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追いかけてくる者

 その直後は特に気にとめる事もなく家に帰った。

 それなりの年数を経たアパート。

 家賃の安さで選んだ部屋だ。

 もうすこし良い部屋に引っ越したいと考えてるところだ。



 そんなアパートの自室に入る。

 適当に着替えてくつろいでいく。

 定時上がりなのでいつもより時間に余裕がある。

 だが、部屋に入ってすぐにチャイムがなる。

「なんだ?」

 時間も時間だ。

 いったい誰が、と思った。



 さすがに警戒心が起こったので、のぞき穴から外をうかがう。

 そこに、先ほど道に立ってた者がいた。

(え?)

 なんでそいつがここにいるのか分からなかった。

(あとをつけてきたのか?)

 そうも思った。

 だが、自転車に人の足で追いつけるだろうか?

 第一、いったい何のようなのか?



 気味が悪いと思った。

 そして携帯電話を手に取る。

 こんな時に迂闊か行動は出来ない。

 警察にきてもらうのが一番だ。

 そう思って電話を書けるのだが。



 ツー、ツー、ツー



 不通音が響く。

 警察なのに、と驚く。

 だが、慌てずにもう一度かけ直す。

 それでも通じない。

 二度三度とやり直しても結果はおなじ。

「どうなってんだ……」

 何かがおかしい。

 この時になって、そう感じた。



 ただ、このままというわけにもいかない。

 まだ外に不審者がいるかどうか確かめる。

 扉についてる魚眼レンズののぞき穴から外を見る。

 幸い、あの不審者はいない。

 少しだけ安心した。

 だが、その直後。



 ガン、ガン



 背中の方から窓を叩く音がした。

 あわててそちらに行くと、窓に向かって拳をぶつける者がいた。

 曇りガラスになってるので姿はおぼろだが、直感的に察した。

 帰りにすれ違った不思議な者だと。

 ドアの外に立っていた不審者だと。

 そう思った途端に、男は動き出した。



 財布と携帯などを手に取る。

 家の外に出ようと思って、一度足を止める。

 台所で包丁を手に取る。

 剥き出しはまずいので、適当なバックに放り込む。

 物騒ではあるが、何かあった保険だ。

 警察に職務質問されたら言い分けが出来ない。

 だが、気にする事はなかった。

 こんな状況で手ぶらほど恐ろしい事はない。



 のぞき穴で外を確かめる。

 誰もいないのを確かめて外に。

 すぐに自転車に乗って走ろうと思った。

 だが、動き出してすぐに分かる。

 タイヤがパンクしてる事に。

 おそらく不審者がやったのだろうと思った。

 帰ってくるまでは問題なかったのだから。

「やってくれる」

 そう思いながらも自転車を走らせる。

 パンクはしてても動かせるのだ。

 修理を考えると頭がいたいが、今はここから少しでも早く逃げるのが先だ。



 無理矢理走らせた自転車で近くの交番まで向かう。

 とにかく、この異常事態をどうにかしないといけない。

「なんなんだあいつは」

 帽子をかぶった長髪の不審者。

 いったい何で家まできたのか?

 なんで窓を叩いてたのか?

 考えるまでもないと思った。

 理由はどうあれ、危害を加えるつもりだろうと。

 でなければあんな事をするわけがない。



 だから警察をたよろうと思った。

 物騒な状況なのだ、これが一番適切だ。

 そう思って交番までいく。

 ただ、バックに入れた包丁をどうしたもんかと考える。

(まあ、どうにかするか)

 今後のことは今後考えることにする。

 今はまず交番にたどり着くのが先だ。

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