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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第9章 帝国軍の侵攻
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第69話 帝国軍の壊滅

合同会議から数日後、カランの北20キロに帝国軍が姿を現した。

散発する戦闘を勝ち進んでいた帝国軍の総司令官インダス=レミリアンは、順調すぎる進軍速度に危機感を募らせていた。このままいけば、あと一日もあればカランに着いてしまう。

他の閣僚たちは、カランの司令官の無能プリを嘲笑っていたが、インダスだけは違っていた。きっとそろそろ何か仕掛けてくるはずだ。それが何かは解らない。

斥候の報告でも、数日前に冒険者ギルドと、何やら会議を開いていたが、大きな戦闘もなくここまで来てしまった。

もう一つ侵攻上で、大きな問題が持ち上がっていた。カランの町を覆う大結界が張られたのだ。先遣隊に命じて、結界の破壊をさせているのだが、破壊できたという報告は受けていない。つまり、破壊できずにいるのだ。

とりあえず、カランの北15キロにあるトンビ村に指令所を置き、カランを攻略しようと計画を立てた。

トンビ村に着くと、村人はすっでに避難したのか、誰もいない無人の村がそこにはあった。兵士たちは、適当に村の家に勝手に入り込んで、備蓄されていた食料を貪り始めた。

暫くすると、兵士たちが原因不明の激痛に襲われ始めた。村にある食料や水を飲んだり食べたりするのを禁止するころには、兵士たちの半数が、ダウンする事態に陥っていた。

「まさか、こんな原始的な方法で、軍を足止めするとは、コロラド王国もやってくれる。」

「その通りですな。原始的な方法だが、足止めするのには確実な方法だ。こんなことをするのだ。必ず何か仕掛けてくるぞ。影響のない兵士には、十分に警戒するように伝えよ。

しかし、我が軍もなっておりませんな。敵地にある食料、それも、無人の村にある食料を、何も警戒もせずに食べるなど、ダウンした者は、後で再教育が必要ですな。」

「そうだな。とりあえず、予定通り明日の朝、カランに進行する。今腹痛で倒れている者は、明日までに回復して戦闘に挑めと言明しろ。

それと魔法使いどもには、魔物を引き連れて、明日の朝までにカランの両翼を包囲しろと伝えよ。

我が軍は、明日の朝進軍を開始し、カランを中心に10キロほど離れたところに円心上に陣を作り、カランの残党兵と対峙する。」

インダスと、副官たちは、戦況報告をしながら今後の予定を立てた。


帝国軍が、トンビ村に本部を構えた翌日、ヒカリは、カランの町の北門の上空100メートルにいた。遠くには、カランに侵攻してくる帝国軍の様子が、手に取るように見えている。今朝早くヒカリは、魔法を発動させるため、ここにやってきた。はじめは、北門の前で魔術を組もうとしていたが、帝国軍の斥候に監視され、途中で邪魔されると面倒なので、邪魔の入らない空中で魔術を組むことにした。

新代魔法文字エクストラルーンでの詠唱は、誰でもできるほど簡単だが、その分、魔術に対するイメージを乗せにくい。魔法学園では、魔法を習い始める初等部4年生では、新代魔法文字エクストラルーンでの詠唱を教えている。古代魔法文字エンシェントルーンでの詠唱を教えるのは、高等部で、魔術の成績のいい生徒のみだ。古代魔法文字エンシェントルーンでの詠唱は、魔術のイメージを新代魔法文字エクストラルーンよりも正確に伝えることが出来るからだ。

