第36話 鷺宮商会の従業員①
面接会を終えた三日後、雑貨店の裏にある休憩室に、今回採用された12人と、雑貨店と食堂の店主であるヒカリとサトミが、机を挟んで対面していた。
「明日からここで働いてもらいますが、今からそれぞれが担当する仕事について、軽くお話しいたします。ギルドで聞かれた内容と重なる場所もありますが、確認のためにもう一度聞いてください。
まずは、雑貨店に採用された子たちのほうからお話しします。
まずは、魔法薬製作で採用されたエレンシアさんとサラさんから。
とりあえずお二人に担当してもらうのは、魔法薬の中でも一番売れ行きのある2種類です。慣れていけば、他の商品も作ってもらうようになります。お二人には、商品を一つずつ自力で製作できるようになるたびに、給料を上げていきたいと思っています。
まずは、1日1万テラ支払います。仕事を開始する時間は、朝食後の午前9時から、昼食をはさみ、夕食が始まる午後6時ごろまでを予定しています。時間を有効に使って、作業をしていってください。
次に、売り子さんとして働く、サリュースさん、キノエさん、マナシアさんの3人の仕事についてです。基本はあなたたちで、お店を回していただきますが、鷺宮家のメイドさんも仕事を手伝ってくれますので、遠慮なく頼ってください。私が店のほうにいないときは、そこにいるリョウコが店を切り盛りしてくれています。
これは、食堂のほうに雇われた方にも言えますが、この雑貨店と食堂の朝はとても早いです。町の門が開くと同時に外に飛び出していく冒険者や商人たちのため、門の開く朝6時よりも早い朝5時から店を開いています。開店から3時間ほどは、一番忙しい時間帯になりますので、3人とも店に出てもらいます。
8時を回ると、少し落ち着きますので、交代しながら朝食と昼食を摂ります。あとは、町に住む人たちが来店してきますので、それの対応をお願いします。
働く時間は、雑貨屋が開店する朝5時から、閉店の午後3時までと、そのあと店内の清掃、商品の補充があるので、午後5時くらいまででしょうか。まずは、商品ごとの性能と売値を覚えていただくことが最初の難関です。なんせ、取り扱っている商品が100種類を超えていますので。給料は、1日8000テラお渡しします。
あとお休みですが、基本の休日は雑貨店食堂共に土日になります。祭り等で休日曜出勤があるときは、翌日の月火が休みになります。
次は食堂のほうに移ります。サトミさん、お願いします。」
ヒカリに変わりサトミが話し始めた。
「私からは、食堂のほうの仕事を話します。まずは、厨房で働くテレサさんとミーナさんから。仕込みの時間がありますので、朝は、食堂が開店する時間よりも早い朝3時からです。私とマナミちゃんとの4人で分担して仕込みをしていく予定です。開店後は、ヒカリちゃんが言っていた通り、とても忙しいです。基本朝のメニューは、定食3種類ですが、注文の量が半端なく多いです。後、お弁当にしてくれという人もいるので、そちらの対応もしなくてはいけません。朝8時頃になったら、順番に朝食を摂りながら、昼の部が始まる11時までは、朝のモーニングタイムになります。メニューは、早朝からの定食と、パンと飲み物あと少量の副菜のついたプレートです。その傍らで昼の部の仕込みをします。11から3時までの昼の部は、早朝と同様に目が回る忙しさになります。メニューは10種類ほどあるので、盛り付けに気をつけてください。昼の部が終われば、店内の清掃をして仕事は終了します。休日には、料理の講習をしています。こちらは自由参加ですし、カランに住む奥様方も有料で参加しています。
次に給仕として働くナレシアさん、アメリアさん、パンタジアさん、セイコさんの4人についてです。あなた方の仕事の開始時間は、朝の4時です。朝の4時になったら、食堂まで来てください。食堂内の掃除と、外の掃除を行ったら開店です。午後3時までは、順番に朝食と昼食を摂りながら働いてもらいます。3時になったら、あと片付けをして終了です。その後の料理教室は、自由参加です。給料は厨房、給仕ともに1日8000テラです。
