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魔法少女ヴェイン  作者: 赤石雪路
10/12

捜査開始

久々の更新です。

遅れてごめんなさい

 妹誘拐ダミー事件翌日の放課後。

火織と楓華は、楓華が攫われたという道路に向かっていた。

一緒になって並んで歩く。

なんとなく気まずくなって、火織は口を開いた。


「なあ、アンタは別についてこなくて良いんだぜ?魔女捜しに。」

「そうかもしれないですけど…でもやっぱりついて行きたいです。昨日はもしかしたら私の妹が攫われてたかもしれないし。家族を巻き込みたくないから…出来る事ならなんでも協力したいんです。」


良い子ちゃんなこったな。

上っ面の綺麗事言ってる様ならさっさと巻いてるところだが、口だけじゃないようである。何せ自分の妹が連れ去られたと思ったら一人で魔女にタイマン挑むような女である。ほっといたらどうなるかわからないし、その気持ちをむげにするのも忍びない。


 「怪我とかのリスクは覚悟の上で来るんだよな?」

「もちろん」


 即答だった。

仕方ない。

 下手に離れているより自分の近くの方が安全かもな。

火織はそう理由づけた。


「じゃあ行くか。優しくエスコートなんて期待すんなよ」

「ハイ!」

「あと、敬語じゃなくて良いよ。同い年だし。あんまその、かしこまらなくても」

「は…わかったよ、火織ちゃん!」

「そこは名字で…」


名前呼びは恥ずかしかった。




現場は、随分と人気の無い場所だった。

一車線の狭い通路である。塀が高くて、見通しも悪い。確かに事を起こすにはぴったりな場所である。

火織は、上を向いてきょろきょろと辺りを見回した。


 「何してるの?」

「カメラを探してる…っと」


丁字路の電柱に魚眼レンズの監視カメラが設置してあるのが見えた。


「よし、発見」


そういうと、火織は左手首にクロックを巻いた。十二時のボタンを押す。


〈エレキ〉


バチバチと帯電を始める火織が目映く思わず楓華は目をかばう。雷光が火織を包み、姿を変えていく。雷光を払うように右腕を振ると、そこにはイエロの装束に身を包んだヴェインがいた。

イエローのジャケットにチョーカー、ホットパンツ、膝上のブーツ。クロックのついていない右腕には液晶といくつかのボタンのついた端末が装着されている。

魔法少女ヴェイン・バージョンエレキ。

雷を司る、ヴェインのスタイルの一つである。

すでに三回見ているが、やはり超常的な現象である。あまりにも簡単に行うので流しそうになってしまうのだが。


「赤色になったり、銀色になったりしてるけど、それっていくつも種類があるの?」

「あと一つあるよ。とっておきだからあんまり使わないし、秘密だけどな」


カバンからタブレットを取りだすと、楓華に投げて寄越した。

急に放り投げられ、思わず落っことしそうになる。


「おっとっととおとお?!」

「その画面見ていてくれ。」


 そういうとヴェインはカメラに向かって手のひらを突き出した。軽くヴェインが手に力を入れる。そのとき不思議な事が起こった。

タブレットの液晶にノイズが走ったかと思うと、急に砂嵐が映し出されたのだ。

砂嵐はやがて晴れて鮮明な映像が現れる。

一人の女子高生が道を歩いている。周囲の塀は高く、人気も無い。街灯がポツポツと頼りなさげに足下を照らす。

画面の外から、ゆっくりとバンが走ってきた。女子高生を追い抜いて五メートルほど距離を置いて止まった。

 次の瞬間だった。

マスクで顔を隠した男が二人、女子高生に背後から急接近し、口を塞いだのである。悲鳴を上げる暇も無く意識を失った女子高生はバンに連れ込まれ、たちまち連れ去られていった。


「これってもしかして」

「アンタが連れ去れれた二週間近く前の映像だな」


ヴェインはタブレットを拝借するとテシテシ操作し始めた。顔を拡大し、それぞれ個別に保存、車のナンバーは隠されていて見えなかったが、とりあえずできる限り拡大してそれも保存する。


「ハッキングしてるみたいだけど、これも魔法なの?手の平を向けるだけでデータを抜き取るなんて、ケータイ捜査官セブンみたいだね」

「…何それ?ハッキングしたわけじゃないし、どっかのサーバーに入った訳でもないよ。単にアンタが連れ去られたであろう日時にアタリをつけて、電子にその時間の再現をさせただけ。調べたというアシもつかなくて便利な魔法だぜ、これも」


サイコメトリーみたいなものだろうか?楓華からすれば魔法と超能力の区別がつかなかった。原理はどうであれ、全然魔法っぽくない。

何というか、テロを阻止しようとする女子高生捜査官の方が合ってる気がする。

 箒に乗ったり、杖を使って火をつけたり、そういうのが見たい気がしないでもない楓華。

しかしまだ望みは捨てていなかった。

大体の体格とかはわかったし、式神とかディスクアニマルみたいな使い魔っぽいものが登場するのでは…。



「さて行くか。」

「どこに?」

「繁華街の情報屋んとこ。キャバクラ勤めだからまだ少し暇あるだろ」


楓華が、サンタの正体を知った小学六年生の様な顔をしたのは、想像に難くない。

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