第37話 鷺宮商会の従業員②
私たちは、ヒカリさんに連れられて、建物の中を案内してもらっていた。ここの建物は、もともと宿屋だった本館と、鍛冶屋剣武器屋だった新館の2つの建物を一つにしているみたいだ。両方とも、数年前に廃業していたのをヒカリさんが買い取り、今の形にしたらしい。
宿屋だったころの客室は、鷺宮家の各自の私室として使用されている。宿屋の食堂だった場所では、サトミさんが大衆食堂を経営している。
元武器屋だった場所で、ヒカリさんが雑貨屋を経営し、裏の鍛冶屋では、ケンジさんが刃物を作っていた。そうそう、このケンジさんが作った刃物は、カランではとても有名で、人気があり、常に品薄状態が続いているみたいだ。
まず案内されたのは、私たちの私室となる部屋だ。雑貨屋の2階と3階にあり、2階を雑貨屋に勤める子が、3階を食堂に勤める子が使用するようにヒカリさんに言われた。各自好きな部屋を使っていいと言われたので、私は、3階の角部屋を貰った。
部屋の中に入ると白いシーツにくるまれたベッドと、クローゼット、鏡台が一緒になった机。内装は、落ち着いた木目調で、とても気に入った。私のカランの実家よりも、広いのではないのかと思ったりもしていた。ベッドの上には、明日から着ることになる鷺宮食堂の制服と、侍女となるために修行をするという事で、鷺宮家のメイド服を先程ヒカリさんから渡されたののが、並べておいてある。
早速着替えてみる事にした。まずはメイド服から。紺色の生地で仕立てられたメイド服は、ワンピースタイプで、頭からかぶり、背中のジッパーを上げて着るタイプ。夏場は半袖、冬場は長袖になる。膝丈の動きやすいスカート丈に、白のニーソックスを合わせ、黒色のストラップシューズを履く。あとは、白色の膝丈サイズのエプロンをつけ、髪留めの代わりにカチューシャを付ければ完成だ。食堂の給仕服は、デザインは同じメイド服だが、薄手のピンク色の生地で出来ている。
指定の時間になって食堂に降りていくと、なんと、今日入社?した子全員が、明日から着る制服を着ていた。私たちが鷺宮家の面々の前に1列に並んだのを見届けると、ヒカリさんが私たちを紹介した。
「明日から鷺宮商会で働くことになった子たちです。今日は男子たちは、ギルドの依頼でいないので、紹介はしませんが、ここにいるメンバーを紹介します。」
こうしてヒカリさんは、一人ずつ私たちに紹介してくれた。驚いたことに、全員が血の繋がっていない義理の家族だという事だ。
「次は順番に自己紹介をしていってください。フミエさんから順にしていってください。」
フミエさんが1歩前に出て自己紹介を始めた。
「私は、ウサギ族のフミエ=サライエールです。今年で18歳になりました。実家は、カランの東にあるポイセチアという町です。タカヒロさんの侍女として雇われました。」
フミエさんはお辞儀路すると1歩下がって次の子にバトンを渡した。そして、雑貨店勤務の子が先に自己紹介を始める。
「私は、猫人族のエレンシア=クリカエスです。今年で16歳になります。実家はここカランの南です。よろしくお願いします。雑貨店で、魔法薬などを製作します。得意な魔法は、風と火属性の魔法です。」
「私は、虎人族のサラ=サラエボです。今年で17歳になります。実家はここカランの東です。雑貨店で、魔法薬などを製作します。得意な魔法は、風と水属性の魔法です。」
「私は、犬人族のマナシア=アーテラスです。今年で16歳になります。実家はここカランの南です。雑貨屋の店番として働きます。」
「私は、人間族のキノエ=キノシタです。今年で15歳になります。実家は、カランの北にある貧乏貴族です。雑貨屋の店番として働きます。」
「私は、狐人族のサリュース=セレンダです。今年で15歳になります。実家はカランの東にあるオーカルという町にあります。雑貨屋の店番として働きます。」
雑貨店の弧が終わると、次に食堂勤務の子が順に自己紹介を始めた。
「私は、猫人族のテレサ=サミュエルです。今年で16歳になります。実家はここカランの南です。食堂の厨房で働きます。よろしくお願いします。」
「私は、人間族のミーナ=カトリンシアです。今年で17歳になります。実家はここカランの東です。食堂の厨房で働きます。よろしくお願いします。」
「私は、人間族のセイコ=シラサギです。今年で19歳になります。実家はここカランの南にあるペンタルという町にあります。食堂の給仕をして働きます。よろしくお願いします。」
「私は、犬人族のパンタジア=タリルです。今年で15歳になります。実家は、カランの西にある貧民街出身です。食堂の給仕をして働きます。よろしくお願いします。」
「私は、人間族のナレシア=サイスネスです。今年で19歳になります。実家はここカランの東の端にあります。食堂の給仕をして働きます。よろしくお願いします。」
最後に私の番になり、1歩前に出て自己紹介を始めた。
「私は、人間族のアメリア=サイスネスです。苗字でも解る通り先に自己紹介をしたナレシアの妹になります。今年で16歳になります。食堂の方で給仕の仕事をしながら、メイドとして侍女になるための修行もします。将来的には、せっかく侍女の修行をするので、誰かに仕えてみたいです。」
「それでは、食事にしましょう。給仕の仕事も立派なメイドの仕事の一つです。手を抜かないように頑張りましょう。給仕として働く子は、練習だと思って料理を運ぶのを手伝ってください。」
そうヒカリさんが言うと、ヒカリさん自身も、料理を運んでいた。私たちは、ヒカリさんたちの指導を受けながら、料理を配膳していった。




