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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第11章 皇太子就任祝い武術大会
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第89話 ヒカリの謝罪

結局、オーガストさんとカラリスさんが元の世界に戻ってきたのは、サトミさんが夕食の準備ができたと呼びに来た時だ。それまで2人は、放心状態で固まっていた。

使った魔法は3回ともに空裂弾エアハンマー、つまり風属性の基本魔法だ。違っていたのは詠唱の方法だけ。つぎ込んだ魔力も同じならば、使った人物も同じ。ヒカリさんは私に、魔力を具現化したままで魔法を使わせた。それは、『同じ量しか魔力を使っていない』事を、視覚的に認識させるためだった。

そんな事よりも、サトミさんが作る料理はとてもおいしい。王宮の料理人の作る料理もおいしいのだが、あれは、素材の良さもあると思う。サトミさんは、私たちが魔法の講義をしている時に、お屋敷の近くにある中央市場で適当に材料を買ってきて作ったのだ。つまり、王宮の素材よりもはるかにレベルの低い素材で作ったにも拘らずこの味を出せるのだ。多分その腕は、宮廷料理人よりも遥かに上のはずだ。サトミさん曰く、ヒカリさんも同等の料理の腕を持っているらしい。ヒカリさん、サトミさん、あなたたち2人は何を目指しているのですか?

そう言えば、王族やら公爵やらの家柄の私たち弟子に、初日から食事の準備をさせたりしていましたよね。学園の授業にも、調理実習と簡単な裁縫とかもありますし。私は、たった今疑問に思った事を「なぜですか?」と聴いてみました。すると、帰ってきた答えが、

「騎士団に入るにしろ、冒険者になるにしろ必ずあるのが『野営』です。その時、持ってきている食材が、どんなに少なく日持ちする保存食材だとしても、おいしく食べれる工夫が必ずあるはずです。その時、どんなにいいアイデアが浮かんでも、肝心の『調理』が出来なくてはお話になりません。

また、『魔物や盗賊との戦闘』の後には、着ている服が破れる事があるでしょう。そんな時、『裁縫』が出来れば、最低限の修理が可能になります。」

と、ヒカリさんは答えてくれた。この意見には脱帽だった。私はまだ、冒険者活動はしていないし、野営は1回したことはあるが、その時は、侍女が同伴していたので、食事の心配はなかった。オーガストさんに聞くと、騎士団や軍隊では、師団単位矢大隊単位での行軍は専属の料理人が、後方支援として同伴するが、中隊単位以下の場合は、料理人の同伴はないそうだ。隊長だろうが兵卒だろうが、

交代制で料理、野営の際の見張りなどを行う。そのため、料理下手の者が調理する場合、とても領地とは言えない物が出てくることがあるそうだ。男の野営料理など、たかが知れているという事だ。そのため、少隊単位で1人の女子隊員を確保させるそうだ。それでもやはり腕の差は歴然としているが。

その日は、騎士団と宮廷魔術師の話を中心に、食事をしながらの話が弾んだ。オーガストさんがそろそろお暇しようとした際、ヒカリさんが思い出したかのように呼び止めた。

「そろそろ私どもは、お暇させていただきます。メーリア様は、大会終了までは鷺宮家にお世話になるんでしょうか?」

「はいそのつもりでいます。私は、これでも学生の身分でもありますので。これから座学の補習を受けなくてはいけません。」

「そうですか、無理はせぬように、明日もまだ試合が控えていますから。それではヒカリ様、メーリア様をよろしくお願いします。

それと、よろしければ、私どもにヒカリ様の魔法を、いくつか伝授していただきたいのですが。」

「はい解りました。

…そうですね。オーガストさんとカラリスさんには、無償でお教えしてもいいですよ。試合後から今まで、私のつたない話に付き合ってくれましたので。それと、試合の時はごめんなさい。試合で騎士団の皆さんの武器や武具を、無に還してしまいましたので、この場で謝罪をします。そのお詫びと言っては何ですが、お2人には、何か新しい武器でも見繕いましょう。この中から好きなものを数点持って行ってください。」

そう言うと、ヒカリさんは、机の上に大量の武器を出しました。

「ヒカリさん、何処から出したのですか?」

思わずカラリスさんが聞いてきました。私も不思議で仕方ありません。

「私の影の中には、闇の倉庫ダークスペースと言う闇魔法で、広大な空間が広がっています。その中にいろいろなものを収納して持ち歩いています。」

「ちなみにどのくらいの広さがあるんですか?その影にある空間は。」

私は聴いてしまった事を、この後後悔する事になります。

「そうね、今は10個くらいの区画に分けてあって、広さとしては、一番小さいものでこの部屋くらい、一番大きなもので、ここロンドリアの町壁の中くらいの広さはあったかしら。」

これには全員乾いた笑いしか起きなかった。高さは言っていなかったが、きっととてつもなく大きな空間なんだろう。

「ちなみに私にも作れますか?」

「メーリアは大丈夫よ。あと、闇属性を持っていれば、誰にでも構築できるわよ。オーガストさんたちは、闇属性は持っていますか?」

「私はメインでは使っていませんが、一応持っています。」

オーガストさんは持っているようだ。

「私も持っています。」

カラリスさんも持っていた。

「では、今から闇の倉庫ダークスペースを影の中に構築してしまいましょう。これさえあれば、大量の武器や食料品、日常品などをいちいち持ち歩かなくても済みます。中の空間は、あとで分けれますので、その方法もお教えしますね。さあ、そこに並んでください。」

