第20話 プロミネンス石油
白雪アンナはどうやらADMのメンバー全員に、「プロミネンス石油」の例のカードを渡しているらしい。しかし、そのカードにもランクがあるようで、三条神流と松田彩香がハイオクを入れた際、1Lあたり125円になったのに対し、霧降要の場合は135円だった。
ちなみに、小岩剣がハイオクを入れようとした際には、1Lあたり100円になった。
(格付けランキングってやつが、アンナさんの中にあるのか?)
と思う小岩剣。
隔日勤務である倉賀野貨物ターミナルでの貨物列車の入換機関車の機関士勤務。前日からの勤務が間もなく終わる。だが、小岩剣に休んでいる暇は無い。
仕事が終わったら、僅かな休憩時間の後、直ぐにJAF公道レース第1戦が行われる草津温泉に向かうからだ。
今、倉賀野駅に新潟からやって来た貨物列車が到着する。
EH200が牽引する石油列車だ。
新潟からの貨物列車は元々あったのだが、この列車は先日のダイヤ改正前から臨時列車として設定されていて、ダイヤ改正の後、正式な列車となったのだ。
ピカピカの新製のタキ1000が9両編成。しかし、この編成は倉賀野駅から倉賀野貨物ターミナルへ入るのではなく、この列車専用の引き込み線に入るのだ。
かつてたばこ工場があった跡地に出来た、小規模な石油備蓄基地。ここに、取り卸し線と機回し線だけの小規模な荷役施設があり、ここで積み荷の石油を卸すのだ。
そして、列車を編成しているタキ1000型タンク貨車も、それまで、倉賀野貨物ターミナルで見かけるような、JOT(日本石油輸送)や日本オイルターミナル所属の物では無かった。太陽と炎を模ったマークを付け、群青色に灰色の帯を巻いたカラーリングの貨車。太陽と炎を模ったマークは、プロミネンス石油のマークである。
つまり、この列車はプロミネンス石油専用列車なのだ。
その、プロミネンス石油専用列車に関する入換作業を終え、倉賀野貨物ターミナルに戻ると、勤務するHD300型ハイブリッドディーゼル機関車から降り、終了点呼の後、歩いて5分とかからない住まいのアパートに帰ると、白雪アンナがどういうわけか、小岩剣のS660でどこかに行っていた。
「燃料入れて来た。それから、携行缶も満載にして来た。さっき、プロミネンス石油の貨物列車が着いたっしょ?あの荷物そのまま積んで来たわ。」
と、白雪アンナが言う。
そういえば、普段なら8両編成の専用列車だが、今日は1両増結していた。
「私達のレース用の燃料も運んでもらったからね。だから1両多いのよ。」
「一体貴女は何者なのですか?」
「いずれ分かる。」
「なら、せめてプロミネンス石油の石油は何処から来ているのですか?」
「新潟とロシアの油田で採掘した石油よ。どちらも私の家が持っている油田で、新潟の方は私の物と言っていい。つるぎは私の家族だから、カードも最高ランクのカードを渡したし、ADMのメンバー全員にも特権カードを渡したのも、そういうことから。」
と、アンナは言うと、
「さぁ、シャワーを浴びたら行くよ。」
と、小岩剣を自室へと押し込んでしまった。




