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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第8章 再開の宴
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第62話 浮遊大陸サンマリオス②

5日後、『木枯らしの楓次郎亭』の部屋を引き払い、カランの鷺宮邸に戻ったヒカリ一行は、サトヒサとヒトミの報告に耳を傾けていた。

「まずは、ヒカリさんから預かっていた軍資金の残りをお返しします。」

そう言って、ヒトミは、2つの『闇の革袋ダークポーチ』を机の上に置いた。ヒカリは、中身を机の上にばら撒く。合計で2万枚あった金貨が、2千枚程しか残っていない。

「門番の話の通り、『エデンズシティ』の物価は、相当高いみたいだね。」

金貨の山を見ながら、タケシが呟いた。他のメンバーも肯定するように頷いた。

「物価を確認するために、2人で町に繰り出して、いろいろなお店で買い物をしました。その中で一番高かったのが、食料品です。」

ヒトミは、町で購入してきた商品を机の上に並べた。主に雑貨が多く、ヒカリが一番目を引いたのが、大陸と町の地図だった。

「穀物については、町の周辺で育てていたため、それほど高くなかったのですが、香辛料、特に塩は、1キロあたり、金貨5枚の値が付いていました。海産物については、ほとんど市場には置いてなかったですね。」

「まあ、海産物については、仕方ないんじゃないか。そもそも、空を移動している大陸に、海なんか存在しないだろう。大陸の中央にあるのだって、淡水の湖だ。塩なんか作れるはずがない。しかし、多少なりとも塩があるという事は、何処からか調達しているのだろう。」

タケルの疑問には、サトヒサが答えた。

「サンマリオス大陸は、年に一度8月の初めに、パンゲニア大陸最高峰のエンダレス山山頂に10日間だけ接岸します。その時に人海戦術で、大陸で産出もしくは、町で作れない生活必需品を運び込んでいるようです。どうも、エンダレス山の麓には、大陸と契約して、物資を集積し保管している町があるみたいです。

空を飛べるもの以外は、その10日間でしか、物資も人も出入りできないため、町で暮らす者にとっての悩みの種みたいですね。」

「購入してきた商品の中に、地図がありますね。少し見せてもらってもいいですが。」

ヒカリは、断りを入れてから、机の上に地図を広げる。ヒトミは、地図上を指で指し示しながら、見聞してきたことを話していく。

「いくつか売られていた地図の中で、この2枚が一番精度の高い地図でした。まずは、天空都市『エデンズシティ』の方から話します。

エデンズシティの人口は、約25万人。大陸にいくつかある町で、一番人口の多い町です。エデンズシティを含め、浮遊大陸サンマリオスに点在している町は、完全に自治都市の形態を採っています。町同士の横の繋がりはあるみたいですが、すべての事柄が、町単体で帰結しているみたいです。

町の自治を担当しているのは、行政府と呼ばれる場所で、ここにいる役人が、あらゆる事柄をすべて決定しているみたいです。行政府については、直接には私たちには関係ないので、これ以上は調べていません。」

「それでいいわ。あまり突いて変なのが出てきても困るから。」

ヒカリは、相槌を打ち、先を促す。

「はい、続いて町民の構成です。町に住んでいるのは、支配者階級が数百人、職人系が約5万人、商人系が約5万人、農民系が約10万人。あと、奴隷として働かされているのが約5万人です。」

「そう、奴隷がいるの…。」

ヒカリは、少し悲しげな顔つきになった。まあ、地上でも奴隷がいるのだから、多分いるのだろうとは思っていたが。

「ヒカリさん、奴隷について少し気になる事が出てきたのですが…。」

報告をしているヒトミが、思い出したかのように付け足した。

「何?ヒトミ。」

「丁度私たちが、テラフォーリアに来た頃に、浮遊大陸サンマリオスで、新たな奴隷が40人ほど売りに出されたみたいです。」

「…時期的にも、人数的にも、少し気になる情報ですね。」

ヒカリは、ヒトミの言った情報について、相槌をうった。他のメンバーも、少し気になる様子で、ヒトミの報告を聴く。

「はい、年に10日しか地上と接点がない大陸です。用もない者が、わざわざ大陸に渡るとは思えません。私も気になりまして、少し調べてみました。

結果として、奴隷として売られた40人は、男女別に同じ服装をしていたようです。すでに奴隷となって3年近く経過しているため、身元を確認する事は出来なかったのですが、十中八九、元鷺宮学園のどこかのクラスの子たちでしょう。街を散策している時に、奴隷をたくさん見かけているので、もしかしたら出会っていたかもしれません。

もう少し詳しく調べれば、詳しく解るかもしれませんが、時間がなかったので出来ませんでした。大陸の何処かに、バスが放置されていると思います。」

「これ以上は、私たちの出る幕ではありません。奴隷として、大陸中に散らばってしまった者たちを、見つけるのは至難の業です。すでに私たちは、ノリコとケイコ以外、元クラスメイトすらも見捨てています。出会うことが出来ない以上、どうする事も出来ません。仮に出会っていても、向こうから『助けてくれ』と言われない限り、私たちが動く理由がありません。

