表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

2話 我が名は・・・


 数本の電車を乗り継ぎ、妃沙は名古屋の地に降り立っていた。すでに太陽が沈みはじまり、辺りが薄暗くなっていた。彼女は立ち止まり上を見上げ、左右を見渡した。


 (…前世から、40年経っているわね。景観も随分変わっています。まずは高いところから、視て見ましょうか…)


 駅のロータリーを目指い歩いていく、タクシー乗り場に来ると彼女はそれに乗り込んだ。


「ご乗車ありがとうございます。どちらまで?」

「テレビ塔までお願いします」

「テレビ塔ですね。わかりました」


 自動で閉まるタクシーの扉、妃沙は深く座りなおすとタクシーは出発した。

 目的地に到着し、タクシーから降りる時。領収書を貰おうとしたが、会社を辞めた事を思い出して止めた。タクシーを降りて、目的地まで歩いていく妃沙。

 しばらく歩いていた妃沙は、前方から彼女を見ながら笑顔で、近づいてくる男性を目で追っていた。その男性は妃沙の前に来ると、彼女の前で止まった。


「コト…ワルッ!」

「は?」


 妃沙に声を掛けようと、彼女の前で止まった男性。彼女に声をかける前に断られて、驚きの表情をしていた。その男性は、自分の前を通り過ぎる彼女を、口を開けながら目で追っていた。


 (…ふふふ、私の予知能力は絶好調ね! )



 妃沙はテレビ塔に上り、展望スペースを歩き回っている。適当なベンチを見つけると、彼女はそこに座る。腕を組み目を閉じ、彼女は集中して大きく息を吐いた。


 (…北側の離れた位置に、強い力を感じる。強いけど、私の夫よりは弱い。…ほかは? あれ、北側の人が移動した? テレポートかな? まずい、視ているのバレたかな・・・そんな事より、我が夫が名古屋に居ないとは、移動したのかな? となると、探すのは骨が折れるわね)


 妃沙は立ち上がると、エレベータに乗り込み地上を目指した。テレビ塔から出ると、周辺を見渡した。


 (…先程の強い力の人は、どこに? でも、この人込みでは、私を見つけられないかもね)


 妃沙は周囲の人込みをかき分けながら、繁華街の方へ進んでいった。しばらく歩いていると、先ほどの強い力の持ち主が、つけていることに気が付いた。彼女は立ち止まり、歩道の端によると鞄から携帯電話を出した。電話を掛けるふりをして、彼女はそれが通り過ぎるのを待った。


 (…あの男の人ね。私の予知が働かないと言う事は、私より能力値が上と言う事ね。あまり、関わりたくはないわね・・・)


 その男性は、妃沙の前に来ると歩みを止め彼女と向かい合った。身長は妃沙より20cmほど高く、180cmは越えているだろう。ネクタイをしていない黒のスーツを着ていた。髪は短く、顔の感じから20代後半と言ったところだろう。その男性は、妃沙にさらに近づいてきた。


「こんばんは、お嬢さん」

「ナンパは、お断りします」


 妃沙は彼が話かけると、ほぼ同時に断る。が、その男性はうろたえる事もせず、さらに彼女に近づいてきた。妃沙は、彼の顔を見上げると彼は、顔を彼女に寄せてきた。


「貴方の能力について、お聞きしたいことがあります。同行願えませんか? 悪いようには致しません」


 彼は妃沙に聞こえる程度の小声で、彼女の耳元でささやいた。


 (…逃げるか? でも、追いつかれそうだし、どうするかな)


「近くのカラオケボックスに行きましょう。そこなら誰も聞いていませんし」


 妃沙は返答に困り、男性の言葉を聞いて固まっていた。しばらく、その男性を見つめていると。その男性は、さらに話かけてきた。


「強制的に連れていくことも出来るんですよ? 手荒な真似はしたくありません、一緒に行きましょうか」

「わかったわ、行きます」


 <強制的に>と言う言葉を聞いて観念したのか彼女は、携帯を鞄に入れると着いて行く意思表示をした。その男性に付き添われ、歩いていく彼女。しばらく歩くと男性は、1軒のカラオケボックスに入るよう左手を、その方向に差し出した。

