表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

俺の将来がヤバい

初めまして。宜しくお願いします。

 はたと気づいてしまった。俺は、死ねなくなったのだと。

 不死って格好いいじゃない、とか。無双できるじゃん、とか。

 いやいや……。それは、時と場合によるのだよ。


 現代社会より文明が劣り、剣と魔法が横行するファンタジーな世界に生まれ落ちたなら、歓迎だったよ!大歓迎だったさ!!

 いいか?俺の記憶が確かなら……。

 ここは地球にちょっとだけ似ているが、頻繁に不思議エネルギーが発見される世界。

 日本国の特定地域が常に侵略の魔の手に脅かされ、人知れず撃退する孤独のヒーローが現れる世界です。一年サイクルで。


 日曜の朝に放送されるような世界だと思ったか?

 俺もそう思ったが、まだ先があるんだよ。

 ……パロディ。

 その世界観をパロディにしたゲームの世界なんだよ、ここは。


『暁の騎士 アポロクロス』ってな。馬型のバイクにまたがって、こう……なんというか、イカれた格好のヒーロー様が勧善懲悪するアクションゲームがな、有るんだけどさ。


 その、懲らしめられる悪の組織『デスロアー』に所属する博士が親父です。

 俺を戦闘員に改造したあと、本人が悪い笑顔で話してきたので間違いない。

 機械の体を手に入れた!やったね!!エネルギーはクラインの壺から無限ですって……。


 ハイここ。ここです。


「おいおい、クラインの壺ってアポロクロスかよ……」


 って。


「あれ、何でそんなこと知ってんの、お父さん言ったけ?」

「へっ??」


 ってなもんですわ。


「ま、いいか。裏切者の名前が丁度でたし、説明しとくかな」


 アレー?聞いたことあるよ、俺の使命。

 戦闘員に偽装して戦闘経験を積み、アポロクロスを越える存在になる。

 だから信頼する息子に、アポロクロスと同じ……か、それ以上の技術で人体改造を施した、と。

 それ知ってます。んで、よく考えたら、でるわでるわ無駄知識。

 一致するする現状と。


 はい、大好きだったゲームの世界にいます。戦闘員Cとして。


 あかーん。戦闘員Cは、だめやー。

 奴は戦鬼獣にクラスアップ改造されたあと、予想外の人気が出てさぁ。

 製作会社も、ファングッズが売れるし殺すのが惜しくなったんだろうね。

 続編の裏ボスにするんだよ。そっからが長い。


 続編が次々出るんですわ。その度に死亡撤回。悪びれもなく飄々と姿をあらわすんだぜ?それから、同じ世界観だと必ず敵味方関係無くゲスト出演。


 もう、コイツが主人公でいいんじゃないかな?って。


 んで、だ。俺の記憶に残る、コイツの最新情報と言えば……。

 そうそう、初登場した時代から千年後に発掘されて、正義側で大活躍してたぞ?

 機械化と、謎エネルギー設定のおかげでな。


 うん……。

 そこで話は戻るんだけど。俺がCなんだとしたら最低、千年はこの世界から逃げらんない?ってこと。過酷すぎるんじゃないか、おい。

 時間経過系のボッチって最終的に発狂エンドが多かったよな……。


 よし、抗おう。この世にさっさと見切りをつけ、来世に期待だ。

 が、待って欲しい。


 俺を殺せる奴がいるのか?

 自殺?謎エネルギーで蘇生しました。

 破壊?あ、米粒ぐらいの残骸があれば、謎エネルギーのおかげで完全再生できました。

 色々試しました。

 耐久性の実験ってな嘘で、親父にも協力してもらいましたが無理でした。

 痛覚ある不死身って拷問以外のナニモノでもないわな。


 ……これは、主人公に頑張ってもらうしかないのっすわー。


 将来を憂いて俺、川村 拓也はトイレの個室で咽び泣く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