第52話 初めてのダンスと初夜
「お母さん!」
ヒカリの元から家族の元に戻った女の子が、1日ぶりに家族の元に戻ってきた。今は、ダンス会場で、ヒカリの登場を待っている所である。
「アラ、マジュースじゃない。もう神子様と一緒にいなくていいの?」
抱き付いてきた愛娘の頭を撫でながら、母は、娘に尋ねた。
「うん!ヒカリ様は、もう大丈夫だから、家族の下に戻りなさいって言ってくれたの!それでね、ヒカリ様から、たくさんプレゼント、貰ったの。お母さんに早く見せたくて、侍女のお姉ちゃんに連れてきてもらったの!」
母が、娘の来たほうを見ると、1人の侍女が、そこに佇んでいた。
「わざわざ連れてきていただいて、ありがとうございます。」
「いえ、これが私の仕事ですので。それでは、マジュース様、私はこれにて失礼いたします。」
侍女は、一礼をすると、その場を去っていった。
「それはそうとマジュース、神子様から何を頂いたの?」
「うん、これとこの袋。袋の中身は、まだ何が入っているのかは、分からないけど、このネックレスは、先に付けてもらったの!」
そう自慢げに指をさす方を見ると、マジュースの胸元には、一際高価そうに見えるネックレスが輝いていた。そのネックレスについて、マジュースが、さらに説明する。
「このネックレスね。『加護のネックレス』って、ヒカリ様が言ってたよ。なんか、7日にあるお祭りで、加護を授けた人に贈る物と同じものなんだって。で、肩に乗っかっているのが、水晶から出てきた聖霊のフウカちゃん!かわいいでしょ。」
無邪気の笑う娘を見ながら、母は、複雑な顔をしていた。娘の話が本当ならば、神子様が自ら加護を与えてくださったのだ。去年まではどうだったかは知らないが、今年からは、本当の意味で、加護を与えてもらえる。一度にどのくらいの人が加護を貰えるのかは知らないが、少ないはずだ。それを、この娘は、たった1日、神子様と一緒にいただけで、加護持ちになってしまった。なんて幸運な娘であり、自慢の娘なんだろうか。母は、そんな娘を嬉しさのあまり抱きしめた。
ヒカリからプレゼントされた袋の中には、さらに家族を驚かした物が入っているのだが、それは、別のお話…。
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「さあ、『光の神子』様、皆さまがお待ちです。早くご衣裳をお変えいたしましょう。」
「そうね。お願いします。」
ところ変わって、衣裳部屋となっている控室。ヒカリは、侍女に助けてもらいながら、ダンスの衣装に衣装替えをしていた。先程の真っ白で豪華なウエディングドレスとは打って変わり、ロング丈ながらも動きやすいデザインのドレスは、光の当たり具合によって7色に変化する特殊な生地で仕立てられていた。装飾品や靴、髪形や化粧も、ドレスに合わせてすべて変えたヒカリ。もちろん身に纏うすべての衣装が、オートクチュルとカマンドール渾身の作であり、ヒカリにプレゼントされたモノだ。侍女にエスコートされて、ホールの扉の前に立つヒカリ。
「光の神子様、これより先はダンスの時間にございます。中に入られましたら、ホールの中心まで『闇の神子』様のエスコートで、進んでいただきます。
まず初めに、『闇の神子』様との2人だけで、一曲踊っていただきます。その後は、男性のお客様のお相手をしていただきます。『闇の神子』様以外のお相手は、特に決まっていませんので、お好きな方とのダンスをお楽しみください。」
侍女がダンスの注意点を述べた後、ホールの扉が開かれた。開かれた扉の前には、タケシがすでに待っており、ヒカリに右手を差し出す。ヒカリはタケシの右手に左手を添え、ホールの中央までタケシのエスコートで歩いていく。
「ダンスの練習は、地球にいた頃は、教育の一環として毎日していたけど、タケシと踊るのは、今日が初めてかもしれない。」
「…、そうか、俺も、ヒカリとはは初めてだな。地球にいた頃は、ヒカリの護衛だったから、王侯貴族と踊るヒカリしか見たことがなかったな。」
「…、そういえばそうね。じゃあ、お互い初めてどうし、しっかりと踊りましょう。」
そうこうしているうちにホールの中央にたどり着く。
「それでは、よろしくお願いします。」
「こちらこそ。」
音楽が始まり、2人は軽快にステップを刻んでいく。最初の1曲は2人だけで踊るため、皆の視線を一手に受けている。ヒカリの衣装は、ホールの照明によって、7色に光り輝いている。こういう事に場馴れしているヒカリとタケシは、心地よい緊張の中で踊り切った。