 中に入ると男性は受付を済ませると、彼女を奥に進むよう促した。先に進むと男性は、直ぐに彼女の横に来た。ひとつの扉の前に来ると「こちらです」と言い、扉を開ける。そのまま開いた扉を手で支えながら、彼女が中に入るまで待っていた。

 妃沙は中に入り扉の近くに座った。男性はそれを確認すると、扉を閉めそのまま扉の前で立っていた。


「飲み物どうしますか?」

「ウーロン茶で」


 男性は扉の近くの電話を取る「ウーロン茶を2つお願いします」と注文をした。そして扉の近くの彼女の対面に深く座った。暫らく両者は無言が続き、店員がノックと共に入ってくる。店員はテーブルに、ウーロン茶を置くと扉から出て行った。それと同時に、男性が話し始めた。


「では自己紹介から始めましょうか。私の名は中条 希有(なかじょう きゆう)と申します。わかっていると思いますが、私は超能力者です。貴方は?」

「我が名は白井 夜巳(しらい よみ)、予知能力者です。ちなみに唐木妃沙とも、呼ばれています」


 彼女は自慢げな表情と共に、腕を組み答えた。中条はそんな姿を見て、表情一つ変えることはなかった。彼は妃沙に考える隙を与えることもなく、続けざまに話しかけた。


「では、夜巳さんとお呼びしましょう。貴方は何を探していたのでしょう? 教えて頂ければ力になりますが」

「それだけ? 何かを要求するんじゃないの?」

「それに関しては、もう少し仲良くなってからですね。私は貴方の全てを知りませんし」

「私も、貴方の事を知りませんよ?」

「そうですね・・・でも、夜巳さん。貴方は能力者を探していたんじゃありませんか? それも貴方が知っている人物を探していた、そうですね?」


 (…どうしよう? えらく突っ込んだ質問が来たけど、逃げるのは無理だし・・・はぁ、夜巳ちゃんピンチ! )


 中条の最後の質問に、黙り込む彼女。そんな彼女を見かねて、中条は更に話を進めてた。


「私には超能力者の知り合いが、何人かいます。協力できると思います、話してみては?」


 (…仕方ない。言うかな? それに私の夫は、この中条さんより力が上です。最悪巻き込んでも何とかしてくれるはずです)


「そうですね、探していたのは事実です。知っていますか? 織田 兼次(おりた かねつぐ)と言う人物です」


 <織田兼次>その言葉を言った時点で、その部屋の空気が変わった。明らかに中条の表情が強張る、その表情を察した妃沙は背もたれに背中を押し付け、彼から視線を外した。


 (…はは、何か知ってる感じ。しかも、敵対している、絶対してるわ)


 中条は深く座っていた姿勢を変え、椅子の前方に移動した。前屈みになり、両肘を膝に付け手を組んだ。ちょうど彼の口元が隠れた。


「彼とは、どのようなご関係で?」

「夫婦です」

「変ですね・・・彼は結婚していないはずですが?」

「中条さんは、彼の何を知っているのですか? 私は彼の全てを知っています」

「例えば?」

「例えば・・・千年近く生きているとか」

「ご冗談を? 人間はそんなに長く生きられませんが」

「ま、まぁ普通はそう考えるわね。あとは、極度の女好きとかかな」

「女好きに関しては、合っていますね。でも、夫婦なのに所在を知らないのは何故?」

「そ、そうね。夫婦なのに知らないって、変だよね・・・はははっ」


 (…よし、逃げるぞ! )そう思うと妃沙は、立ち上がり急いで移動する。扉の前に来るとドアノブに手を掛けた。しかし、ドアノブは回らず固かった。妃沙は、そっと振り返り中条を見た。


「残念ですが、逃げれませんよ。お掛けください」

「鍵をかけたの?」

「カラオケボックスに鍵はありません。私の力でドアノブを固定しました」

「そうですか…」


 妃沙は諦めたのか、肩を落とし部屋の中を歩く。今度は中条の対面ではなく、彼の斜め前に座った。


「夜巳さん、あなたの力を見込んで、頼みがあるのですが? もし聞いて頂ければ、織田兼次につての情報はお教えいたします」

「死期でも知りたいの? 残念ですが、私の力では貴方自身の未来は視えません」

「それも興味がありますが、別の案件です。まず、何からお話ししましょうか・・・」


 それから中条は、自身の事について語り始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