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相手はやる気だ、だから容赦しない

 そう思ってコンビニで様子をうかがう。

 こうしてれば不審者がやってくるかもしれない。

 その時に、相応の対応をしようと思った。



 果たして、不審者があらわれる。

 立ち読みをしてる男の前、窓ガラスの向こう側にいた。

 そこから不審者は入り口をくぐり、男の方に向かってくる。

「おい!」

 怒鳴り声をあげる。

 効果があるとは思ってない。

 だが、これで動きが幾らか鈍ればと思った。

 残念ながらそうはならなかった。

 不審者はそのまま男に向かっていく。



 うつむき加減だったので、帽子のつばが顔を隠していた。

 どんな顔つきなのか分からない。

 だが、まっすぐに男に向かってくる。

 その肩を押さえようと、むしろ、張り手の要領で撥ねのけようとした。

 相手がそのまま近づいてくるとまずいと思って。



 手が伸びる。

 不審者の肩に触れる。

 そのまま押し出す…………つもりだった。

 だが、不審者の体勢を崩す事も、歩みを止めることも出来なかった。

 それどころか、さらに踏み込んだ不審者が無造作に突き出した右手。

 それに押されて、壁まで飛ばされる。



 どん、と音を立てて壁までに叩きつけられた。

 衝撃はそれほどではなかったが、それで充分に理解できた。

 不審者は凄まじい力をもってると。

 体を鍛えたとかいう次元では無い。

 単純に、力が強い。

 人間と体の構造が違う。

 それを瞬時に悟った。



 幸い、衝撃はそれほどでもない。

 身動きが取れないほど体がきしんでるわけではない。

 即座に男は動き出し、コンビニの外へと向かう。

 それを不審者は動かずに見つめていた。



 コンビニから離れていく。

 とにかく距離を置く。

 それだけを考える。

 無駄な事だとは分かっているが。

 だが、それでも男は走る。



 コンビニが見えなくなる。

 角を幾つか曲がる。

 出来るだけ人通りの多いところを選んで進む。

 誰かと合流するために。

 しかし、それも今は無理だと思えてくる。



 ここまで男は誰とも接触してない。

 路上に誰も居ないというだけではない。

 コンビニをはじめとした店の中にも誰もいない。

 営業してるはずの飲食店の中にも、人の姿はなかった。

 まだ深夜というほど夜中では無い。

 この時間に誰もいないというのは異常だ。



 どうしてこうなってるのかは分からない。

 ただ、誰かを頼る事は出来ない。

 自分一人でどうにかしなければならない。

 そんな状況に男はおかれていた。



 ある程度コンビニから離れたところで足を止める。

 走りっぱなしはさすがに無理だった。

 ゆっくりと歩きながらこれからを考える。

 とにかく不審者をどうにかしなければならない。 

 たんに追いかけてるだけなら、不気味ではあるがさほど問題は無い。

 直接的な危害を加えられる事は無いのだから。



 だが、不審者は危害を加えてくる。

 自室にいた時、窓を叩いてきた。

 それは窓を破壊する意図があるからだろう。

 自転車もパンクさせられていた。

 交番に止めていたときには、チェーンも切られていた。

 コンビニでは壁まで吹き飛ばされた。

 明らかに害意がある。

 殺意すら持ってるかもしれない。



 もう穏便に解決することなど無理だ。

 それが出来るならあんなことはしないだろう。

 なんでこんなことをしてるのかは分からないが。

 理由や原因を考えてる場合ではない。

 それが分かったとて、相手の害意や殺意を止められるわけではないのだから。

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