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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第10章 月夜見の神子
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第80話 メーリアの弟子入り日記②『今上流格闘術』

「貴様!殺してやる!」

ライラレスは、大きく剣を振り上げると、背中を向けているヒカリに斬りかかった。誰もが最悪の事態を想像した。しかし、ヒカリは、斬られることもなく平然と立っている。ヒカリに振りおろされた剣先は、中ほどから無くなっており、無くなった剣先が、ライラレスの喉元に突き立てられていた。

ヒカリは、大きく溜息を吐いてからライラレスを睨み付けると、明らかに面倒くさそうな顔をしながら話す。

「あなた本当に王族ですか?こんな場所で、王の許可もなく武器を振りかざせば、どんな身分の者でもそれ相応の罪になる事など、火を見るまでもなく明らかな事ですよ。それにあなたは、先ほど私を『光の神子』だと認めました。『龍神の神子』とは、その龍神の化身であり代行者でもあります。つまり、あなたが剣を振りかざしたのは、他の誰でもなく『光龍フレクシア』という事になります。

貴方が起こした行為は、今すぐ消し炭にされても文句の言えない行動ですが、国王の前ですので私を斬ろうとした剣の没収で許してあげます。国王様、このバカの処分はお任せいたします。」

ライラレスの持っている剣が不意に消え、ヒカリの手元に現れる。ヒカリは、剣を一頻り見聞する。

「なかなかいい剣をお持ちのようですね。腐っても第1王子ですか。」

そう言い残して、剣を空中に放り投げた。剣は、何もない空中で滞空している。ヒカリはそれを見ながら詠唱を開始する。

「光を切り裂く闇の剣、闇を駆けるは雷光の御剣

風を切り裂き水氷を渡る、大地を撫でるは劫火の調べ

全てを纏うは始まりの詩

聖なる光に纏い集まれ海神わだつみの邂逅

我に願い集まり、彼の剣を聖剣に変えよ

願わくは求めよ

『月夜見の剣』」

詠唱が終わると、空中にある剣が一際白く輝いた。剣を上下に通り過ぎるように、現れた魔法陣が通過していく。魔法陣が消えるとヒカリの手元に戻ってくる聖剣。ヒカリは、その剣を持って国王の元へと歩いていった。

「コロラド王国国王、マルキネス=サンダレスに、聖剣『月夜見の剣』を贈与いたします。願わくは、次代の国王となる者にこの剣を下賜する事を。」

「承りました。この聖剣は、次代の国王たるメーリア=サンダレスに下賜する事をお約束いたします。」

恭しくマルキネスは、ヒカリから聖剣を受け取った。その光景を黙ってみていたライラレスは、ここぞとばかりに政権の所有権を主張した。

「父上、その剣は、もともと私のモノです。聖剣となった今でも、所有権は私にあると思います。」

「黙れ、うつけものが!お前は、私の許可なく謁見の間で剣を抜いた。さらに事もあろうか、光の神子様に剣を向けた罪は、万死に値する重罪ぞ。今この場でお前に対する判決を言い渡してもいいのだぞ。これ以上の罪を重ねたくなければ、黙ってこの場を立ち去るがよい。」

兵士に連れられ、謁見の間を去るライラレス。それを一瞥した後、マルキネスは、宰相に目配せをした。

「コホン、少しごたごたがありましたが、これより『皇太子叙任』の式典を始める。ライブスト様とエリシア様は、他のご兄弟の元に行かれよ。光の神子様は、お席の方へ、メーリア様は、玉座の前にお進みくだされ。」

