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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第5章 鷺宮商会繁盛記
43/111

第42話 テラフォーリアでの年越し③

年が明け、前年までなら大神官の講話の後は、皆急いで城壁の上に陣取るのだが、今年は少し様子が違っていた。テラフォーリア、とりわけ此処、コロラド王国で最も信仰され、国教でもある『メシア教』。

その神である、『光龍フレクシア』の神子が現れたのだ。さらに、ヒカリの神の他、5神のも子も同時に現れ、光の教会に姿を現した。その『光の神子』は、これまで貴族がごり押しで行ってきた悪習を改めさせ、それに従わない貴族には、神の名のもとに制裁が加えられた。

年越しの式典が終了し、大聖堂から出て、もう一度神子たちのご尊顔を見ようとする者。そもそも大聖堂にすら入れず、神子たちのご尊顔を見れなかった者。悪習通りに、時間ギリギリに協会に来、敷地にすら入れずに締め出された貴族たち。ちなみにカランの城主と家族は、お触れが出される前に教会に着き、貴賓席に通されていたので、ヒカリたちを見ることが出来た。城主に泣きついてきた貴族もいたが、城主はこう言い放ち、貴族たとの懇願を一蹴した。

「私よりも遅く来た者の懇願など、聞く耳を持たない。そもそも、城主である私よりも早く来て、迎え入れることが、貴族たる貴様らに与えられた仕事の一つであろう。現に、私よりも前に来ている者たちは、席に座っているではないか。

それに、『光龍フレクシア』様の名において出されたお触れを、私ごとき、いや、たとえ国王ですら、それを無視し、破る行為は許されていない。」

ヒカリと大神官が、ヒカリにとっては少し前の、大神官にとっては随分前の昔話に、花を咲かせている部屋に、来訪者を知らせるノックがした。

”コンコン”

「はい、何かご用でしょうか。」

大神官付きの秘書が、要件を聴くために部屋の外を出た。程なくして、大神官の下に戻ってくると、来訪者の名前を大神官に言付けをする。

「ヒカリ様。カラン城主のカトリア様が、ヒカリ様に面会を申し込まれていますが、どういたしましょう。」

「私に、カランの城主が面会を申し込んだ?何故ここにいるのを知っていたのでしょうか。」

「まあ、多分、神殿の関係者にでも聞いてきたのでしょう。ヒカリ様の事は、口止めをしておりませんので。それで、どうしますか?ヒカリ様がお決めください。」

大神官は、城主の面会については、ヒカリに一任した。

「…、まあいいでしょう。こちらにお通ししてください。」

「畏まりました。」

秘書は、ヒカリの許しを得ると、扉を開けて城主を部屋に通した。ヒカリと大神官は、立ち上がって城主を迎えた。城主は、ヒカリの前まで来ると、膝を折って、簡易型の臣下の礼をとった。

「光の神子様、突然の訪問を許していただき、恐悦至極にございます。私は、ここナリスタリア州州牧でカラン城城主を拝命しております、カトリア=センダレスと申します。以後お見知りおきを。」

カトリアが、自己紹介を終えると、ヒカリは、上座の席に着いた。その後、大神官とカトリアは、下座にある席に着く。ヒカリが上座に座るのは、神の名代である神子を蔑ろに出来ないからだ。なので、カトリアの訪問時でも、ヒカリの許可をとったのである。

「カランの城主であるカトリアさんが、私に何か御用ですか。」

「私からお願いできる立場ではないのですが、もう一度、民衆の前にお姿をお出し出てもらえないでしょうか。」

「何故、民衆の前に、私が出ていかなくてはいけないのですか?明日、いえ、もう今日でしたか。今日から始まる新年の祝賀の神事に、私が出席することは、既に決まっております。残りの5人の神子については、その限りではありませんが。」

「それは重々承知しております。すでに教会の前には、その旨が記されたお触れが張り出されていますので。

しかし、今教会の前には、光の神子様を一目見ようとする民衆でごった返しております。暴動すら起こりそうな勢いなのです。特に教会から締め出された貴族共が、何をしでかすのか分かったものではありません。無論、そのような事をした貴族には、私の権限で裁きますが。

