闇の侵食
地平線に向かって日が傾いていく。
陽の光が淡く、橙色に変わっていく。
日の翳りと共に、夜が来る。
暗い闇に覆われた世界、
その中心に僕は佇む。
星明かりが鼓動を打って、暗がりから一匹の獣が這い出てくる。
縁を求めて、手近な餌を放り与えた。
闇が光を喰い尽くす。
その最期の瞬間を眺めながら、しかし涙も流れない。
突如、獣がこちらに飛び掛かってくる!
喰い込む牙に、想いの枯れ果てた筈の体から
鮮血が迸る。
「獣よ、そんなにうまいか」
血などくれてやる。
肉など纏わん。
夜の底で、ただの一人と一匹しかいないのだ。
言葉などもういらん。




