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異世界の侯爵家に招かれた元SEの私、手のひらサイズの語り箱と秘密だらけの屋敷で溺愛されています  作者: プロンプト時雨
第IV部: 暗転と再起

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第101話: 帰還と余波

朝の光が、カーテン越しにやわらかく差し込んでいる。



私は、屋敷の居間でリリーの隣に座っていた。ふわりとした毛布にくるまれたリリーは、まだ少し顔色が青白いけれど、穏やかな笑みを浮かべている。


「エリー、紅茶、ありがとう」


リリーがカップを両手で包み込む。その指先が、ほんのり震えているのに気づいて、私はそっと自分の手を重ねた。


「無理しないで。今日はゆっくり休もう」


「うん……でも、こうして皆と一緒にいられるだけで、すごく安心するの」



メイド長が、静かにテーブルに焼きたてのパンを並べてくれる。バターの香りが部屋いっぱいに広がり、私は思わず深呼吸した。


そのとき、メイド長が静かに声をかけた。


「侯爵様が、リリア様の様子を見にいらっしゃいました」


扉の向こうから、侯爵様が静かに現れる。彼の瞳は、私たちを優しく見守っていた。



「リリアさん、体調はどうですか?」


「はい、もう大丈夫です。皆さんのおかげで……」


侯爵様は小さく頷き、私の方を見て微笑んだ。


「エリアナ、君も無理はしないように」


その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。


【ことり】

*************

確率: 84%

リリアさんの経過は良好です。安静を続ければ、数日で完治する見込みです。

*************

[魔力: 140/150 (-10)]


ことりの声が、私の心にそっと響く。魔力の消費を感じながらも、安心感が広がった。


窓の外では、庭の木々が朝の風に揺れている。紅茶の香り、パンの温もり、リリアの笑顔——すべてが、戦いの余韻をやさしく包み込んでくれる。


---



昼前、居間に控えていたときのこと。


従者が、封筒を手に静かに近づいてきた。


「リリア様、ご実家からお便りです」


リリーは驚いたように受け取り、封を切る。中には、短い手紙が一枚だけ。


「……『屋敷周辺で不審な動きあり。外部の関与が疑われる。詳報を望む』……」


リリーの声が、わずかに震える。筆跡は冷静で、けれど行間に不安が滲んでいた。


侯爵様が手紙を受け取り、静かに目を通す。


「警戒を強めよう。何かあれば、すぐに知らせてほしい」



私は、リリーの肩にそっと手を置いた。


「大丈夫。私たちが、必ず守るから」


心の奥に、淡い不安が広がる。けれど、それ以上に強く「守りたい」という想いが湧き上がった。


【ことり】

*************

確率: 69%

外部状況、現時点で異常なし。警戒を継続します。

*************

[魔力: 130/150 (-10)]


ことりの短い通知が、私の背中をそっと押してくれる。


---



午後、リリーと私は庭園をゆっくり歩いた。


陽射しはやわらかく、花々の香りが風に乗って漂う。リリーはまだ少し足取りが頼りないけれど、時折、私に微笑みかけてくれる。


「エリー、あの花、去年も咲いてたよね」


「うん。リリーと一緒に見たの、よく覚えてる」


私たちは、色とりどりの花を眺めながら、静かに歩を進めた。


やがて、侯爵様が庭園に現れる。


「君がいてくれて、本当によかった」


その一言が、胸に深く染み渡る。


「私も……皆さんがいてくれて、幸せです」


マーガレットさんが、少し離れた場所で私たちを見守っている。


「皆様が無事で何よりです」


その穏やかな声に、私は心から安堵した。


花の香り、土の温もり、仲間の笑顔——すべてが、私の心を癒してくれる。


---



夕方、温室の中。


ガラス越しの夕陽が、植物たちを黄金色に染めている。


侯爵様と私は、静かに並んで立っていた。


「もう、無理はしないでほしい」


侯爵様の声は、低く、優しい。


「でも……私は、戦います」


私の声も、自然と強くなった。


短い沈黙。


「……分かった。だが、危険なときは必ず頼ってほしい」


「はい」


そのとき、マーガレットさんがそっと近づいてきた。


「お二人とも、どうかご無事で」


侯爵様が、私をそっと抱き寄せる。


その腕の温もりに、私は静かに目を閉じた。


「ありがとう、侯爵様」


「……君が無事でいてくれることが、何より大切だ」


安心ビート——静かな抱擁と、夕暮れの温室の香り。


---



夜。私は自室の窓辺に座っていた。


外には、静かな月明かりが広がっている。


私は、そっと日記帳を開いた。


——私は、これから何を守るべきなのだろう。



リリーの笑顔。侯爵様の優しさ。マーガレットさんの温もり。ことりの静かな支え。


私は、この場所、この家族、この絆を守りたい。


【ことり】

*************

確率: 62%

データ送信完了。遺跡の位置候補、報告を保留中です。

*************

[魔力: 120/150 (-10)]


私は、ことりの通知を胸に刻み、そっと目を閉じた。


窓の外の月が、静かに私たちを見守っている。


——明日も、きっと大丈夫。


私は、そう信じて眠りについた。

**次回予告**

戦いの疲れを癒す日々。侯爵がエリアナを気遣い、無理をさせない。二人で庭園を散歩し、平和な時間を過ごす。


第102話「休息」をお楽しみに!

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