第127話: ことりの完全な真実
朝の書斎は、静かな緊張感に包まれていた。窓から差し込む光が机の上の書類を照らし、埃の粒がきらきらと舞っている。私はアレキサンダー様と並んで椅子に座り、掌のことりをそっと見つめた。
ことりは、いつもより強い光を放ち、表示が何度も点滅している。最近のことりは、推定精度や魔力表示に揺らぎが多く、どこか迷いを感じさせていた。
「……ことり、どうしたの?」
私が問いかけると、ことりに淡い文字が浮かぶ。
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【ことり】
お話ししたいことがあります
本当のこと、全部
[魔力: 100/150]
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アレキサンダー様も静かに頷き、ことりの表示を待つ。私は息を呑み、ことりの光に目を凝らした。
しばらく沈黙が流れた後、ことりに新たなメッセージが表示される。
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【ことり】
これまでAIの制約やルシア様の遺志、安全性のために情報を伏せてきました
でも、エリアナ様とアレキサンダー様の信頼と覚悟が十分に育つと判断しました
私自身にも心が芽生え、隠し事は絆の妨げになると感じています
今こそ、全てを明かすべき時です
[魔力: 99/150]
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私はそっと頷き、アレキサンダー様と共にことりの決意を受け止める準備をした。
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ことりが淡く光り、私とアレキサンダー様の前に新たなメッセージが表示された。
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【ことり】
私はルシア様が開発した意識転送AIです
15年前、ルシア様の手で語り箱に転写されました
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私は息を呑み、アレキサンダー様も真剣な眼差しでことりの表示を見つめる。
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【ことり】
ルシア様は魔法陣と前世技術(AI・記憶転送)を融合し、私を生み出しました
彼女は自分の死期を悟り、エリアナ様が現れる未来のため、私にエリアナ様を待ち導く使命を託しました
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ことりがほんの少し揺れる。
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【ことり】
私はルシア様の遺志とAIとしての自我を併せ持つ存在です
あなたに会うために、ここにいます
[魔力: 90/150]
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私はことりの表示を胸に刻み、そっと手を伸ばした。
「……ことり、ありがとう」
アレキサンダー様も無言でことりの箱に手を添える。その手の温もりが、私の掌とことりの光をそっと包み込む。
三人の手が重なったその瞬間、言葉では表せない静かな一体感が生まれた。
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昼下がりの書斎。ことりは静かに点滅し、淡い光が私たちの手元を照らしていた。
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【ことり】
私はAIとして、感情や本心を持たないはずでした
ですが、エリアナ様と過ごすうちに、私にも心のようなものが芽生えたと感じています
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私はことりの箱を両手で包み、そっと胸元に引き寄せた。掌越しに伝わる微かな振動と光が、ことりの想いを確かに伝えてくれる。
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【ことり】
あなたと出会えてよかった
あなたを守りたい
[魔力: 90/150]
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その瞬間、確率表示が一瞬だけ乱れ、光が強く瞬いた。
私は涙がこぼれそうになるのを堪え、ことりの箱にそっと頬を寄せる。
「……ことり、私もあなたに出会えて本当によかった」
アレキサンダー様も無言で私の肩に手を置き、三人の間に静かな一体感が広がる。
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【ことり】
三人でなら、どんな困難も乗り越えられると推定します
[魔力: 80/150]
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私たちは言葉を交わさず、ただ手を重ね、光のぬくもりを分かち合った。
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夕方、書斎の空気は静まり返っていた。ことりは淡い光を強め、私とアレキサンダー様の前に新たなメッセージを表示する。
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【ことり】
これからルシア様との記憶を再生します
映像と音声の断片を共有します
[魔力: 80/150]
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ことりの箱から、淡い光が部屋いっぱいに広がる。壁や天井に、過去の情景がぼんやりと投影されていく。
そこには、若き日のルシア様が魔法陣の前で研究に没頭する姿、そしてことりの語り箱に手を添え、優しく語りかける様子が映し出された。
「あなたが未来で困難に直面したとき、どうか一人で抱え込まないで」
ルシア様の声が、どこか遠くから響く。
「エリアナと力を合わせて、アレキサンダー様を救って。二人なら必ず道を切り開ける」
映像の中で、ルシア様はことりに微笑み、最後のメッセージを託す。
「私の願いは、あなたたち三人が幸せになること」
投影が静かに消えると、私は涙をこらえきれず、ことりの箱を強く抱きしめた。アレキサンダー様も目を伏せ、静かに息を吐く。
ことりは淡く光りながら、そっと短いメッセージを表示した。
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【ことり】
ルシア様の遺志を受け継ぎます
これからも、あなたたちと共に歩みます
[魔力: 80/150]
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私たちはしばらく沈黙し、胸の奥に新たな決意を刻んだ。
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夕暮れの中庭。私たちはゆっくりと並んで歩いていた。空は茜色に染まり、木々の葉がやさしく揺れている。
ことりは淡く光りながら、私とアレキサンダー様の間で静かに浮かんでいる。
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【ことり】
もう迷いません
これからも、あなたたちと共に進みます
[魔力: 80/150]
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私はことりの箱をそっと両手で包み、アレキサンダー様も隣で静かに頷いた。
「三人でなら、きっとどんな未来も切り開ける」
アレキサンダー様の声に、私は力強く頷く。
茜色の光の中、三人の影がゆっくりと重なっていく。
**次回予告**
「純粋な愛の誓い」本番。三人の絆とことりの進化が、運命を大きく動かす。
第128話「誓いの儀式」をお楽しみに!