皇太子叙任式は、その後何事もなく進み、メーリアに皇太子の座が宣言された。式典も大詰めとなり、国王からの祝いの品の贈与となる。

「コロラド王国の新たなる皇太子メーリア=サンダレス。時代の王になる其方に、先ほど光の神子様より賜った聖剣『月夜見の剣』を下賜する。」

国王は、両手に聖剣を盛りながら玉座を立つと、メーリアの元まで歩いていく。国王からメーリアは、両手でしっかりと聖剣を受け取った。

その夜、皇太子叙任の祝賀を祝うパーティーが開かれ、メーリアは時の人となる。国王夫妻と3人で座る席には、貴族たちからの祝賀の挨拶と、贈答品が届けられている。パーティーも佳境に近づいた頃、踊り疲れてフラフラになりながらも、メーリアはヒカリに相談をした。

「ヒカリさん、明日からまた学園ですよね。でも、まだまだ明日も叙任式の関連行事があります。主役である私が欠席と言うのは少し問題があります。どうしましょうか?」

「…、そうね。私から補修を受けるという事で、補習の期間を含めてメーリアには、1週間の休暇を与えましょう。マコトには、タケシから伝えてもらっておくわ。タケシは、これが終わったらカランに変えるんでしょう。」

「ああ。俺も明日は、学園で授業があるからな。ヒカリは、メーリアに付き添うつもりだろう?」

「ありがとうございます。」

「私の補習は、少し厳しいわよ。覚悟は出来てる?」

「はい、望む処です。受けて立ちましょう。」


翌日の午後、ヒカリとメーリアは、王城内の鍛錬場にいた。今日は午前中に、叙任式の関連行事があり、午後は自由時間なため、学園の補修をこの場を借りて行うのだ。今の服装は、私は、汚れても破れても自動洗浄、自動修復してくれる鷺宮魔法学園の制服、ヒカリさんは、白い長袖Tシャツに黒色の袖なしベストを羽織り、赤白のチェックの膝丈スカートに黒色のタイツを合わせています。この服装は、冒険者として活動する時に着ている服装だそうです。もちろん、学園の制服同様、『始原還元魔法』が、服装の何処かに刺繍してあります。

「メーリア、明日からの闘技大会ですが、補習の一環として参加しなさい。実戦こそ最大の特訓になります。」

「それは構いませんが、私、魔法は何も学んでいませんよ。今のままでは、1回戦で負けてしまいます。どうせ出るのなら、優勝してみたいです。」

「なかなかいい心がけです。まずは、昨日までの復習です。学園で教えている『今上流格闘術』を少しでも上達させますよ。」

「ヒカリさん、何故学園では、『今上流格闘術』を教えているのですか?この格闘術は、コロラド王国にはないのですが。」

「それはそうでしょう。『今上流格闘術』は、私にいた地球にある格闘術です。タケシは、あちらの世界では『今上流格闘術』の師範代でした。今は師範ですね。ちなみに私が師範代です。

『今上流格闘術』のいいところは、体術や剣術などの武術を取り込んで昇華させ、発展させて新たな武術を構築していく事にあります。なので、剣術は剣術、体術は体術と、それぞれ別々に基礎さえ身に着ければ、あとはベースとなる部分に組み込んでいくだけです。

こちらに来てからは、それらの武術に、魔法すらも取り込んでいるので、実質テラフォーリア最強の武術です。」

「そんなに素晴らしい格闘術だったんですね。」

「ではまずは、準備運動を兼ねて組手から始めましょうか。」

ヒカリとメーリアは、組手を始めた。最初はゆっくりと基本の型から始め、段々と速度を上げていく。1時間ほど型の練習をした後、休憩を入れてここからが本番だ。

「メーリア、ここまでは、入学してからの復習です。よく鍛錬していますね。少し雑な部分もありますが、基本の型が体に浸み込んできています。ここからが、今週の授業で習う部分になります。」

