魔王に囚われた小鳥姫は気づかない、何のこと?
はぁ、何なんだろうこの空気は、おう゛ゴホン゛⋯⋯アルはニコニコ笑ってるのに背後に何か黒いもの背負ってるように見えるし
お父様とお兄様はキラキラ笑ってるのに後ろに白じゃなく黒いブリザード背負ってるし
重いよ空気重すぎるよ、ここで1番権力ある国王様既に現実逃避しちゃって何も見てないフリしちゃってるよ
⋯⋯えーと、とりあえず、私も現実逃避しよう!そうしよう!
うん、私はまだ子供だもん、私何も知らない、寝よう、私は子供、まだ4歳、空気読むナニソレオイシイノ
「リア、眠いの?」
お兄様、察してくださいましたか、リアは眠いのです寝てもいいでしょう?
「⋯⋯⋯んぅ」
「ふふふ、ゆっくりお眠り、リア」
「おやすみリア」
「おやしゅみナシャイ、おとうしゃま、お兄しゃま」すぅ
そして私はそのまま現実逃避もとい夢の世界へと旅だった。
この時寝てしまった私は気づいていなかった
部屋の空気が一気にふわふわ、ホワホワとしたものに瞬間的にかわり
お父様とお兄様がデレデレしながら可愛いと悶えていたことも
現実逃避していた国王も優しい目で微笑みながら見ていた事も
王太子のアルが、見た女性全てを虜にし酷いものなら気を失うほどのドロドロに甘い妖艶な微笑みに、ドロドロに甘すぎる蜂蜜の底なし沼のような瞳で甘過ぎる雰囲気をかもし出して見ていたことを
リアだけでなくこの部屋にいた全ての人が気づかなかった、アルの顔が瞬きするよりも早いほんの一瞬
危険な程の狂気を含んだ悪魔の様な、甘く黒い微笑みを浮かべその目に恐怖を感じるほどの、狂気的な感情が渦巻きほんの僅かに怪しく光った事に
本人である、アルだけが気づきその表情を取り繕った事も。
リアが見えない鳥籠に閉じ込められ逃げられないよう体全体に鎖が巻き付けられた
まさしくそう表現するのが正しいように囚われたことにアル以外の誰一人として気づいていなかった。
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次に目を開けたのは馬車の中だった。
どうやらいつの間にか話し合いが終わり帰っている最中のようだ。
私は未だにお兄様によって膝抱きの状態だ
「リア、起きたの?」
「うーん」
「もう少し寝る?」
「起きる」
そして私は起きたが、どうやらお兄様は私を話す気は無いようで膝の上で抱きつかれたままだ
「リア、リアは王太子の婚約者になったから嫌でも時期王太子妃として王妃教育をしなくちゃいけない」
急にそんなことを話し出したお父様に私は「はい」と頷き言葉の続きを待った
「教育が始まるのは7歳つまり3年後に王妃教育が始まる、それから王妃教育のために週に3回登城する事になる」
「はい」
「学園が始まるのは15歳からで結婚は大体最低でも18歳、遅くて20歳の間にすることになってる、まだ14年あるいいかリア結婚するのが嫌になったり、王太子に浮気されたり王太子が嫌になったらいつでも辞めれるからその時は絶対に言うんだぞ、迷惑じゃないむしろ私達はそれを願ってる分かった?」
「は、はい、分かりましたわ」
やはりお父様達は王太子が嫌いなのでしょうか、婚約破棄を望んでると言われましてもこちらから言うのは不敬になりませんか?
まぁ、どの道いずれは破棄されると思いますし心配はないと思いますけど
破滅フラグを折るためにはアルがヒロインと親密な関係だと噂が流れればすぐさま破棄の申し出をするのが良さそうですね。
それにしてもやはり王太子の性格がすごく違う気がします、よくよく思い出してみれば国王の様子から見ても恐らくゲームとは違うと思いますし、何より兄達がゲームとはまるっきり違いますわ確かゲームでは私のことを嫌悪していたりしてまるで親の仇のように私のことを嫌っていたはずです
やはりここはゲームに似た世界であって何が起こるかわからない世界だと思っていた方が良さそうですね
何となく小説や漫画でありそうな悪役令嬢が転生者でヒロインも転生者ということがありそうな気がします、まぁそのヒロインが善か悪か分からないところですけど、それに多少の強制力もありそうですし
自分の身は自分で守る虐める気は全く無いですが用心に越したことはない、力をつける為にもお金と力が必要です
聞いた話によればギルドがあり何歳からでも登録できるようですし今週中にどうにかしてギルドで冒険者登録して名を広める事にしましょう、ま、1番の目的は単にファンタジーな世界で魔法を使って旅してみたいだけですけどね、前世でRPGバージョンをしていて憧れてたんですよね
早く憧れの魔法を使って色々な国を旅してみたいですわ、獣人にも会いたいですしエルフにも会いたいです、何よりも会いたいのが魔族です
なぜかと聞かれるとカッコイイからです、ゲームをしている時に一目見て魔族に憧れましたの、悪役転生より魔族に転生の方が良かったです
魔族早く会いたいです!まぁ、話聞いてくれなかったら仲良くは慣れないんですけどね
私は魔族にいつか会えるかもとワクワクしながらもそれを悟られないように、お兄様とお父様と和やかに話しながら家路についたのだった
────あぁ、魔法何が使えるんだろうか、すごく楽しみふふふ