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ヤツと私  作者: カムクラ
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(2)

時系列

(1)→(2)

実は、私の実家は農家である。

実家から季節の野菜が送られてくるおかげで野菜中心の食生活となっている私は、一人暮らしを始めてから数キロほど体重が落ちた。ありがたや。


さて、そんな実家から冬の始め頃にナスが届いた。段ボール一箱分にぎっしり詰められた大量のナス。しかも一つ一つが結構な大きさである。


それから始まった私の朝昼晩ナス料理生活。

ある日の休日、夕飯を食べに来た神永秀也(高校時代からの友人。変人で変態。認めたくないが職場の上司。超エリート。解せぬ)が、私作のナスのミートスパゲティを食べながら言った。

「…ボクがこの間来た時もナスじゃなかった?」

「ナスだったね。あんた以外の友達にもナス振舞ったわよ。ここ二週間私は朝昼晩ずっとナスよ。しょうがないでしょ家から送られてくるんだから。量が多すぎて減らないのよ。友達とかお隣さんにお裾分けしても分裂してんじゃないのかってくらい減らないのよ。文句あんなら食うな」

「いや、美味しいけどさァ」


麺を器用にくるくると巻き取りながら、秀也は口を尖らせる。うん、別に可愛くはない。


「…ねぇ、知ってる?」

「何?某豆みたいな言い方して。あれって言い終わる前に食べたらどうなるんだろうね。食ってやろうか」

「なんだかイライラしてるねぇ。まぁキミに食べられるなら悪くないとは思うケド、取り敢えずボクの話を聞いてよ」


ふぅ…と溜息をつき、秀也は私の手を取った。もう一度何?と聞くが、無言のままぎゅっぎゅっと手を握ってくる。


「…ナスってさ、身体を冷やす成分が入ってるんだよ。君最近冷え性気味だって言ってたじゃない?だからなんとなく心配でさ」

「…ナスくらいで体調崩すほどヤワじやわないって」

「まぁボクもナスくらいでどうにかなるとは思ってないけどね」


言いつつ秀也は手をぎゅっぎゅっと握るのをやめない。私はというと、内容は大した事では無いのだが、心配されているという事が少し嬉しいと感じていた。

告白されてからと言うもの、なんだか段々毒されてきている気がする。いや、確実に毒されている。

それすらも満更でも無くなってきている所を見ると、私は大分重症の様だ。


「…寒いって言ったらあんたが温めてくれるんでしょ」


悪戯っぽくそう言うと、ヤツはキョトンとした顔になる。秀也にしては珍しい、予想外の事を言われた時の顔だ。

しかしそんな表情も一瞬で何時ものにやけ顔に変わってしまい、秀也は何時もの調子でクックッと喉を鳴らして笑った。


「キミがそんな事言うなんてね。イイよ、いくらでも温めてアゲル。ね、これを食べたらベッド行こうか」

「調子に乗んな」


取り敢えず殴った。

我が家ではミートスパゲティを作ると必ずナスが入ります。美味しいので好きです。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

皆様の存在がカムクラの糧となります。

もぐもぐ。



カムクラ

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