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【第III部 開始】異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第I部: 到着と発見

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第4話: 隠された通路

朝の光で目を覚ます。


昨夜の夢が、まだ頭に残っている。地下の部屋、魔法陣...


そして、解読に成功した日記の内容。「地下書庫 東の壁 三つの月の紋章」「ルシア・ヴァンヘルシング」——すべてが、この屋敷の秘密と繋がっている。


あの不思議な音も気になる。西棟から聞こえた、あの音...。


「あれは、ただの夢じゃないかもしれない」


起き上がり、窓の外を見る。庭園には朝露が輝いている。


今日こそ、地下書庫への入口を探そう。ことりと前世の知識を使えば、きっと見つけられるはずだ。


---


朝食の席で、侯爵様と顔を合わせた。


「おはようございます、エリアナさん。今日は何をする予定ですか?」


「図書室で、勉強をしようと思っています」


嘘ではない。でも、全部でもない。


侯爵様は優しく微笑む。


「そうですか。無理はしないように。何かあればすぐに呼んでください」


「ありがとうございます」


侯爵様の配慮は、いつも温かい。本当に私のことを心配してくれている。


そう思うと、少しだけ罪悪感を覚える。でも、知りたい気持ちの方が強い。


---


図書室に着くと、誰もいないことを確認する。


「東の壁...三つの月の紋章」


日記に書かれていた言葉を思い出す。


図書室の東側の壁を調べ始める。本棚が並んでいるだけに見えるけれど...


ことりを起動する。


【ことり】

*************

おはようございます。何かお探しですか?

*************

[魔力: 48/50]


> 図書室の東側に隠し扉があると思います。三つの月の紋章という手がかりがあるのですが、どうやって見つけられるでしょうか。状況を整理すると、本棚が並んでいて、普通に見ただけでは何もわかりません。


具体的に状況を説明する。前世で学んだことだ。質問は明確に、背景は詳しく。


【ことり】

*************

確率: 74%


本棚の装飾部分に注目してください。特に古い様式の彫刻がある場所。月の形をした装飾が三つ並んでいる可能性があります。魔力を少し注ぐと反応するかもしれません。

*************

[魔力: 38/50] (-10)


「装飾部分...」


本棚を一つずつ調べる。ほとんどは無地だけれど、奥の方に古い装飾がある本棚を見つけた。


よく見ると、三つの月の形をした小さな彫刻が並んでいる。


「これだ!」


手を伸ばし、月の彫刻に触れる。そして、少しだけ魔力を注ぐ。


すると、本棚が微かに震えた。


ギギギ...という音とともに、本棚全体がゆっくりと横に動く。


「本当に...」


本棚の奥に、石造りの扉が現れた。そして、下へと続く階段。


心臓が激しく鳴る。興奮と、少しの不安。


「行くべき、なのかな」


【ことり】

*************

決断はあなた次第です。ただし、慎重に行動することをお勧めします。

*************

[魔力: 28/50] (-10)


ことりの言葉に励まされる。


「知りたい。だから、進もう」


深呼吸をして、階段を下り始めた。


---


階段は思っていたより長い。石の壁に沿って、螺旋状に下っていく。


松明の明かりが、道を照らしている。誰かが定期的に管理しているのだろう。


ひんやりとした空気。古い石の匂い。


足音だけが、静かに響く。


「どこまで続くんだろう...」


不安になりかけた時、階段が終わった。


目の前に、大きな地下空間が広がっている。


「これが、地下書庫...」


天井は高く、壁には本棚が並んでいる。でも、図書室の本棚とは違う。もっと古く、もっと厳かな雰囲気。


羊皮紙、古い革装丁の本、巻物...歴史の重みを感じる。


「すごい...」


思わず声が出る。


そして、書庫の奥に、さらに大きな扉があることに気づいた。


その扉の向こうに、何かある。強い魔力の気配を感じる。


床に、淡く光る魔法陣のようなものが見える。でも、何か変だ。


近づいて観察すると、魔法陣の一部が欠けている。まるで、完成していないシステムのよう。


(前世でシステムのバグを見つけた時の感覚に似ている...これは、意図的に不完全なの?それとも、何か失われたの?)


