第44話 出撃するかしないか
草木ドライブインに入る。
三条神流と松田彩香はラジコン飛行機を回収。
その他のメンバーも撮影した物を見せ合う。
小岩剣は、最後の草木ダムの鉄橋でトロッコ列車の撮影は出来なかった。
だが、三条神流と松田彩香が空から、鉄橋でトロッコ列車と小岩剣の隊列が立体交差する瞬間を撮影していた。
食堂でそれを見せてもらう。
「ばっちりだ。」
と、三条神流。
「自分としては、SL大樹とやりたいです。」
「へっ!お前、東武のSL好きか!?」
「ええ。」
「まっ、お前のXツイ見てると、俺とアヤに付いて来てから少しの間、2週間に1回くらいの間隔で乗りに行っていた様子だったし。」
「そうなんです!一時、1週間に1回は行きました!SL大樹も良いですが、下今市から鹿沼を抜けて栃木に至る日光例幣使街道を走るのも癒されます!特に、一度だけ、栃木に泊まって翌朝の早い時間に栃木から下今市に行ったのですが、それが最高でした!朝の日差しに照らされた蔵の街から、風光明媚な街道を走って、レトロな雰囲気の下今市駅に行き、そこからSLに乗るって最高です!」
「いい加減にしねぇと―。」
「あっ!もう遅いです!アテンダントのお姉さん全員にマークされちまいました!車掌さんにも、機関士にも、駅員にも!」
「ゲホッ!」と、三条神流がむせ返ったが、一方で、またも殺意に似たような、物騒な雰囲気を出す奴等が居た。その内の一人は、またも紅い血の色をした瞳で、小岩剣を睨んでいた。
そのようなこと等、一切気にしない小岩剣。知らぬ内に、白雪アンナと東郷玲愛の地雷原を踏み抜いて行くような事を言った。
「最近は、乗りたくとも乗れないのです。今日こそは今日こそはって思っても、二人に捕まって、行けないのです。毎度毎度、赤城レースウェイか、からっ風、サンボルをひたすら走らせられるので―。」
と、小岩剣は肩を落とす。
「なら、今日こそ行きゃよかったのに。」
霧降が言う。
「行きたかったのですが、よりによって、今日はSL大樹が運休だったのです。おまけにDL大樹も運休で。でも、わたらせ渓谷鐡道のトロッコは走るから、追っかけて、草木で皆さんとお会いできればと思い―。」
ドン!っとアンナが机を叩いた。
小岩剣は驚いて、もつ煮定食の味噌汁をこぼしかけた。
「デリヘルのみならず、SLの観光アテンダントのお姉さんにも手を出すなんて―。」
と、アンナは口の中で言った。
「-。いつ、自分が、SL大樹の観光アテンダントさんに手を出したと言ったのでしょうか?そもそも、なぜ、自分だけバカみたいに叩かれるのですか?一回呼んだだけで。実際、三条さんがSL大樹に誘ってくださったのも「デリヘルに金を使うなら―」と、気晴らしに誘ってくれたのです。貴女もHONDAの連中と同じですね。勝手に人を悪者にして、そうしなければ自分を立てられない。」
「その1回の誤ちが、レース中で大事故になったらどうなる?或いは人を殺す結果になった時、そう言うの?つるぎの目は節穴ね。今日の走りは、ラリーそのものよ?列車を狙って、ターゲットタイムを設定し、それに合わせて車を走らせ、列車を撮影。これにはラリーに必要な物が全部詰まっていたよ?それを、列車だけに消費していいの?」
「何が言いたいのですか?」
「何度も言わせないで!一緒にラリーに出ようって!力の使い道間違えないで!」
「嫌だ」と言おうとしたが、霧降要他、ADMのメンバーも「そうだ!せっかくだし、ラリーに出て見ろよ!」とか、「公道レース今後もやってみろ!」とか囃し立てて来る。
三条神流と松田彩香は、何も言わなかった。
「少し、考えさせてください。」
と、小岩剣は言うと、三条神流に声をかける。
「ちょっといいでしょうか?」
「上の湯行くか?」
「はい。」
と、小岩剣は頷いた。
「分かった。女の子のお店は、また今度な。」
三条神流は頷いた。
最も、「女の子のお店」は霧降要が冗談で言った事であり、三条神流は松田彩香からでも言われない限り、最初から、女の子のお店に行くつもりは無かったのだが。




