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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第10章 月夜見の神子
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第81話 月夜見の試練

夕食後、約束通り王都にある総本山に来たメーリア一行。

「本日はお忙しい中、私の呼びかけに応じてくださりありがとうございます。呼び出した要件は、これからメーリアが行うある試練の立会人を務めてもらいたく存じます。」

ヒカリに手招きされて、神殿の奥から姿を現したメーリア。今メーリアが着ている服は、ヒカリが神殿で来ているのと同じデザインの服だ。ヒカリも同様に、神子の衣装に身を包んでいる。ヒカリの目の前まで進んだメーリアを、ヒカリはもう一度問う。

「メーリア=サンダレスに問う。汝は、光の神子の前において、神々の1柱、『月夜見の3姉妹』の試練を受けるか?」

メーリアは、初めて何の試練を受けるのかを聞いた。されど、既に心を決めているらしく、即答で答える。

「光の神子様、私メーリア=サンダレスは、この場において『月夜見の3姉妹』の試練を受ける決心です。」

「それではこれより、『月夜見の3姉妹』の試練を開始する。メーリアよ。次に示す言霊を詠唱し、月夜見の3姉妹を顕現させて見せよ。」

ヒカリは、言霊の書かれた紙をメーリアに見せる。そして優しく語るヒカリ。

「メーリア。自分は神を顕現させることが出来るのだと、強い意志をもって言霊を詠唱しなさい。あなたの思いが届けば、きっと呼び出しに応じてくれるから。」

「はい、ヒカリさん、私、がんばります!」

メーリアの肩を叩いて、エールを送るヒカリ。ヒカリが退くと、メーリアは、軽く目を瞑って精神を集中する。約1分、精神を落ち着かせたメーリアは、目を瞑ったまま両手を地面に向けて詠唱を開始する。

「このネックレスは、我と共にある我の片割れなり

宝玉に宿る聖霊は我の友であり我の半身

我の名はメーリア=サンダレス

加護のネックレスの所有者であり光の神子に師事する者」

加護のネックレスに着けられている宝玉が輝きを増し、メーリアの足元に複雑な模様の魔法陣が広がる。いつもメーリアの肩に乗っかっているコロナも、宝玉とともに輝きだした。

「我求め流離うは光の眷属

我願わくは闇よりいずる光の化身

天上に輝き闇夜を照らす光の加護者よ

我の願い、我の求めに応じ、その輝きを一身に纏う一筋の光明となる」

足元の魔法陣が輝きを増し、新たに3つの魔法陣が姿を現した。

「我求め誘うは月夜見の3姉妹

月の光は我を照らし指し示す道標

光の神子は日天を遍く照らす

我願い成すは闇夜を照らす月夜見の神子

第1の女神エクシア、第2の女神ガイア、第3の女神タリンよ

我の求めに応じ姿を現せ」

3つの魔法陣が輝きを増して、メーリアの足元の魔法陣とともに白い光の柱を立ち上げる。

「顕現せよ『月夜見の3姉妹』」

メーリアが名を呼んだ瞬間、光の柱の中から3人の女神が現れた。蒼い髪を膝下まで伸ばした3人の女神。それぞれ白黒赤の色違いのロングドレスを纏っている。それからメーリアを3姉妹の動きが止まった。

「ヒカリ様、メーリアはいったい何をしているのですか?」

王妃でのエリーゼが、心配になってヒカリに聞いた。

「今は、3人の女神からの試練を受けている最中です。試練を無事通過すれば、メーリアは、晴れて『月夜見の神子』になります。」

「それでは、メーリアを信じて待つよりほかありませんね。」

「はい、メーリアはとても強い魂を持っています。無事試練を通過できるよう、見守りましょう。」

メーリアを見守るのは、ヒカリと両親、それにここの大神官の4人。静かに時間は過ぎていった。

===============

私は、月夜見の3姉妹を顕現させることに成功しました。しかしここからが本番です。どんな試練なのかは解りませんが、無事通過して『月夜見の神子』になるのが、私の願いであり、ヒカリさんの願いでもあります。

『我等を呼び出した者よ。汝は、我等の示す試練を受けるか?』

私と正対している白いドレスを着た女神さまが、私に聞いてきました。

「はい、私メーリア=サンダレスは、月夜見の3姉妹の試練を受ける用意があります。」

『汝、これより我らの試練を開始する。

我等が汝に問うのは3つの理。

1つ、月天を守護するは誰か。』

メーリアは答える。

「月夜を守護する存在は、光と闇の龍神だと思います。月は太陽、つまり光の化身である光龍フレクシアの光を浴びなければ輝く事は出来ません。また夜の闇が深いほどその輝きは一層増すので、黒龍ダークネスの加護を受けていなければなりません。」

『次に問う、闇夜を照らす月光に汝は何を思う。』

「闇を温かく包み込む、母なる光です。」

『では最後に問う、汝は我等に何を求める。』

「私は、…私は、月夜見の女神さまに、良き友人であり隣人になってほしい。そして、光の神子様と一緒に、私を善き未来へと導いていってほしい。これが私の願いです。」

『汝に我等月夜見の3姉妹の力を与え、我等の神子と認めよう。我らの御霊の欠片を、汝の友であり半身である宝玉の精霊に宿らせよう。これで汝は我等の化身であり代行者となる。』