しかし、ヒカリたち神子の魔法の詠唱や、精霊魔法で使用するが使う詠唱は、言霊での詠唱がほとんどだ。言霊とは、発した言葉に意味を持たせたものだからだ。

空中に滞空したヒカリは、言霊を紡いでいく。

「我が名は、光の神子『鷺宮ヒカリ』。この世のすべてを統べる神々の王、龍神『光龍フレクシア』の化身であり代行者。6属の化身たる大精霊よ、我が意に従い顕現せよ。」

光の足元に、複雑怪奇な魔法陣が現れ、6体の大精霊が姿を現す。

「遍く大地を守護する地の大精霊アールエル

大地を穿つ光の1柱を見出し、大地に標を示せ」

帝国軍は、上空で言葉間を紡いでいるヒカリに気付かずに、カランを取り囲むような陣形で進軍を止めた。ヒカリはそれを確認しながら、魔法の発動範囲を調節していく。足元の魔法陣から、光の帯が大地に向けて放たれ、ヒカリの意志を示すように、帝国軍を囲むように描かれていく。

「大地に穿つ光の1柱よ、我の意志に従い、我等の敵をうち滅ぼすことを願わん」

足元の魔法陣が、一際強く輝き回転を始める。この段階になって、帝国軍が、上空で繰り広げられている不可思議な現象に気付いた。しかし時すでに遅し、光の帯に囲まれた帝国軍は、帯の外へ出る事が出来なかった。

「大地に穿った光は、大地を沈め、6属の刃となる

1柱に取り込んだものは、切り刻む無情の裁きを与え、悪業を清算する」

光の帯に囲まれずに済んだ帝国軍から、幾筋もの魔法がヒカリに向けて放たれた。しかしそのすべては、ヒカリに届くことなく、ヒカリの目の前で霧散していく。ヒカリは、帝国軍の攻撃を無視して最後の言霊を紡いだ。

大規模大地コーレリアース陥没轢殺カッティング

魔法の発動とともに、指定された範囲の大地が一瞬にして数百メートルの深さに陥没していく。その上にいたすべての者を引き連れて。

いきなり陥没した大地の中は、漆黒の霧が発生していた。闇魔法であるこの霧によって、大地の底に自由落下していく帝国軍に恐怖を与えた。飛ぶ事のできるものは、穴からの脱出を試みるが、気流を乱されて穴の外へ行くどころか、穴の中に引き込まれていく。そして、何処からともなく飛んでくる無数の刃によって、帝国軍は細ぎれに切り刻まれていく。漆黒の闇の中で行われている惨劇は、陥没した大地の縁で、惨劇を免れ穴の中を覗いている帝国軍に、恐怖が籠った悲鳴のみが木霊しているのを聞かせていた。

ヒカリは、その惨劇を上空で一瞥すると、新たに言霊を紡いだ。

「天空を渡る風の守護者、風の大精霊シルフィード

紅蓮の燃え盛る炎の守護者、火の大精霊サラマンダー

我の願いを聴き、再び顕現せよ」

風の大精霊シルフィード火の大精霊サラマンダーが、再びヒカリの背後に顕現する。光の足元には、新たな魔方陣が現れた。

「我は願う

悪しき意志を打ち滅ぼす、紅蓮の炎雷

我は示す

彼の地に留まる悪業の断罪」

足元の魔法陣から、真っ赤に燃え盛る炎の球体が姿を現した。

圧礫空火弾エアーパナーム

炎の球体は、ヒカリの示す方角に、高速で飛来していく。そして、目標の上空で一度停止した。

ヒカリが立てた親指を下に向けると、炎の球体が、トンビ村に向けて自由落下を始めた。

炎の球体が接触した瞬間、そこに存在していたすべての”モノ”を押し潰していく。押し潰した後、半円状になった炎の球体が、いきなり大爆発を起こしすべてを焼き払っていく。さらに高熱を伴った爆風が、周囲にあったすべての”モノ”を薙ぎ倒して焼き払っていった。

爆炎と爆風が収まった後、其処には何も残っていなかった。爆心地から半径10キロほどの範囲が、草木1本生えていない更地となって広がっていた。帝国軍の司令部が一瞬のうちちにこの世から消滅したのだ。そこにいた帝国軍をすべて飲み込んで。