魔力の流れが途切れている箇所がある。この不完全性が、何か重要な意味を持っている気がする。


近づこうとした時、


「エリアナさん」


背後から声がした。


---


振り返ると、侯爵様が立っていた。


「侯爵様...」


「ここに来ると思っていました」


侯爵様の表情は、怒っているようには見えない。でも、複雑な感情が浮かんでいる。


「申し訳ありません。でも、どうしても...」


言葉が続かない。


侯爵様は静かに近づいてくる。


「エリアナさん。あなたは好奇心旺盛で、聡明だ。それは素晴らしいことです」


優しい声だ。


「でも、ここは危険な場所でもあります」


「危険...?」


「まだ全てをお話しする時ではありません。でも、いずれ必ず説明します」


侯爵様は、奥の扉を見る。


「あの扉の向こうは、今は開けてはいけない。約束してくれますか?」


その目は真剣だ。


「わかりました」


私は頷く。


「ただし、この書庫は使っても構いません。貴重な資料がたくさんあります。あなたの研究に役立つでしょう」


「本当ですか?」


「ええ。ただし、一人で来る時は、必ず誰かに伝えてください。ここで何かあったら...」


侯爵様の言葉が途切れる。


「君が怪我をしたら、私は...」


その言葉に、何か特別な感情を感じる。


単なる雇い主としての心配じゃない気がする。もっと、個人的な...


「気をつけます。約束します」


侯爵様は安堵したように微笑む。


「さあ、上に戻りましょう。お茶にしませんか」


「はい」


侯爵様に導かれて、階段を上る。


後ろを振り返ると、奥の扉がまだ見える。


あの向こうに、何があるんだろう。


でも今は、侯爵様の言葉を信じよう。


---


書斎でお茶をいただく。


「エリアナさん、好奇心は大切です。でも、時には危険も伴います」


「はい」


「あなたには、ゆっくりと、安全に真実を知ってほしい。だから、焦らないでください」


侯爵様の言葉は、本当に私のことを考えてくれている。


「ありがとうございます」


「それから...」


侯爵様が立ち上がり、本棚から一冊の本を取り出す。


「これを読んでみてください。古代魔法の理論書です。あなたなら理解できると思います」


分厚い本だ。表紙には複雑な紋様が描かれている。


「大切にします」


「無理はしないように。何かあれば、いつでも相談してください」


侯爵様の優しさが、胸に染みる。


この人は、本当に良い人だ。


そして、私のことを...特別に思っている気がする。


「侯爵様」


「はい?」


「ありがとうございます。本当に」


侯爵様は柔らかく微笑んだ。


その笑顔を見て、私の心も温かくなる。


---


部屋に戻り、ベッドに座る。


今日は色々なことがあった。


地下書庫を見つけた。侯爵様に見つかった。そして、優しく諭された。


不思議なのは、怒られなかったこと。むしろ、心配してくれた。


「君が怪我をしたら、私は...」


あの言葉が、頭から離れない。


侯爵様は、私に特別な感情を持っているのだろうか。


それとも、単に雇い主としての責任感?


わからない。でも、嬉しい。


初めて、誰かに本気で心配してもらえている気がする。


窓の外を見ると、夕日が沈みかけている。


明日からは、地下書庫で勉強できる。そして、いずれは奥の扉の秘密も知れるだろう。


焦らず、ゆっくりと。


侯爵様の言葉を信じて。


「ことり、今日もありがとう」


語り箱に軽く触れる。


淡い光が、優しく応えてくれた気がした。

**次回予告**

エリアナが侯爵と真剣な対話をし、ルシアと魔法陣について一部の真実を知る。そして、ことりの正体の一端が明かされる。物語が本格的に動き出す、重要な第5話。


第5話「真実の一端」をお楽しみに!

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