第6話 ガレージハウス
今日の寝床は今の拓洋の拠点。
ホワイトレーシングプロジェクト箱根支部。ここはかつて、東京の小さな企業の保養所だったらしいが、その企業が手放した物を引き取って別荘とチューニングショップにしたのだ。
御殿場の街を抜け、乙女峠を越え、芦ノ湖が見える箱根の外れの場所に、その別荘がある。
別荘はガレージハウスのようになっていた。
しかし、同じくガレージハウスに住む三条神流と松田彩香のそれとは比べ物にならない程、綺麗なものだった。
三条神流、松田彩香の二人が住むガレージハウスは農家をリフォームした物で、収容台数2台で整備ピットは無い上、間取りは2LDK。
一方でこちらは収容台数5台。更に整備用ピットも含めると6台も収容可能。
1Fはガレージ横に透明なアクリル板を一枚隔てたリビングルームがあり、基本的に拓洋はここで過ごしている。
2Fには寝室と真穂、知恵の部屋。一応、拓洋と愛衣の部屋もあるのだが、真穂、愛衣、知恵は基本的に秩父にいるため、普段からこれらの部屋を使用しているのは拓洋と、TOYOTAから移籍してきたレーシングドライバー大山神威だ。
小岩剣はこのガレージハウスを見るとその規模と整理整頓や清掃が行き届いた様子に驚いた。
シャッターの反対側の壁には、レースグッズや車の写真、模型が飾られているが、そのどれもが輝いている。
また、建屋の隣に別の建屋があり、ここでチューニングショップやメンテナンスショップとしての営業もしていると言う。
それらを見回していた最中、坂口拓洋から、
「HONDAがお前の名誉棄損を幇助した上、個人情報ぶちまけた件だが―。」
と切り出された。
「今し方、連絡が入った。ディーラーが認めた。HONDA所属のレーシングドライバーとして、詫びる。申し訳ない。損害賠償、っていうか、そんな話しで済むわけではないが―。」
「名誉回復。したところで、噂が流された事実は消えません。」
「HONDAとして、お前の所に損害賠償が払われる事になる。」
「-。なぜ、認めたのでしょうか?」
「-。それが、どうも脅迫、いや、恐喝のような―。」
顔色が変わる。
「一体、誰が!」
坂口拓洋が顔をしかめる。
「ロシア系企業と、その取り巻きが、ディーラーに対して罠を仕掛けたらしい。それで、見事に―。」
「では、どちらが悪いのか分からないし、一歩間違えれば自分が悪くなります。」
「ああ。」
「どこの誰がやったのか、分かったら連絡してください。」




