の間に、今までにない優しい空気が流れる。


窓の外では、春の風がそっとカーテンを揺らしていた。


---


夕方、サロンでリリアや侯爵も交えて紅茶と焼き菓子を囲む。


サロンの窓からは夕陽が差し込み、テーブルの上に紅茶の湯気がふわりと立ち上る。


リリアが明るい声で「この焼き菓子、とても美味しいわ」と笑い、セレスティアも小さく微笑んだ。


「こんなに楽しい時間は久しぶり」


セレスティアの頬が少し赤くなっている。


侯爵様が私の方を見て、優しく言う。

「エリアナ、無理はしないように」


私は紅茶の香りを胸いっぱいに吸い込み、心がほぐれていくのを感じた。


窓の外では鳥たちがさえずり、サロンには穏やかな空気が流れている。


みんなの笑い声が重なり、私はこの場所にいられることが嬉しかった。


---


夜、自室で日記を綴る。


机の上には今日の出来事を記したノートが広がっている。


「友達ができた…私も少しずつ変われているのかな」


窓の外には月明かりが差し込み、静かな夜風がカーテンを揺らしている。


私はペンを置き、ことりに小さく問いかけた。


【ことり】

*************

「もちろん。友情はあなたの力になります」

*************

[魔力: 58/110(消費: 10)]


ことりの声に背中を押されるように、私は深呼吸した。


「明日も、きっと大丈夫」


新たな決意を胸に、私はそっと目を閉じた。

**次回予告**

外部からの干渉が激化する中、研究を守るための戦いが始まる。新たな敵の影が明らかになり、主人公たちはさらなる試練に直面する。


第43話「研究の進展」をお楽しみに!

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