「毎朝必ずやっている日課ですから。しかし、同じだけ運動しているのに、どうしてヒカリさんはそんなに元気なんですか?」

汗だくになり大きく息を吐きながら、ヒカリと相対するメーリア。対してヒカリは、少し汗は掻いているモノの、息は上がっていない。

「メーリアには黙っていましたが、これも『今上流格闘術』の一つです。基本の型に少し応用として魔力強化をしているだけです。まずはこれから覚えていきましょうか。」

ヒカリは、メーリアに対する『今上流格闘術』の訓練方法を頭で構築していく。

「まずは、体力を元に戻しましょう。まずは、大きく深呼吸をします。」

ヒカリに合わせて深呼吸を始めるメーリア。

「次は、拳大に具現化した魔力を、霧状にして深呼吸とともに吸い込みます。この時、魔力が、体内をまんべんなく循環するイメージを付加しましょう。深呼吸とともに、これを数回繰り返します。」

ヒカリに言われた通りに数回行うと、メーリアの体力が劇的に改善した。

「とても感動しました。魔力が、こんな使い方もできるなんて知りませんでした。」

「とりあえずは、これが基本になるからしっかりと体に叩き込んでおくように。いいわね、メーリア。」

「はい、わかりました。」

「それじゃあ、次に行くわよ。最初から魔力を体に纏うやり方を教えます。さっきと同じように深呼吸をします。体力回復の時は、霧状にした魔力を吸い込みましたが、今度は、息を吐くときに魔力も一緒に吐き出します。

この時、足元から薄い魔力の膜を作っていく感じをイメージします。纏う魔力の膜に、いろいろなイメージを付加する事によって、魔力強化をしていきます。今回は練習なので、とリあえず魔力の膜で躰を覆っていきましょう。」

「メーリアは、魔法の感性がいいですね。僅か数回でモノにしてしまいました。」

「ありがとうございます。」

「次は、魔力を纏った状態で、組手やりましょうか。無意識でも魔力を纏った状態でいるように。」

「はい、わかりました、ヒカリさん。それではよろしくお願いします。」

ヒカリとメーリアは、魔力を纏った状態で、組手を始める。最初は、素手対素手。応用の型として、素手対武器による格闘も組み込まれていく。魔力強化で、武器を受ける手を硬化することが出来るため、武器を素手で受け流すことが出来るのだ。

2時間ほどの組手が終了した時点で、汗こそ掻いているが、少し息は上がっているが、それほど疲れは出ていない事に、メーリアは驚いていた。

「ヒカリさん、この魔力強化はすごいですね。こんなけ動き回ったのに、まだまだ体力が有り余っています。それに、それほど魔力も使っていない様に感じます。」

「今でこそタケシもできるけれど、もともとはあまり体力のない私が、長時間戦闘をするために編み出した技術だからね。ごく少量の魔力で、最大限の効果を出すのに苦労しました。」

「それはそうと、明日から始まる武術大会は、この魔力強化と、メーリアが今まで習った魔法と剣技で、予選くらいは突破できると思うわよ。個人戦だけでも出てみる?」

「その事なんですが、もちろん個人戦には出場します。もう一つ、2~6人で出る団体戦があるのですが、ヒカリさんとペアでそちらにも出場したいのですが、一緒に出てもらえませんか?」

ばつが悪そうにヒカリに聞いてくるメーリア。その光景が微笑ましく関じたヒカリは、二つ返事でOKする。

「いいわよ。その代わり私は、全力を出さないから。まあ、相手のもよるけれどね。私はサポートの廻るから、基本はメーリアが相手をしなさい。」

「それは分っています。一瞬で終わったら、楽しくありませんし、なによりも私の訓練になりません。武術大会は、私に対する補習の一環なんですから。」

「よく言い切りました。それでこそ私の1番弟子です。そんなあなたに、魔法力アップのため、とある試練を受けてもらいます。試練を受ける用意はありますか?」

ヒカリの問いに少し黙考したメーリアは、はっきりとした口調で答えた。

「どんな試練かは解りませんが、受けれるというのなら受けて立ちます。」

「それでは夕食後、国王様とともに、神殿に向かいましょう。」

「はい、わかりました。父上にも伝えておきます。」

こうしてメーリアは、とある試練を受けるため、神殿へと向かうのであった。

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