第44話 事業拡大計画②
面接の日になりました。私たちは、元貴族だったお屋敷に来ています。私は初めてここにこましたが、ヒカリさん曰く、このお屋敷は、近い将来学校として再生するそうです。
あっ!言い忘れていました。サリュースです。何故か、今回の面接官の一人として、ヒカリさんたちと同席している私。今回の面接官は、ヒカリさん、サトミさん、ケンジさん、ダイゴロウさん、ケイコさん、そして私の計6人。
それとそれぞれについている侍女さんであるリョウコさん(ヒカリさんの侍女)、マナミさん(サトミさんの侍女)、アメリアさん(ケンジさんの侍女で彼女さん)、ナレシアさん(ダイゴロウさんの侍女)、セイコさん(ケイコさんの侍女)、そして私の侍女であるパンタジアさん。そう、なぜか私にも侍女が付いているのです。あの時一緒に働き始めた食堂組の4人は、何時の間に侍女になったのでしょうか。
そんな事はどうでもいいのですが、何故私にも侍女が付いたのかというと、鷺宮商会の事業が拡大するのに伴い、正式に私が、商会の財布を握ることになったのです。今までは、ヒカリさんの下で、算盤を弾いていただけの私ですが、来月からは、総務部の部長に就任するみたいです。つまり、金庫番です。すべての経費は、私に決済がないと動きません。総務部の責任者としての私ですが、早朝はお店に立たせていただきます。私についているお客様もたくさんいるのと、朝の忙しい時間は、たとえ人数が増えるとしても、私がいないとお店が廻りません。キノエさんとマナシアさんにも嘆願され、ヒカリさんにも言われました。
私は、その総務部の責任者として、私の下に付く部下を選ぶためここにいるのです。選ぶ方法も、私に一任されています。どのような試験にしようかと、仕事をしながら考えて今日に至ります。私が行う試験内容は、ヒカリさんにも承認していただきました。あとは精一杯頑張るだけです。
さて、私の考えた試験を受けるのは、総勢29人。その中から6~10人くらい雇う予定でいます。これは、私が総務部の責任者として着任するにあたり、私からヒカリさんに、
「業務の量が増えるので誰か部下に下さい」
と言ってみたらヒカリさんが、
「それじゃあ、今度面接に来る子の中から、自分で選びなさい」
と言われました。そう、私が行う試験は、急遽決まったのです!業務の停滞を嫌うヒカリさんらしい決断です。感謝しています。
商会全体では、応募者が350人いるみたいです。その中で雇う人数は、食堂が、厨房に10人、給仕に20人。雑貨店の方が、魔法薬製作に5人、魔法具製作に5人、売り子に10人。金物店に鍛冶師が、見習い含めて10人前後、売り子に5人、ダイゴロウさんの移動馬車に御者として5人、御者の補助及び魔術補助として5人。厩舎での馬の世話人が10人前後、馬車の整備が10人前後。あと、各地の別邸の別邸の管理に20人くらいを予定しています。
午前10時の鐘の音とともに、試験と面接が始まりました。前日前に知らされていた試験の内容通りに行程が進められます。私たちが受けた時は、試験などなく、ただ面接だけだったのに…。そういえば、事前に何か提出させられた気がします。
食堂の厨房で応募した20人の子たちは、ここの屋敷の厨房に集められました。サトミさんの監修で、本日の昼食400人分を作るのです。なので、この子たちは、朝早くからここに来て働いています。給仕で応募してきた子50人は、今頃はここの屋敷のホールで、昼食会場のセッティイングをマナミさん監修で行っています。あとの子たちも、それぞれの試験を受けています。
私の考えた試験ですが、2つあります。先月までに私が作成し決済を終えた帳簿のコピーを、少しいじったモノを試験の一つにしました。それと、その時に受け取った領収書や売上伝票のコピーが、付加資料として渡してあります。それらを見比べて間違いを探し出すのが試験の内容です。わざと書き換えた個所は10ヶ所、与えた帳簿のコピーによって違います。要するに、隣の人を見ても正解が解らないようにしています。所謂カンニング対策ですね。もちろん受験者には、何ヵ所間違いがあるのかは、伝えていません。これを昼食までにやってもらいます。
午後からは、本日この試験と面接でかかったすべての経費の計算です。普通は、前日に上がってきた伝票や領収証を分類して処理していくのですが、今回は、そのようなことは一切せずにやっています。なので、試験に関係のない伝票や領収書も中に交じっています。さて、受験者は、それらを見つけ出して、どう処理していくでしょうか。とても楽しみです。
人数分造られたコピーに基づいて、一人ずつ計算していった貰います。試験を告知した日から今日の試験当日にかかった費用全てを計算して、決済できるまでに纏め上げるため、膨大な数の発注伝票と領収書の束と格闘をします。
もちろん私も挑戦してみました。私は、毎日やっている事なので、苦も無く終わりましたが、受験者には少しきつい試験内容だったかもしれません。
試験の結果を発表します。間違い探しの方は、全員難なくクリアーしました。まああのくらい出来ないと、これから先やっていけませんけど。そしてもう一つ、本番さながらのテスト、この答えが実に面白く、一緒に採点をしたヒカリさんやリョウコさんと笑ってしまいました。まあ、他の請求書などが混ざっているとは、事前には説明しずに始めましたが、明らかに今回の試験には関係のないモノが交じっていたのに、それすら気づかずに、すべてを合算してしまった人がいました。注意して見ていれば、見つけられたものです。現に気づいて分けていた人がいたのですから。この人はもちろん不合格です。
今回の試験での合格の最低ラインは、たくさんある請求書や領収書などから、今回の試験に関係あるモノと、そうでないモノを正確に分けられるかです。これが出来ていない人には、残念ながら不合格とさせていただきました。
最も優秀な方の回答は、私も驚愕してしまいました。なんせ、今回の試験には関係のない方の経費計算までしてあったのですから。それも、見やすく解りやすくを追求したのか、各項目ごとの総計と、詳細な金額まで算出してありました。もちろん合格です。この方は、副部長さんにいきなり昇格することが、3人の総意です。
合格者の方は、さっそく明日からお仕事に来ていただくことになります。明日から、鷺宮食堂と鷺宮雑貨店は、新しく完成した新店舗での営業となります。明日は、多分引っ越し作業で1日が終わる予定です。引っ越しした後の旧店舗は、少し改装をしてから、ケンジさんとダイゴロウさんのお店に生まれ変わるそうです。
ヒカリさんたちが住む、鷺宮家のお屋敷も完成し、あとは庭を作る工事を残すのみです。こちらも明日は、引っ越し作業です。元貴族のお屋敷から、家具調度品、庭木など、学校にするのに不必要なものをすべてこちらのお屋敷に移すそうです。
さあ、明日から新生『鷺宮商会』がスタートします。心機一転、さらなる飛躍のために私も頑張っていきたいと思います。