まあ、バスについては、暇な時にでも探してみましょう。」

何処にいるのかも分からない者を、わざわざ探し出して助け出すなど、ヒカリは考えていなかった。ヒカリやタケシと言った神子であっても、聖人君子ではなく只の一般人なのだ。『神の眷属』だと言われても、そこまで介入する気はヒカリにはなかった。それをすれば、すべての奴隷を解放しないといけなくなる。奴隷を解放するのなら、それは国家が行う仕事であり、ヒカリたちが行う仕事ではない。ヒカリの達観した言葉に、皆が同意し、続きをサトヒサが話していく。

「その他として、冒険者ギルドのような組織ななく、冒険者や傭兵は、各商人や商隊が、各自見つけ出して直接契約をするみたいです。そうは言っても、武器屋防具は、素材を大陸内で産出できないのか、粗悪品が多いように見受けられます。これは、町にある武器屋を覗き、確認しましたので間違いありません。

私たちのギルドランクがAだった事を、門番が驚いていたように、浮遊大陸全体で見ても、ランクの高い冒険者はいないみたいです。これは大陸内に、ランクの高い魔物が生息していないのが原因みたいです。」

「それは仕方のないことでしょう。あの大陸の歴史が物語っています。」

ヒカリの発言に、周りが驚いた。そして、代表して紀子が聞いた。

「歴史とは、何ですか?」

「ミライから聞き齧っただけだから、詳しくは知らないのだけど。200年くらい前までは、あの大陸は、所謂『流刑地』だったのよ。流刑地としては最適な場所よね。年に10日しか地上と接する事はなく、空を飛ぶことが出来なければ、抜け出す事など不可能な場所だもの。多分、今暮らしている者たちは、その時の流刑者たちの子孫だと思う。奴隷については、その限りではないと思うけど。」

「それはいいとしてヒカリ、町で面白い話を耳にしたぞ。」

ヒカリの話を断ち切るように、サトヒサが、町で拾ってきた話をした。

「先日、ノリコの精霊魔法の訓練ですが、半日ほどしか離れていないエデンシティでは、いろいろな噂が飛び交っています。まずは、ミライを使っての魔法合戦で発生した地震について…。」

サトヒサの報告を一頻り聞いたヒカリは、お茶を飲んでから答える。

「そうですか…。それは、エデンシテイの住民には迷惑をかけましたね。別にそんな事はどうでもいいです。今後もあの大陸で、暫くはノリコの訓練を行っていくつもりです。ある程度精霊魔法を使えるようになったら、第2段階として場所を『降魔の森』に移しますが。

私たちに何かしてきても、蹴散らすだけの力があるので、何も心配する事はありません。ただ、戦闘訓練をしているだけなので、私たちには何も非はありません。

私は、明日から暫く忙しくノリコたちには構っていられなくなります。なのでタケル、暫くはカラン周辺で、ギルドに依頼を受けていてください。」

「分かった。なるべく魔物の討伐依頼を受けながら、ノリコの精霊魔法の訓練をするとしよう。ノリコもそれでいいな。」

「ええ、訓練が出来るならなんだっていいわよ。」

ノリコの言葉に、全員が大きく笑った。

「そういえば、ヒカリ。」

「何?タケシ。」

タケシが、何か思い出したかのようにヒカリに聞いた。

「来月は12月だ。学園の行事予定では、12月の初めに行われる闘技大会は、どういった感じでやるんだ?」

「そうね、まだ何も決まっていないけど、予定では高等部の生徒全員参加で行う予定。詳細については、来週の頭にでも発表する予定。どうしてそんなことを聴くの?」

「俺は、学園で実技を教えているだろう。生徒にいろいろ聞かれるんだよ。特に闘技大会は、生徒たちには、日ごろの鍛錬を見せれる場所だろ。楽しみにしているみたいだ。」

「まあ、今年開校して、初めての全校参加の闘技大会だもにね。運営側の私たちも初めての事だから、準備にも完璧を期したいのよ。」

「わかった。じゃあ次だが、年末から新年にかけての事だが、今回はどうするのだ?」

「その事だけど、各地に散らばっている家族には、既にそれぞれの場所で新年を迎えるように伝えているの。

年末から年始にかけては、私を含めた6人の神子は、各地の大神殿で行われる新年の祝賀行事に参加しないといけないみたい。12月に入ってから、各大神殿から通達があると思うわ。

だから、新年は、我鷺宮家は、バラバラで行動する事になる。少し寂しいけど、神子なんかになってしまったんだから、仕方ない事よね。鷺宮家としての新年は、神殿の祝賀行事が終わってから、改めて行う予定でいるけど。」

「そうか、ヒカリはすでにそこまで考えているのか。まあ、俺も流されるまま神殿の行事に参加するか。」

最後に、新年までの予定を大まかに決めて、昼食に時間になった。昼食後は、ヒカリとタケシは、学園に行き、タケルたちは、早速ギルドで依頼を受けて、カランの北に広がる森に出かけた。

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