女神たちは、宝玉に力を与えると、薄くなりながら消えていった。メーリアの肩に座っている聖霊コロナは、女神たちの御霊の欠片を現すように、その姿を大きく変えた。元々拳大ほどしかなかった背丈は、倍ほどの大きさに成長し、長く伸びた金髪には、白黒赤の髪の色が混ざっている。服装も白一色のドレスだったのが、白と黒のツートンのドレスに、赤いローブ姿になっていた。

足元の魔法陣が完全に霧散した後、メーリアは、ヒカリたちの元に歩いていく。

「試練は無事通過できたのね、メーリア。」

「はい!ヒカリさん。父上、母上。無事に、『月夜見の神子』になることが出来ました。」

両親に頭を撫でられてうれしそうに笑うメーリア。それを暫く堪能したのち、ヒカリは隣に佇む大神官とともに、メーリアに声をかけた。

「メーリア、実はあなたには、もう一つやってもらいたい事があります。」

「何をやってほしいのですか、ヒカリさん。」

「メーリア。あなたには、ここの大神殿で私と同じように、神子として働いてもらいたいのです。ただし、本格的に神殿で働くのは、学園を卒業する4年後からです。それまでは、私の下で修業をする事になりますが、どうですか。やってみますか?」

「神殿でのヒカリさんと言うと、神事で加護を与えたり、神官のお手伝いをしたりするあれですか?」

「その通りです。しかし、あなたは皇太子でもあり、次代の王でもあります。当然国の政治が中心となり、神殿の仕事は後回しになっても構いません。」

「メーリア様、我々総本山の者は、神子様をお迎えしたいのです。もちろん、メーリア様が神子となられた神と、神殿に祀られている神は違います。それでも、神子様がいてくださることが、何よりも大切なのです。

ヒカリ様が言われた通り、メーリア様はこの国の皇太子であり時代の王です。そして今は、鷺宮魔法学園に通う生徒です。学園に通う4年間は、そちらを優先してくださって結構です。しかし、メーリア様の御体が開いている時だけでも、我神殿に来て下さるだけでも、我々は歓迎いたします。」

「そこまで大神官様が仰られるのなら、神子としてここで働かせてもらってもいいですか?」

「ありがとうございます。お優しいお心遣い、感謝いたします。先程も言いましたが、メーリア様が学園を卒業するまでは、学業の方を優先してもらって構いません。」


ヒカリさんと大神官様、私の3人の話し合いの結果、メーリアが大神殿で『月夜見の神子』として働くのは、4年後の学園の卒業後となった。これは、10歳と言う年齢も関係するが、皇太子として帝王学も学ばなくてはならず、基本的に時間が取れないからだ。今度の7月に行われる『降誕祭』で行われる加護を与える神事については、光の大神殿で光の神子の付き人として神事に参加する事になった。神子としての修行も兼ねているのだ。

「メーリア、今日はもう遅いのでこれにて終了とします。明日から行われる皇太子就任祝いの武闘大会に参加するため、今日はゆっくりと休みなさい。

明日の予定は、朝食に2時間前に鍛錬場で、最終調整といきましょうか。」

「お休みなさい。ヒカリさん。明日の朝食前に、鍛錬場ですね。」

城に戻ったメーリアとヒカリは、明日の予定を決めてそれぞれの部屋に戻っていった。


翌日の朝5時、城内にある鍛錬場では、ヒカリとメーリア、そして訓練の様子を見学するため国王がいた。

「おはようございます。ヒカリさん。」

「おはよう、メーリア。昨日はぐっすりと眠れましたか?」

「いえ、『月夜見の神子』になれた事が嬉しくて、なかなか眠ることが出来ませんでした。」

「まあ、大丈夫でしょう。昨日教えた魔力強化は、睡眠不足にも効果があるので、ある程度眠れていれば大丈夫です。

では早速、昨日の復習から。魔力強化をしてから、準備運動を兼ねて『今上流格闘術』の型をはじめから通しで行っていきましょう。」

「はい、ヒカリさん。」

ヒカリとメーリアは、相対して1の型から順にこなしていく。すべての型をやり終えると、今度は実剣を手に打ち込みを始める。ヒカリの手には、出力を大幅に抑えた魔法剣マジックブレード、メーリアの手には、聖剣『月夜見の剣』が握られている。1時間ほど、実戦さながらの剣の訓練を終えた後、今度は魔法の講義となる。ヒカリとメーリアは、長時間訓練で激しく動いていたにも拘らず、汗こそ掻いているが、息1つ乱していない。

その様子を見ていたマルキネスと、近衛騎士団の団長は、驚愕の表情をしていた。普通ならあそこまで激しく動いていれば、息が乱れていてもおかしくはないのだ。ましてや、10歳の少女であるメーリアならば、地面に倒れていてもおかしくない。自分ですらも、肩で大きく息継ぎをしているだろう。しかし実際は、ヒカリもメーリアも、息ひとつ乱さずに平然と歩いている。そして休憩も挟まずに、これから魔法の訓練に移るのだ。その魔法の訓練も、普通の常識が通じない物だった。