すべてを終わらせたヒカリが、城門の櫓で事の成り行きを静観している領主のもとに降り立った。

城壁の淵の降り立ったヒカリは、領主のもとまで歩いてくると、腰に手を当てて軽くお辞儀をした。

「カトリア様、帝国軍の軍勢の大多数を殲滅しておきました。ついでに、司令部も殲滅しておきましたので、今なら指揮系統が瓦解している帝国軍を難なく壊滅させれます。後の処理は、お任せしてもよろしいでしょうか?」

ヒカリの口上で我に返ったカトリアは、すぐさまトーマスとドルマンに指示を指した。2人は、命令を受けると、踵を返してこの場を立ち去って行った。

どちらかが残党狩りをして、どちらかが占領された領地の奪還作戦を始めるのだろう。ヒカリには関係ないことだが…。

「ヒカリ君、遠くで起きた爆発、あれはいったい何をしたのかね。当初の予定ではなかったものだが。」

カトリアの質問に、ヒカリは答えた。

「はい。先程も申しましたが、トンビ村にあった帝国軍の指令所もついでに壊滅しておきました。大変言いにくいのですが、その際、帝国軍とともに、トンビ村が、地図から消えてしまいました。これについては、謝罪いたします。」

目の前で行われた大魔法を発動させた後なのに、息一つ上げずに平然としているヒカリを見て、カトリアは、恐怖に引きつった笑みを浮かべた。この者が我が軍の味方になってくれてよかったと。

「…そうだな。敵軍の将の顔を拝めなかったのは残念だが…。

ところでヒカリ君、一つ質問なのだが。」

「はい、何でしょう。」

「今しがた帝国軍を殲滅した際、今現状ヒカリ君は平然としているのに、カランの町に結界を張った際は、魔力切れで倒れたと聞いた。その違いは何かね。」

カトレアは、どちらも大魔力を使ったのにも関わらず、何故このような差が生まれたのか疑問に思った。

「そうですね、今回の魔法は、瞬間的に魔力を消費しています。そして、使用している魔法は、どんなに大火力でも1種類のみです。

カランの町に結界を張った際は、いくつかの魔法を組み合わせ、同時に使用しています。1つ目は結界魔法、2つ目は時間魔法、3つ目は結界魔法と時間魔法を繋げて半永久的に作動させる魔法です。そして最も重要なのが、結界を張っている間、私は、魔力を聖水の中に垂れ流し続けていました。以上の理由で、あの時私の魔力が、底をついてしまったのです。」

「そうか、答えてくれてありがとう、ヒカリ君。」

「別に構いません。あと何か疑問はありますか?」

「そうだな、先ほど結界は半永久的に作動すると言っていたが、それは本当か?」

「今回カランに張った結界は、既に私の制御を受け付けておりません。結界を維持しているエネルギーは、私の魔力ではなく、大地や天空を流れる龍脈のエネルギーを使用しています。これを時間魔法で、半永久的に取り込み続けております。結界を解くには、そのエネルギーを絶つか、『結界の要』を壊す必要があります。

龍脈から流れるエネルギーを断ち切るには、神々の力に匹敵する存在を連れてくるしかありません。唯一実行できるのが、『結界の要』と壊す事ですが、この結界で使用しているモノは、私の魔力で練り上げ、物質化したものを使用しております。今はそれも、大地や天空に溶け込んでしまって視認する事すらできません。仮に誰かが具現化する事が出来たとしても、この要を維持しているエネルギー、即ち龍脈からの流れを断ち切る必要があります。

以上の理由から『結界を壊す事は出来ない』となります。」

ヒカリは、最も大事な事柄だけを話さずに説明した。すなわち『結界の要』は何なのかという事を。知られたところで、破壊できる者は、人族では存在しないだろうが。


カトリアは、城壁まで歩いていくと、城門の前に集まっている兵士と冒険者に激励の言葉を述べた。

「領地奪還の狼煙は上がった。帝国軍の指揮系統は瓦解している。今こそ、帝国軍に蹂躙された領地を奪還するぞ!」

「おーーーー!」

大地を揺るがす轟音とともに、王国軍の反撃が始まった。

話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。

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