そこでお願いです。この混乱を避けるためにも、もう一度民衆に、神子様の御尊顔をお見せいただけないでしょうか。」

「そのような理由でしたらしょうがないですね。私も早く、初日の出を見るために仮眠をしたいですし。他の5人と家族は何処にいますか?」

「残りの神子様と、鷺宮家のご家族は、別室で待機をしております。それから、本日から神事が終了するまでは、鷺宮家のお屋敷には、町が混乱しており、帰れないことが予想されますので、この神殿の中に、ご家族分のお部屋をご用意していますので、そちらをお使いください。お屋敷の方は、勝手ながら神殿騎士団を派遣して、警備に当たらせていただいております。」

「ありがとうございます。そこまで用意してくれるとは、思っていませんでした。ご厚意に甘えて、使用させていただきます。それと、家の警備までしていただいているみたいで。

この事を他の家族に伝言をお願いできますか。それから、私は、もう一仕事をしてから合流すると、伝えてください。」

「承りました。」

秘書は、そう言うと、部屋を出ていった。それを見送ったヒカリは、

「さあ、もう一仕事を、早く片づけて仮眠をとりましょう。」

と言って席を立つ、それに続いて、大神官とカトリアは席を立った。

「神子様のお心遣い感謝いたします。」

カトリアがそう言うと、ヒカリはやさしく微笑んだ。

ヒカリは、大神官とカトリア、それからタケシたち5人の神子をお供に引き連れて、神殿の正面出入り口の上に造られている大きめのバルコニーに出た。タケシたちは、秘書の方に言付けを頼んだら来てくれた。

ちなみに私たちと、鷺宮家の家族、従業員がやっていた賭けは、サリュースの一人勝ちだったらしい。あとで聞いた話では、私たちや、家族が置かれた状況を、的確に予想していたそうだ。何気にすごい能力を持っている子だ。儲けた賭け金は、10万テラほどあったという。臨時収入に、キツネ耳をピコピコさせて、ホクホク顔で何に使おうか、考えているみたいだ。

バルコニーには、10人ほどの神殿騎士団の方が、警備に立っており、観客である民衆を睨み付けている。特に、何をしでかすのか予想のつかない貴族の動向には、細心の注意が配られていた。バルコニーへと続く扉が開かれると同時に、一斉に敬礼をするのを、固唾をのんで見守っている民衆が、気付かないはずはない。何も指示がないのに、教会周辺は、静寂に包まれた。優雅に歩いて、ヒカリはバルコニーの縁まで行き、民衆に手を振った。この辺はさすがだと、後ろを歩く大神官は、感心していた。こういう場面には、場馴れしているヒカリとタケシ。後ろに佇み、主であるヒカリをサポートする侍女であった。リョウコとマナミはともかく、サトミは、既に膝をガクガクと震わせて緊張していた。

大神官は、ヒカリの横で同じように手を振りながら、ヒカリに話しかける。

「ヒカリ様とタケシ様は、このような事はよくなされていたのですか。普通の者なら、サトミ様のように、緊張が全身を覆っているのですが。」

「ああ、これですか。私の出自は、『今宮家』と言って、平安時代から続く家の出です。江戸時代には、徳川の影の右腕として、関東地方の一角を領地として治めてまいりました。今は、天皇家を陰で支えていますね。

今宮家は、時の権力者を陰で支えた闇の一族。私は、その一族の直系の姫に当たります。当然、そのような場に出席することは多く、世界中の権力者の視線の中で、ダンスを踊った事もあります。タケシは、私の従者であり、リョウコとマナミは、私付きの侍女でしたので、一緒に行動をしておりました。そのような理由で、このような状況は、よく体験しておりました。

私たち神子の中で、サトミさんとケンジだけは、一般人だと言えますね。」

30分ほど民衆に手を振り、愛想笑いをしたヒカリたちは、教会内に引っこみ、与えられた部屋で仮眠をとった。初日の出は、教会は用意した特等席で、家族全員が見ることが出来た。

その後、ヒカリは、5日間の神事に半ば強制的に参加させられた。

教会からのご厚意で、神事に参加した分の報酬が出た。ヒカリは辞退したが、この報酬は、民衆からヒカリに差し出された貴賤だから、受け取ってほしいと。ヒカリは、ありがたく受け取ることにした。しかし、掌を返したかのようにすり寄ってきた、貴族からの賄賂じみた金品は、ヒカリの目に留まる事無く、すべて教会に寄付した。貴族からの賄賂を受け取れば、後々碌でもない事態になるには、目に見えているのだから…。

話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。


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