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【第III部 開始】異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第II部: 調査と成長

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第38話: ライバルの登場と監視の影

朝の空気はまだ冷たく、屋敷の玄関に新しい足音が響いた。学院の紺色に銀の刺繍が入った紹介状を見た瞬間、胸の奥が小さくざわつく。

「セレスティア・レーヴェンハイト嬢でいらっしゃいます。魔法学院の優等生、侯爵殿の研究に興味があるとのことです」

侯爵はいつも通り礼を尽くし、私を自分の側に引き寄せる。無言の囲い込み。

彼女の到着時、ほのかな香りが漂い、所作は洗練されていた。指先が私の手の甲に触れたわずかな温度に、胸がぎゅっとなる。

美しく才能ある彼女を前に、私は自分を比べてしまう。

その直前、メイド長が森の縁で不審な人影を見たと報告した。侯爵は表情を曇らせ、警備を強化するよう命じる。歓迎と警戒が交錯する中、私は安心と痛みが混ざる感覚を覚えた。


地下の研究室に移ると、セレスティアは専門的な視点で質問を投げてきた。侯爵が嬉しそうに応じる姿に、胸の奥が冷たくなる。

話についていけない自分を意識し、ことりに助けを求める。


【ことり】

*************

確率: 82%

「『多重位相干渉』は、複数の魔力波相を同時に整列させ、互いの位相差を利用して計測精度を上げる手法です。研究用途では微弱な残留魔力の解析に用いられます。侯爵の手法がその応用に近い可能性が高いです。」

*************

[魔力: 100/110(消費: 10)]


ことりの答えに少し安堵しつつも、知らない言葉が減っただけで胸のざわめきは消えない。

セレスティアが微笑み、瞳には好奇心と競争心が宿っていた。


「あなたのやり方、実演して見せて?」

穏やかながら挑戦的な声。私は怯まずうなずく。比べられることは怖いけれど、成長のためなら逃げない。

テーブルに魔法陣を映し、呼吸を整えて魔力を流し込む。

私の『解析のための観測結び』は静かで精度重視。魔力が回路をめぐり、紙に描いた図形が淡い光で震え、波形が空中に浮かぶ。

空気が静かに震え、侯爵とセレスティアが目を見開くのを感じた。


[魔力: 75/110(消費: 25)]


「面白い。あなたの観測結びは雑音に強いわ」

セレスティアは唇の端に薄い笑みを作る。敵意ではないが、競争の火花が見える。

私は誇らしさと同時に小さな嫉妬を感じた。侯爵が楽しそうに聞いていること、彼の目が知的好奇心で輝いていることが胸を波立たせる。


夕方、リリアと部屋で向かい合う。

「変な気持ちになる」と素直に吐露すると、リリアは大きく笑って肩をすくめる。

「それが嫉妬ってやつ! 可愛いじゃない」

その笑いは茶化すだけでなく、温かさで気持ちをほどいてくれる。私は短く笑い、少し楽になる。


【ことり】

*************

確率: 68%

「嫉妬はあなたの大切な人に対する関心が形になったものです。否定する必要はありません。感情を整理する方法として、事実(侯爵の行動)と解釈(あなたの感じ方)を分けて書き出すことを勧めます。また、セレスティアは競争相手であると同時に協力者にもなり得ます。」

*************

[魔力: 65/110(消費: 10)]


ことりの説明で、感情の輪郭がはっきりする。嫉妬が醜いものではなく、自分の中の一つの反応だと理解すると、肩の力が抜ける。

リリアは私の手を取って、お菓子を差し出しながら笑う。その小さな温もりに救われた。


夜、書斎の方向から二人の笑い声が漏れる。侯爵とセレスティアの。

私は胸を押さえ、理由のわからない痛みが走る。

けれど、それが何なのか確かめるために、私はもう少し自分を知りたいと思う。

嫉妬も、それが自分の成長の燃料になるなら、逃げずに向き合おう。

明日からまた、少しだけ意識して動いてみるつもりだ。監視の影が屋敷の周囲をちらつかせる今、私は自分の足で立って、もっと強くなりたいと思った。

**次回予告**

夜の書斎で交錯する嫉妬の炎――新たな感情が、私の心を揺らす。

第39話「嫉妬の炎」をお楽しみに。

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