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異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第IV部: 暗転と再起

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103/160

第103話: 戦略会議

午後、会議室に私たち全員が集まった。


窓の外には柔らかな陽射しが差し込み、空気にはまだ前夜の静けさが残っている。私は深呼吸し、緊張を胸の奥に押し込めて席に着いた。




侯爵様、フィリップさん、リリー、マーガレットさん、セレスティアさん。皆の顔が揃うと、自然と背筋が伸びる。


「皆、集まってくれてありがとう」


侯爵様の声は落ち着いていて、部屋の空気を引き締める。その響きに、私は少しだけ安心した。


「まずは現状の確認から始めよう」


フィリップさんが資料を広げ、屋敷の警備状況やリリーの回復具合、外部の不穏な動きについて簡潔に報告する。


「リリーの傷は順調に回復しています。警備も強化済みですが、周辺で不審な動きが散見されます」


リリーが小さく頷いた。


「もう大丈夫。私も、できることをしたい」


マーガレットさんは静かに微笑み、皆の様子を見守っている。


侯爵様が全員を見渡し、静かに言った。


「この屋敷は私たち皆の家だ。どんな困難があっても、力を合わせて守り抜こう」


その言葉に、私は胸の奥が温かくなるのを感じた。同時に、守られるだけではいけないという思いが強くなる。


---


会議の中盤、私はことりに意識を向けた。


【ことり】

*************

確率: 70%

現時点で最も危険度が高いのは北東の遺跡周辺です。敵の動きは約70%の確率で偵察段階にあると推定されます。魔法陣や古代技術の痕跡も一部確認されていますが、情報は断片的です。

*************

[魔力: 140/150 (-10)]


ことりの分析は完璧ではない。けれど、今の私たちには十分な指針だった。

魔力が少し減ったことを自覚しつつ、私は深く息を吐いた。


「……受け身では、また被害が広がるだけです。私たちから動きませんか?」


私の言葉に、部屋が静まり返る。


---


「待ってくれ、エリアナ」

侯爵様が慎重に口を開いた。


「防御を固めるべきだ。敵の動きが不明なままでは、無用な危険を冒すことになる」


フィリップさんも資料を見つめながら言う。


「情報が不十分なまま動くのは危険です。まずは屋敷の守りを万全にすべきかと」


私は拳を握りしめた。


「でも、このままではまた誰かが傷つくかもしれません。私たちが主導権を握らなければ、状況は悪化するだけです」


セレスティアさんが私の方を見て、はっきりと言った。


「私もエリアナの意見に賛成。今こそ、私たちが動くべきだと思う」


リリーも力強く頷く。


「私も、皆の役に立ちたい」


議論はしばらく続いた。慎重論と積極策、どちらにも一理ある。けれど、私は自分の中の恐れと向き合いながら、もう一度口を開いた。


「私は……守られるだけじゃなく、皆と一緒に戦いたい。小規模でもいいから、先に調査隊を出しましょう。私がリーダーを務めます」


侯爵様が私をじっと見つめ、やがて静かに頷いた。


「分かった。エリアナに任せよう」


フィリップさんとマーガレットさんは屋敷の守りを、セレスティアさんとリリーは私と共に調査隊に加わることになった。


「皆で力を合わせれば、きっと乗り越えられる」


私の言葉で、会議は静かに締めくくられた。



会議が終わる頃、私は静かに決意を新たにした。


夕暮れ、廊下の窓辺で一人立ち止まる。

窓の外には、淡い夕焼けと静かな庭園が広がっている。


「……私が、皆を導く番だ」

胸の奥に、温かな責任感が灯る。


廊下を曲がると、リリーが壁にもたれて待っていた。


「会議、終わった?」


「うん。明日から、忙しくなる」


リリーは少しだけ眉を寄せ、それから私の手を取った。


「無茶だけはしないで。エリーがいなくなったら、私……」


言葉の続きを飲み込むように視線を落とすリリーの頭を、私はそっと撫でる。


「大丈夫。ちゃんと帰ってくる。約束する」


そのとき、食堂の方から温かいスープの匂いが流れてきた。フィリップさんの低い声、メイド長の落ち着いた返事。日常の音が、張り詰めた心を少しずつほどいていく。


「先に、夕食にしよう」


「うん」


私はリリーと並んで歩き出した。戦いの準備は始まったけれど、守りたい夜は、ここに確かにある。

**次回予告**

エリアナは自分の成長と覚悟を示し、侯爵様を説得する。「もう守られるだけじゃない、一緒に戦いたい」。侯爵様は「君を信じている」と応える。


第104話「説得と信頼」をお楽しみに!

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