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エッセイ

高評価作品の作者になろう

作者: 葦沢かもめ

・はじめに


高評価、欲しいですよね?

私も欲しいです。


でもね、評価をもらうために小説を書くのって矛盾してませんか?

小説って、何か表現したいものがあるから書く訳で。


ま、評価は欲しいんですけど。


でも自分が書きたいものを書いて認められたいですよね。

マイナーなジャンルでも、好きなんだからしょうがないですよね。


ま、評価されたら泣いて喜ぶんですけど。


……まー、たまには評価もらうための小説書くのも悪くはないかな、なんて思っちゃったり。


そんなあなたに、この記事を贈ります。



・分析の着眼点


筆者は以前、こちら(https://ncode.syosetu.com/n5616du/)で小説の「評価予測式」を提案しました。


(評価)=(露出数)×(魅力度)×(読了率)×(評価衝動率)


露出数: リンクが目に触れる数

魅力度: リンクが踏まれる確率

読了率: 読者が最後まで読む確率

評価衝動率: 読了者が作品を評価する確率



高評価の作品というのは、これら4つのパラメータが高い状態にあると予想できます。


この中で、分析しにくいのは「露出数」と「評価衝動率」です。


「露出数」は、ランキングに載ってたり、Twitterで拡散してれば増えます。でもどのくらいの期間ランキングに載ってたか、とかTwitterでのRT数とか、集計するのははっきり言って面倒です。


だからここでは、拡散させとくといいよ、くらいしか言いません。


あと「評価衝動率」については、ストーリーやキャラなどの内容で決まります。でも、これを機械的に計測するのは今の技術では無理です。だから分析もやりません。


面白いの書いてください。

あなたなら、きっとできます。



で、残るは「魅力度」と「読了率」です。この辺は、集められるデータでなんとかなるかも、という感じです。


「魅力度」は、小説の中身が分からない状態で読みたいと思えるかどうかです。挿絵がきれいとか、あらすじが面白いとか、色々と分析しにくい要素はあるんですが、ここでは単純化して「キーワード」に着目します。


「キーワード」とは、小説を投稿する時に、ジャンルとかと一緒に設定するやつです。よくあるのは「異世界転生」とか「学園」とかですかね。


小説を読む前にキーワードを見て読むか判断する人は、少なくはないと思います。


キーワードがあると検索時に引っかかりやすいので「露出数」も上がるんですが、ここでは単純に「魅力度」として扱います。



それから「読了率」は、読み始めた読者が最後まで読んでくれるかどうかです。飽きない展開とか、読みやすい文体とか、正直、書き手の腕によるところが大きいんですが、ここでは「会話率」に着目します。


「会話率」とは、小説の中でどれだけ会話の割合が多いか、ですね。会話が少ないと読みにくいですし、多すぎても内容が空っぽになるので、ちょうどいい感じに調節する必要があります。


いい感じの会話率なら、読者も読みやすいので最後まで読んでくれる確率は上がるでしょう。



というわけで、「魅力度」を「キーワード」の数や種類、「読了率」を「会話率」へと単純化して、高評価の作品を分析してみます。



・分析結果


まずは「会話率」を見てみました。


小説の評価って、色々な要素が複雑に影響しているので、いきなり「キーワード」の分析を始めるとノイズが多そうだな、と思ったので、こっちからやります。


使ったのは「なろう小説API」。


条件は、以下の通り。

ジャンル: ハイファンタジー

小説タイプ: 連載中

最終掲載日: 今月(2020年5月。集計日によって若干誤差あり)


この条件の理由は、以下の2つ。

 ハイファンタジーは作品数が多く、サンプルを集めやすいから。

 今月に更新した連載中作品なら最新の傾向を反映しやすいから。


これで評価ポイント(ブックマークを含まない評価ポイント)が上位・下位の100作品を集計しました。


結果がこれ。


挿絵(By みてみん)



上位作品だと、会話率が38±10%で、下位作品よりもばらつきが低くなりました。

つまり、高評価の作品は会話率が3~5割に収まっているものが多い、ということです。


とりあえずその辺を目指しておきましょう。


(書いている小説の会話率を計算できるエディタを、筆者は知りません。

できるなら、エクセルで関数使ってやるとか、プログラム書くとか。

困ったら、「なろう」の「新規小説作成」で、元の小説から会話文を消して保存すれば文字数が表示されるので、元の小説の長さで割り算して1から引くといいんじゃないかな。

会話文が3~5割になっていれば、会話文消す方が楽ですし)




で、次に「キーワード」です。


上と同じ条件で、会話率が38±10%の上位・下位100作品で、設定されているキーワードの数をカウントしました。

会話率を一定に揃えることで、会話率が評価に与える影響を除いています。


さらに、上位に特徴的なキーワードを探るために、「特徴度」を以下のように定義しました。


特徴度=((キーワード数(上位))-(キーワード数(下位)))/(キーワード数(上位))


特徴度は、1に近いほど上位に特徴的であると言えます。


結果がこれ。キーワード数が10以上のものを抜き出しています。


挿絵(By みてみん)


横軸が、上位作品のキーワードの各総数です。

例えば「R15」は、上位作品のうち82作品に付いていました。


縦軸は、特徴度です。

例えば「R15」は、約0.33なので、やや上位に特徴的なキーワードと言えます。


上位に特徴的なのは、以下のキーワード。


挿絵(By みてみん)


多くはハイファンタジーの中の細分化されたジャンルとして、ファンが付いてそうなイメージがありますね。

ハイファンタジー以外のジャンルでも、固定ファンがいる小ジャンルにキーワードを絞るといいかもしれません。


「R15」と「残酷な描写あり」は、上位作品に多いキーワードですが、下位作品でも多いので特徴度は比較的控えめでした。

上位に多いキーワードだから、と安易に付けても、あまり差別化にはならないかもしれません。

(この2つに当てはまる作品はキーワードを登録することが必須なので、万が一当てはまる場合も考えて多くの作品が付けているのだと思われます)


この中では「ファンタジー」が意外。大ジャンルとして「ファンタジー」を設定していても、さらにキーワードで「ファンタジー」を設定しないと、「ファンタジー」で検索した時に表示されないみたいですね(実際に確認しました)。

これはこれで「なろう」のバグじゃないかと思いますが、「露出数」を増やすためにやった方がいいです。



逆に、特徴度の低いキーワードは以下。


挿絵(By みてみん)


これらのキーワードは、「なろう」のハイファンタジーの中では比較的よくある要素だったり、意味が広くてあいまいなので、キーワードに入れてもあまり差別化にならないのが原因かもしれません。


ちなみに以下に示すように、上位では下位に対してキーワードの総数が1.5倍、種類数が1.9倍。


挿絵(By みてみん)


上位はキーワードを最大(15個)まで使うから、差別化にならないキーワードは優先度が低いとも考えられます。


それから上位は、検索に引っかかりやすいキーワードだけでなく、オリジナルのキーワードも使って作品の特徴をアピールしているのが印象的でした。ハッシュタグのような効果を狙っているのだと思います。



・まとめ

★会話率を3~5割に収めろ。

★上位に特徴的なキーワードを設定しろ。

★ジャンルをキーワードに設定するのも忘れるな。

★キーワードはいっぱい付けろ。

★オリジナルのキーワードも付けて特徴をアピールしろ。

★拡散しとけ。

★面白いの書け。


でも高評価になることを筆者は保証しないので、恨まないように。


もし高評価になったら、それはあなたが頑張って書いたから。

胸を張って自慢してけ。


では。

2020/5/16 初稿

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