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異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第IV部: 暗転と再起

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130/160

第130話: 真実の告白

未明の書斎は、暖炉の残り火だけが赤く揺れていた。私はアレキサンダー様と向かい合い、重ねた手の温度を確かめる。外はまだ暗く、窓ガラスに映る私の顔は少し強張っていた。


「君を最初に見たとき、ただ似ていると思ったわけじゃない」


アレキサンダー様の声は低く、まっすぐだった。


「恐怖に呑まれず、問い続ける目をしていた。ルシア様が信じた未来を、託せる人だと感じた」


胸の奥で何かがほどける。私が選ばれた理由は、偶然や代役じゃない。私自身を見てくれていたのだと、ようやく信じられた。ことりは机の上で静かに明滅し、私たちの間に流れる沈黙をそっと支える。


私は涙をこらえきれず、手を握り返した。


「ありがとうございます。私も、あなたと同じ未来を選びたい」


アレキサンダー様が小さく頷き、指先に力を込める。涙はこぼれたのに、不思議と心は穏やかだった。


---


明け方の光が差し込み始めるころ、ことりの表示がゆっくり立ち上がった。私は姿勢を正し、示された図式を見つめる。魔法陣の外層・中層・中枢、そこへ重なる前世技術の論理回路。複雑だった断片が、一本の道として繋がっていく。


*************

【ことり】

真相解説を実行します

転生者の魂は中枢同調の鍵です

呪いは保護術式の反転固定で成立しています

解除条件は「同調」「誓約」「研究完成」の同時充足です

[魔力: 40/150]

*************


私は深く息を吸い、震える指を止めた。怖いのは消えない。でも、受け入れるべきことは分かる。


「私の運命なら、私の意志で引き受けます」


アレキサンダー様は私の肩を支え、はっきりと言った。


「君を独りで戦わせない。最後まで共に行く」


その言葉に、ことりが柔らかく光を強める。


*************

【ことり】

確率は上昇しました

推定成功率: 58%

*************


胸の鼓動は速いままなのに、視界だけが澄んでいた。


---


朝の中庭に出ると、冷たい空気の中で仲間たちが待っていた。フィリップさんは道具袋を肩に掛け、セレスティアさんは杖を軽く回して深呼吸する。リリーは少し赤い目で笑い、メイド長はいつもの凛とした姿勢で私たちを見渡していた。


「最終工程は危険だ。だが、必ず守る」


フィリップさんの宣言に、空気が引き締まる。セレスティアさんは私の肩を軽く叩き、「あんたはもう十分強い。だから最後は信じて進みなさい」と笑った。


リリーが両手を胸の前で組み、「みんなで帰ってこようね」と小さく言う。メイド長も「ご武運を」と頭を下げ、私は喉の奥の熱さを噛みしめた。


アレキサンダー様が中心に手を差し出す。私もその上に重ね、続いて全員の手が円を作った。掌の温度が次々に重なり、ばらばらだった不安が一つの決意へ変わっていく。


「必ず戻る」


誰かの言葉に、全員の頷きが重なった。


---


玄関ホールは、出発前の静寂で満ちていた。外套の留め具、封印具の刻印、結界石の輝度。最後の確認を終え、私は扉の前で息を整える。


ことりが明るく点滅し、短い通知を表示した。


*************

【ことり】

精神安定化モードを維持します

準備は万全です

[魔力: 40/150]

*************


「必ず戻りましょう」


私の声に、仲間たちが力強く頷く。アレキサンダー様が扉へ手をかけ、朝の光が差し込んだ。


運命の地は、もう目の前だ。私は胸元のペンダントを握り、全員と同じ歩幅で最初の一歩を踏み出した。


**次回予告**

いよいよ決戦の地へ。全員の想いと真実を胸に、運命の扉が開かれる。


第131話「決戦の幕開け」をお楽しみに!


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