こうして私たち3人は、闇の倉庫ダークスペースをヒカリさんから授けてもらった。私は早速、闇の倉庫ダークスペースの中に、数日分の着替えと、メインとして使っている武器、聖剣『月夜見の剣』をしまう。あてゃ、帰りにでも、王都でしか売っていない食べ物をたくさん買っていこう。闇の倉庫ダークスペースの中に入れておけば、いつまでも新鮮なままで保存されているからだ。

オーガストさんとカラリスさんはそし、ヒカリさんらいくつかの武器を貰い鷺宮家を後にした。

オーガストさんは、ヒカリさんとタケルさんも愛用している『魔法剣マジックブレードの柄と籠手』。この武器は、とても高度な魔法で、尚且つ大量の魔力が必要となる『魔法剣マジックブレード』と言う魔法を、少量の魔力で発動できるようにした魔道具で、剣士が今一番欲しい魔道具らしい。ただ、普通に買うと金貨1500枚ととても高価で、手も足も出ない価格だ。団長の給料でも買えないとか。

次に、たまたま手に取った、聖剣『黄昏の鎌鼬』を貰っていた。手に取った理由としては、

「剣に吸い込まれるような感覚があり、気づい時には手に持っていた」

と言っていた。ヒカリさんはそれを聴いて、

「オーガストさんは、剣に選ばれたのですね。『聖剣』や『魔剣』と呼ばれる刀剣は、持ち主を選びます。剣に選ばれた者でなければ、その剣の性能を100%発揮する事は出来ません。メーリアも、『月夜見の剣』を初めて手にした時、オーガストさんが仰っていた感覚があったと思いますが、どうですか?」

「…、確かにあの時、初めて『月夜見の剣』を手に取った時、何か自分自身を手に持っているような感覚がありました。」

「その感覚こそが、『剣に選ばれた』証拠なの。」

私たち3人は、聖剣について、いろいろな事を話しました。

話を戻しますが、この聖剣、刀身が少し白みがかった半透明をしており、剣に送り込む魔力の属性に合わせて、色を変えて最高純度の属性剣になる。もちろん魔力を込めていない時でも、最高の切れ味を発揮する。そこらにある鋼の剣など、紙切れのごとく斬ってしまう。『魔法剣マジックブレード』でも、込めている魔力次第では太刀打ち不可能らしい。

これに対抗できるのは、私の持つ聖剣『月夜見の剣』と、ヒカリさんの持つ聖剣『龍王の鳳凰剣』だけだ。つまりオーガストさんは、この世にある刀剣類の中で、上から数えて3番目に当たる剣を手に入れてしまったのだ。

次に、『電信指輪』を10個。これは、登録している指輪同士なら、距離が離れていても会話をする事ができるものだ。ヒカリさんをはじめとした鷺宮家の家族は既に持っており、実は私も持っている。先日の皇太子就任式の時に、ヒカリさんから頂いており、お父様とお母様に1つずつ持ってもらい、何時でも会話が出来るようになっている。まだ使った事はないけれど。

水玉アクアキューブ』と、その発展型である『温玉ホットキューブ』。『水玉アクアキューブ』は、その名の通り、いつでもどこでもきれいな水が手に入る魔道具で、『温玉ホットキューブ』は、指定されている温度のお湯が出てくる魔道具だ。オーガストさんは、45℃と90℃の2種類を貰った。

カラリスさんは、魔術師らしく『賢者の杖』をもらっていた。この杖、ステータスが半端なくすごい。

1つ目は、普段使用していない魔力を溜めておく事が出来、いざという時に使うことが出来る。溜めておける量は、持ち主の保有魔力量の10倍まで。

2つ目は、魔力増強と魔力回復機能だ。魔力を杖に溜めこむ際、少しの負荷をかける事で常に少しずつ魔力を使用している感じにする。ある程度杖に魔力を送り込むと、持ち主の魔力を使って魔力を回復させる。これを毎日繰り返す事で、自然と魔力量が増えていくのだ。

3つ目の機能がすごく、登録された魔法を、発動キーカオスワードを唱えるだけで、言霊を詠唱した時と同じ威力で放つことが出来る。登録できる魔法は10個。登録する際は、『言霊』で登録する必要があるが、カラリスさんは、私が編み出した『氷結地獄フリーザーフィールド』と、ヒカリさんの使った『降り注ぐポウリング千条の光の矢サウザンドライティングアロー』とこの場で登録した。あとの8つは、追々考えるのだそうだ。それぞれの魔法の言霊が解らないので、登録する際は、ヒカリさん「頼みます」と言っていた。一体どんな魔法を登録するのだろうか。

そして、最後に『魔力計測器マジカルテスター』を貰い受けていた。騎士団や宮廷魔導士では、未だにスキルカードでの管理はされておらず、これを機に導入するみたいだ。ヒカリさんや私、そして、自身のカードを鷺宮家で作り、その出来に感動したらしい。身体的スキルと魔法的スキルが一目で確認でき、力量差がはっきりと形になる事がいいみたいだ。

数日後、他のメンバーだった4人がヒカリさんに押しかけて来たのは余談だ。何でも、「私たちも、装備一式壊されたのに、団長と魔術師長だけに武器を無償で譲与したのは不公平」だと。これを聞いたお父様は、この4人を呼び出し2時間ほど説教をして降格処分をしたそうだ。

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