メイドとして雇われたフミエさんですね。あなたは、ここの社長である鷺宮タカヒロに使えていただく侍女として雇いましたが、最初にメイドとして働いてもらいます。後、アメリアさんもメイドとしてここで働いてもらいます。お二人は、リョウコさんに指導してもらいます。アメリアさんは、食堂の営業が終了したら、侍女になるべくメイド修行をフミエさんと一緒にしてもらいます。もちろんメイドとしての給料は支給します。給料は、メイド見習いのうちは、1日5000テラ、メイドになったら1日1万テラ、侍女見習いで1日15000テラ、侍女になったら1日2万テラを支給するから。アメリアさんはその半額ね。
ここまでで何か質問はある?」
サトミは話を区切る目的で、質問をぶつけた。
「はい。」
アメリアが手を挙げて質問をぶつけた。
「何ですか、アメリアさん。」
「私たちは、ここで住み込みをしながら働くように言われてきています。先ほどの説明では、何処に住むのかは一切説明されていませんでした。私たちは、何処で寝泊まりるるんでしょうか?」
それには、ヒカリが答えた。
「そのことですが、あなたたちの部屋は、この建物の上に1人1部屋ずつ用意してあります。後で案内しますので、その時にでも建物の中を確認してください。また、各部屋には、明日から着る制服が用意してあります。サイズに問題がある場合は、今日中に私か、サトミさんに申し出てください。
後この建物には、大浴場がありますので、今日から使用しても構いません。場所は、あとで建物内を案内するときに覚えてください。食事ですが、仕事のある平日は、3食賄がついています。休日については、前日に確認しますので、賄がいらない場合は、その時に報告してください。報告がない場合は、用意しているので食べに来てください。
また各私室と個人の持ち物の管理は、あなた方個人が行ってもらいます。洗濯に関しては、こちらで纏めて行いますので、朝一番に洗濯室に持ってきてください。洗濯したものは、洗濯室に畳んでおいてあるので、各自で仕分けをして持って行ってください。
他に質問はありますか?
…。
無いようですので説明を終わらせてもらいます。
これからこの建物を案内します。まずは、あなた方の私室に案内するので、荷物を持って、私の後についてきてください。」
ヒカリは、それぞれの私室となる部屋に案内した。
「こちらが皆さんの私室になる部屋です。部屋割は、雑貨店に勤める人が、2階の21号室から25号室まで、食堂に勤める人が、3階の31号室から36号室となっています。あとフミエさんは、将来侍女として働いてもらうので、隣の本館の部屋を使うので、後ほど部屋に案内します。アメリアさんも、侍女になった暁には、部屋を本館の方に変更します。
フミエさんの部屋以外は、同じ造りになっています。トイレは共同ですので、こちらをお使いください。2階も3階も同じ場所にあります。」
ヒカリは、部屋の一つを開けて中を見せた後、トイレの位置を教えた。
「皆さんは、お好きな部屋を使ってください。階段は、雑貨店側へは、先程使った階段を、食堂へは、この廊下を歩いていき、突き当りを左に曲がった場所の階段を使うと速く行けます。洗濯室は、浴室に行く途中にありますので後で確認してください。
それでは、部屋へ荷物を搬入する時間と取りたいと思うます。1時間後に食堂まで降りてきてください。
フミエさんは私と一緒に来てください。」
ヒカリは、フミエとともに、タカヒロの部屋まで歩いていった。
”コンコン”
「はい、誰ですか。」
「ヒカリです。侍女の見習いの子を連れてきました。」
「どうぞ入ってください。」
中にいる人の許可を得て、ヒカリはフミエを連れて入室した。
「お爺様、この子がフミエさんです。
フミエさん、こちらの方が、将来あなたが侍女として仕える事になる鷺宮タカヒロさんです。ご主人様でもお爺ちゃんでも、あなたが呼びやすい呼称で呼んでもらってもいいです。あなたの部屋は、この応接間の奥にあるこちらの部屋を使ってください。早速今日からメイド見習いとして働いてみますか?」
「はい、何もしないのも退屈なので、働けるのなら働きたいです。私の荷物は、ここにあるモノですべてですので、すぐに片づけれますので。」
まあ、私物は順次増やしていってください。部屋の中にメイド服が置いてあるので、其方に着替えてください。そのあとはリョウコの指示に従ってください。リョウコお願いね。」
「承りました。では、フミエさん、部屋に行きましょう。」
リョウコは、フミエを私室に連れていった。その後、タカヒロの部屋で、メイドとしての仕草などを教え込んでいった。