次の曲は、残りの神子たちが、それぞれの相手を従えて前に出てくる。サトミにはダイゴロウが、ケンジには恋人であるアメリアが、リョウコには、騎士団団長のトーマスが、マナミには城主のカトリアが、ヒカリと離れたタケシには、カトリアの娘のテレサが相手になる。ヒカリは少し考えてから、お爺様と呼んでいるタカヒロを次の相手に選んだ。そこに既婚者のペアが何組か加わる。
3曲目からは、貴族平民入り乱れてのダンスとなる。男女関係なくダンスの誘いをし、誘いを受ける。基本、誘いを受けた方は断ることはマナー違反とされており、今日は無礼講という事もあり、特に女子は、お目当ての男性に積極的にアプローチしている。ヒカリはカトリアと、タケシは、第4王女であるメーリアが相手をしていた。
晩餐会の決まり事として、独身者の男性の胸ポケットには黄色のハンカチが覗いており、女性は、黄色のカチューシャをしている。婚約者や恋人がいてまだ結婚していない者は、それぞれ赤色のハンカチとカチューシャになっている。既婚者は、何もしていないので一目で誰が独身で恋人募集中なのかが解るようになっていた。それは神子と言っても例外はなかった。当然未婚で恋人がいないリョウコとマナミには、独身者の男性が、こぞってダンスを誘っていた。
ヒカリは、10人ほど相手をした後、サトミとともに休憩のため、グラスを片手に壁の華になっていた。その周りには、同年代の女子たちが、2人を囲んで楽しく談笑している。タケシも男性たちに捕まって、別の場所で談笑していた。
こうして、楽しい晩餐会は、日付が変わるまで続いていった。
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屋敷に帰ってきたヒカリは、軽くシャワーを浴びた後、そのままベッドの中に潜り込んだ。ヒカリとタケシは、今は夫婦の部屋となった元ヒカリの部屋で、初夜を迎えた。
翌日、随分と遅い時間に、ヒカリは目覚めた。遅いと言っても、朝の10時の鐘の音が、外から聞こえてきている。隣には、まだ寝息を立てているタケシがいる。布団から出て、ふと下を見てみると、そこには何も身に付けていない自分がいた。タケシの方を見てみても、やはり何も身に纏わずに寝ている。たしか、寝着は着ていたはずなのだが。昨日は、結婚式や城での晩餐会に参加して、疲れ果てていたはずなのに、やる事だけはしっかりとやっていたらしい。疲労のせいで、全く覚えていないが…。こんな大事な事なのに、何も覚えていないとは、我ならがどうかしている。ヒカリは、もう一度布団に潜り込むと、タケシの抱き付いた。その勢いで目を覚ましたタケシを誘った。
「私、昨日と言うか、今日かしら、ベッドに入った後の記憶がないの。どうもやることはやっていたらしいけど…。」
「そういえば、俺も記憶がないなあ。」
「2人して覚えていないなんて…、笑い話にもならないね。ねえ、タケシ、昨晩のリベンジではないけれど、これからどう?」
「…、そうだな。今度は、お互い記憶があるようだし。それでは、ヒカリ、いただきます。」
タケシは、そう言うとヒカリの胸を揉みだした。
「もう、タケシのえっち。でも、そういうところ、私も好きよ。」
再びいちゃつき始めた2人。それは、正午の鐘が鳴り終わり、心配して見に来た侍女に見られるまで続いた。
「タケシ様、ヒカリ様、おはようございます。皆さまがお待ちしております。続きは、また今晩にでも行ってください。」
やっている最中を、侍女に見られて真っ赤になった2人は、そそくさと着替えて皆の待つリビングに降りていった。もちろん手を繋いで。素知らぬ顔でリビングに来たのに、サトミは、目ざとくヒカリに耳打ちする。
「さっきまで頑張っていたみたいだね、ヒカリちゃん。私たちも、久しぶりに頑張っちゃった。」
「えっ!サトミさんも?」
「私たちはどうか知らないけど、今晩もまたタケシ君とやるんでしょ?」
その問いに、ヒカリは顔を真っ赤にして、下を向いてしまった。
「もう、初心なんだから、ヒカリちゃんは。」
そんな会話をしながらも、ヒカリは楽しそうだ。もちろんサトミも。
もちろんヒカリとタケシは、この日の夜も、激しくやりました。足腰立たなくなるほどに…。
話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。
話の内容を、大幅に改稿しました。




