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やっぱりこれしか

「……オースティを暗殺するか」


 革命を起こすのはオースティだ。アイツに私は殺される。つまりアイツがいなくなれば、殺されることはなくなる。


「だが実際の所、オースティが居なくなったところで、他の誰かが革命を起こす可能性はありえる」


 事実として領民が助けを求めて、それに応えたのがオースティだった。領民が助けを求めに行くこと自体を止めなければ、オースティが消えた所で別の誰かの所に行く。それならばと領民が行きそうな私の縁者を全員殺害していったとして、確実にどこかで露見して、犯罪者として処刑されるのが関の山。


「領民が助けを求めない様にする」


 シンプルに心を入れ替えて、聖女の様な領主になればいい。それで領民の行動はなくなる。


「いや、無いな」


 それが一番ない。贅沢をやめたくないし、自分を偽って生き残ったとしても辛いだけ。死んでるように生きているなら、処刑されなくても結局同じだ。


「私が私のままで、革命を起こさせない様にする」


 それを可能にするには、領地をとんでもなく繁栄させて、贅沢三昧わがまま三昧しても、全く揺るがない盤石な領地を築き上げる。おそらくそれが一番最良の選択。


 幸い、グリム家直系の子供は私しかいない。だから私は後に領主になる。それに、両親はバカだ。領主になる前の今の段階でも、領地経営に口を出せる。あの親バカは私の言葉を無視できない、と思う。


「もう今から、領地改革をしていくべきだな」


 行動を起こすのに早すぎることはない。すでに今の段階でグリム家の悪評は広まっている。処刑への道のりをすでに歩き始めてしまっているのだ。


「はぁぁ」


 私の悪評と行動が原因ではあるのだが、私が処刑されたのはグリム家、もっと言えば積もり積もった貴族への不満が、私が領主になった時に爆発するのだ。私だけの責任ではないのが腹立たしい。なぜ先祖伝来の恨みを私が受けねばならんのだ。私は贅沢をして、優雅に暮らしたいだけなのだ。


「いや、不満を言っても始まらない」


 できるだけ早く領民の信用を得る。グリム家への不満が消えなくても、ヴィオラは信用できると思わせれば、それだけでも処刑は回避できるかもしれない。それからどんな贅沢をしても傾かない、強固な領地を作り上げる。


 私は私のまま。贅沢はやめないし、わがままだって言い続ける。性格が悪いのだって自覚しているが、心を入れ替えない。気に食わない奴は、失脚させて追放してやる。場合によっては暗殺もありだ。


 私は優秀。そして、これから起こる事を知っている。出来るぞ。


「はははははっ、やってやろうじゃないか!」

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