「さてメーリア。これから魔法の訓練に移りますが、あなたはすでに、詠唱なしでほぼすべての魔法を放つことが出来ます。」

「それはどういう意味ですか?魔法とは、『イメージ』『詠唱』『発動キーカオスワード』の3点セットで発動すると、学園でも、ここの宮廷魔導士からも、そう教わっています。」

「確かに、一般の者が魔法を放つときは『イメージ』『詠唱』『発動キーカオスワード』の3点セットで発動します。それは、『詠唱』が、術者が『イメージ』するモノを魔方陣にするための行動だからです。

しかし、私たち神子になると、その大部分を省略することが出来ます。頭の中でイメージして魔力を与えれば、あとは勝手に魔法が発動します。発動キーカオスワードを唱える事さえしません。私は発動キーカオスワードだけは唱えるようにはしていますが。あとは、詠唱をしてから魔法を放つと、威力が詠唱なしよりも10倍ほど上がります。

たとえばこんな感じです。」

ヒカリは、100メートルほど先の的に標準を合わせると、右手に魔力を込め、イメージを形作り、そして一言、

空裂弾エアハンマー

と呟いた。ヒカリの翳した右手からは、不可視の暴風が的にめがけて放たれる。瞬間、大きな爆音を立てて、的の合ったあたりが吹き飛ばされた。

「風属性の基本魔法ですらこの通りです。これでも、小指の先ほどしか魔力を込めていません。

メーリア、あなたもやってみなさい。」

今度はメーリアの番だ。ヒカリに言われた通りに、まずは頭の中でイメージを膨らませる。ヒカリさんが風の基本魔法を使ったから、自分は水の基本魔法を使ってみよう。イメージするのは、拳大の水の塊。少しアレンジして、着弾と同時に瞬間的に価値故地に凍らせてみよう。そんなイメージを頭の中でする。そして、どのくらいの魔力を込めようかと考え、拳よりも一回り小さな大きさの魔力を放出する。そして、頭の中に浮かんだ発動キーカオスワードを唱えた。

水球凍結弾アクアフリーズ

メーリアの右手から放たれる透明な水球は、着弾と同時に四方八方に拡大する。瞬間、壁や地面が瞬く間に白く冷凍された。その範囲は、直径30メートルほど。広い鍛錬場の約1/3が冷凍された。メーリアたちが立っている場所まで、ひんやりと冷気が漂ってきている。

「ありゃりゃ、少し魔力を込めすぎたわね、メーリア。どのくらい魔力を込めたの?」

「…はい、そのようですね。私の拳よりも一回りくらい小さな魔力球を込めたのですが、…それでこの威力ですか。」

メーリアは、自分のしたことなのに、唖然として固まっていた。

「メーリア、スキルカードを見てくれる?」

ヒカリに言われて、スキルカードを具現化するメーリア。カードの表記を見てメーリアは固まった。

===============

【カード番号】001-17450-0155

【種別】人間族

【名前】メーリア=サンダレス(女)

【生年月日】17440年10月22日生(10)

【ギルド口座残高】??テラ

【所属】フレア教ロンドリア大神殿属託大神官(月夜見の神子)・鷺宮魔法学園高等部1年1組・コロラド王国第4王女(現コロラド王国皇太子)

【身体的特徴】

身長/体重(132/22)

知力レベル(33/100)

使用体力量/保有体力量(10/1500)

【魔法特性】

魔法レベル(88/100)

魔法属性 光闇風水火地

使用魔力量/保有魔力量(1/1950000)

魔法構築能力(92/100)

【戦闘特性】

戦闘レベル(56/100) 

冒険者ギルドランク ?

使用武器 聖剣『月夜見の剣』

【戦闘スキル】

護身用基本体術(48/100)

今上流格闘術(59/100)

コロラド王国騎士団剣技(56/100)

召喚術(100/100)

===============

「ヒカリさん、私の保有魔力量が、50000から1950000に跳ね上がっているんですが、どうしてですか?」

最初の50000もアホみたいな数値だったのだが、今の魔力量の1950000って、何の冗談かと思いたい。ヒカリさんの保有量の5000000よりかはましだが。

「それはね、メーリア。保有魔力量が上がったのは、あなたが『月夜見の神子』になった副産物ね。今後普段魔法を使う際、魔力を最少…多くても小指の長さ程度に抑えなさい。そうしないと、ちょっとのつもりが、町ひとつ破壊しかねない威力になるから。」

「はい、そうします。」

「それから、メーリア。今日から行われる武術大会。使用する魔力は、小指の先以下にしなさい。そうしないとただの蹂躙になってしまうから。」

「そうですね。全力でやったら、死人が出てしまいますね。」

もう笑うしかなかった。この時点で、王国の宮廷魔導士で、事魔法戦ではメーリアに敵う者はいなくなった。

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