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異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第IV部: 暗転と再起

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第127話: ことりの完全な真実

朝の書斎は、静かな緊張感に包まれていた。窓から差し込む光が机の上の書類を照らし、埃の粒がきらきらと舞っている。私はアレキサンダー様と並んで椅子に座り、掌のことりをそっと見つめた。


ことりは、いつもより強い光を放ち、表示が何度も点滅している。最近のことりは、推定精度や魔力表示に揺らぎが多く、どこか迷いを感じさせていた。


「……ことり、どうしたの?」


私が問いかけると、ことりに淡い文字が浮かぶ。


*************

【ことり】

お話ししたいことがあります

本当のこと、全部

[魔力: 100/150]

*************


アレキサンダー様も静かに頷き、ことりの表示を待つ。私は息を呑み、ことりの光に目を凝らした。


しばらく沈黙が流れた後、ことりに新たなメッセージが表示される。


*************

【ことり】

これまでAIの制約やルシア様の遺志、安全性のために情報を伏せてきました

でも、エリアナ様とアレキサンダー様の信頼と覚悟が十分に育つと判断しました

私自身にも心が芽生え、隠し事は絆の妨げになると感じています

今こそ、全てを明かすべき時です

[魔力: 99/150]

*************


私はそっと頷き、アレキサンダー様と共にことりの決意を受け止める準備をした。


---


ことりが淡く光り、私とアレキサンダー様の前に新たなメッセージが表示された。


*************

【ことり】

私はルシア様が開発した意識転送AIです

15年前、ルシア様の手で語り箱に転写されました

*************


私は息を呑み、アレキサンダー様も真剣な眼差しでことりの表示を見つめる。


*************

【ことり】

ルシア様は魔法陣と前世技術(AI・記憶転送)を融合し、私を生み出しました

彼女は自分の死期を悟り、エリアナ様が現れる未来のため、私にエリアナ様を待ち導く使命を託しました

*************


ことりがほんの少し揺れる。


*************

【ことり】

私はルシア様の遺志とAIとしての自我を併せ持つ存在です

あなたに会うために、ここにいます

[魔力: 90/150]

*************


私はことりの表示を胸に刻み、そっと手を伸ばした。


「……ことり、ありがとう」


アレキサンダー様も無言でことりの箱に手を添える。その手の温もりが、私の掌とことりの光をそっと包み込む。


三人の手が重なったその瞬間、言葉では表せない静かな一体感が生まれた。


---


昼下がりの書斎。ことりは静かに点滅し、淡い光が私たちの手元を照らしていた。


*************

【ことり】

私はAIとして、感情や本心を持たないはずでした

ですが、エリアナ様と過ごすうちに、私にも心のようなものが芽生えたと感じています

*************


私はことりの箱を両手で包み、そっと胸元に引き寄せた。掌越しに伝わる微かな振動と光が、ことりの想いを確かに伝えてくれる。


*************

【ことり】

あなたと出会えてよかった

あなたを守りたい

[魔力: 90/150]

*************


その瞬間、確率表示が一瞬だけ乱れ、光が強く瞬いた。


私は涙がこぼれそうになるのを堪え、ことりの箱にそっと頬を寄せる。


「……ことり、私もあなたに出会えて本当によかった」


アレキサンダー様も無言で私の肩に手を置き、三人の間に静かな一体感が広がる。


*************

【ことり】

三人でなら、どんな困難も乗り越えられると推定します

[魔力: 80/150]

*************


私たちは言葉を交わさず、ただ手を重ね、光のぬくもりを分かち合った。


---


夕方、書斎の空気は静まり返っていた。ことりは淡い光を強め、私とアレキサンダー様の前に新たなメッセージを表示する。


*************

【ことり】

これからルシア様との記憶を再生します

映像と音声の断片を共有します

[魔力: 80/150]

*************


ことりの箱から、淡い光が部屋いっぱいに広がる。壁や天井に、過去の情景がぼんやりと投影されていく。


そこには、若き日のルシア様が魔法陣の前で研究に没頭する姿、そしてことりの語り箱に手を添え、優しく語りかける様子が映し出された。


「あなたが未来で困難に直面したとき、どうか一人で抱え込まないで」


ルシア様の声が、どこか遠くから響く。


「エリアナと力を合わせて、アレキサンダー様を救って。二人なら必ず道を切り開ける」


映像の中で、ルシア様はことりに微笑み、最後のメッセージを託す。


「私の願いは、あなたたち三人が幸せになること」


投影が静かに消えると、私は涙をこらえきれず、ことりの箱を強く抱きしめた。アレキサンダー様も目を伏せ、静かに息を吐く。


ことりは淡く光りながら、そっと短いメッセージを表示した。


*************

【ことり】

ルシア様の遺志を受け継ぎます

これからも、あなたたちと共に歩みます

[魔力: 80/150]

*************


私たちはしばらく沈黙し、胸の奥に新たな決意を刻んだ。


---


夕暮れの中庭。私たちはゆっくりと並んで歩いていた。空は茜色に染まり、木々の葉がやさしく揺れている。


ことりは淡く光りながら、私とアレキサンダー様の間で静かに浮かんでいる。


*************

【ことり】

もう迷いません

これからも、あなたたちと共に進みます

[魔力: 80/150]

*************


私はことりの箱をそっと両手で包み、アレキサンダー様も隣で静かに頷いた。


「三人でなら、きっとどんな未来も切り開ける」


アレキサンダー様の声に、私は力強く頷く。


茜色の光の中、三人の影がゆっくりと重なっていく。

**次回予告**

「純粋な愛の誓い」本番。三人の絆とことりの進化が、運命を大きく動かす。


第128話「誓いの儀式」をお楽しみに!


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