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異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第IV部: 暗転と再起

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108/160

第108話: 遺跡潜入

朝、馬車が止まった先に、古代遺跡の門が沈んだ色で立っていた。


苔むした石碑は半ば崩れ、読めない線だけが湿り気を帯びて残っている。空気は重く、土と古い水の匂いが喉に絡んだ。


私は無意識に息を浅くしていたらしい。侯爵様がそっと隣に立ち、肩が触れるか触れないかの距離で囁く。


「大丈夫。君は一人じゃない」


その一言で、胸の奥の強張りが少しほどける。


セレスティアさんも門を見上げたまま言った。


「私たちがついてる。焦らず行きましょう」


フィリップさんは周囲を見回し、短く頷く。


「後方警戒は任せてください」


私は端末を開き、ことりの生体チェックを確認した。


【ことり】

*************

確率: 88%

生命反応安定。周囲異常なし。探索行動を継続可能です。

*************

[魔力: 140/150 (-10)]


未知への恐れは消えない。それでも、四人で踏み出す一歩なら、怖さごと前へ運べる気がした。


---


門の内側へ進んだ先で、透明な壁のような揺らぎが行く手を塞いだ。


空間が脈打つように明滅し、痺れそうな圧力がある。遺跡全体を覆う魔法障壁は強固だった。


ことりに解析を依頼する。


> 障壁の位相を解析して。突破可能点と成功確率を出して。


【ことり】

*************

確率: 68%

障壁解析を実行します。


・位相弱点候補: 北東側第三節点

・同期推奨手順: 二重詠唱+位相ずらし

・突破成功確率(現状): 68%


注記: 外部干渉により誤差が発生する可能性があります。

*************

[魔力: 140/150 (-10)]


「私が解析を補助するわ」


セレスティアさんが詠唱補助に入る。


「背後は任せてください」


フィリップさんが通路側を警戒する。


侯爵様は私のすぐ左で守りの構えを取り、低く言った。


「君を信じている」


私は頷き、ことりの指示どおりに魔法を重ねた。位相を半拍ずらして解放すると、揺らぎはひび割れたガラスみたいに細く裂け、次の瞬間、障壁が音もなくほどける。


突破直後、ことりが即座に追通知を出した。


【ことり】

*************

確率: 41%

連携サポート実行。罠反応あり、注意推奨。

推定作動確率: 41%

*************

[魔力: 130/150 (-10)]


私は強ばる指を握り直した。怖い。けれど、支え合って進めば越えられる。


---


夕方、遺跡内部の通路は薄闇と湿気に満ちていた。


壁面の魔法陣は、どこか前世で見た回路図に似ている。空気には鉄錆びに似た匂いが混じっていた。


【ことり】

*************

確率: 66%

符号構造解析。前世技術との類似性を検出。

一致推定領域: 制御層・伝達層。

*************

[魔力: 120/150 (-10)]


FS-05とFS-24で追ってきた断片が現実味を帯びる。同時に床下の振動が罠の気配を告げた。


私は一歩踏み出しかけて止まる。守られている安心と、役立ちたい焦りが胸でぶつかった。


「エリアナ、無理しないで」


「何かあれば、すぐ言ってください」


侯爵様は私の前に半歩出て、庇える位置を保つ。呼吸を整えた。


【ことり】

*************

確率: 90%

全員の生命反応安定。探索継続可能。

*************

[魔力: 110/150 (-10)]


私は頷き、灯りを掲げる。


この先には罠がある。けれど、私たちは一人ではない。軋む音を聞きながら、次の一歩を選んだ。


---


しばらく進むと、通路の先に半壊した小部屋が現れた。


天井の亀裂から落ちる雫が石床に当たり、一定のリズムで澄んだ音を立てている。私はその音に呼吸を合わせ、肩の力を抜いた。


「二分だけ休もう」


侯爵様の提案に、フィリップさんも賛成する。


「足場確認と周囲聴取をします」


セレスティアさんは壁の紋様に触れず、目視だけで輪郭を追っていた。


「ここの術式、古いけれどまだ生きてる。刺激しないで」


私は水筒を一口だけ飲み、乾いた喉を潤す。冷たい水が胸の内側を通ると、焦りが少し引いていった。


休息は短かったけれど、四人で同じ空間に立っているだけで心強い。


私は灯りを握り直し、静かに言う。


「行きましょう。今度は、足音も合図にしながら」


侯爵様が「いい判断だ」と頷き、私たちは再び薄闇の回廊へ戻った。

**次回予告**

遺跡内部で罠が発動。仲間とはぐれるが、エリアナは冷静に対処。ことりの助言で方向を見つける。


第109話「罠と分断」をお楽しみに!

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