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私達、『パーティ鷺宮』です。  作者: ai-emu
第4章 『鷺宮』の名のもとに家族になりました
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第32話 テラフォーリアの暦

ケイコが鷺宮家に迎えられた日の午後、ヒカリは、ケイコを自室の応接間に招いた。ケイコは病院から退院する時、ヒカリとともに迎えに来たリョウコから、紺色のメイド服を渡されて着替えた。なぜなら、ケイコが唯一来ていた服は、鷺宮学園の制服だったが、ぼろ切れ同然にあちこち破れ、どろどろの状態でもはや服とは言えない代物だったからだ。

また、退院の前に、ヒカリから鷺宮家に来るのなら、何か仕事をするように言われていた。これは、鷺宮家に属するすべての者に課せられた義務であり、例外など存在しないからだ。しかし、ケイコには、テラフォーリアに来てすぐに奴隷にされたため、仕事らしい仕事をしていなかった。また、地球にいた頃も、これと言った特技がなかったのだ。そのため、鷺宮家では、メイドとして働くようにヒカリから言われていた。

ヒカリの前のソファーに座ったケイコは、すぐさま出されたお茶に驚きながらも、部屋を見渡していた。「この部屋がそんなに珍しい?」

突然ヒカリからの問いかけに、張ってしてヒカリに向き直ったケイコは、苦笑いをしながら頷いた。

「はい、こんな広い部屋を見たのは、生まれて初めてなのので…。それに、こちらに来てからは、こんなきれいな部屋に入ったことがないので…。『ヒカリさん』と呼べばいいですか?」

「私の事は好きに呼んでくれていいですよ。それから、ここにいる人は、すべて呼びやすい呼称で呼べばいいよ。リョウコやマナミは、今宮家にいた頃からに付き合いだから、メイド服でいるときは、『ヒカリ様』と呼んでいるし、サトミさんからは、『ヒカリちゃん』と呼ばれているから。

これからの事を今からお話しするから、しっかりと聞いてね。」

「はい、ヒカリさん。」

「では、病院でも話したけれど、ケイコは、これからここ鷺宮家で、メイドとして働いてもらいます。基本、ここにいる女子たちは、メイドとして日々建物の管理をしたりして暮らしているから。あなたに、メイドの仕事を教えるのは、マナミになるから。マナミは知っているよね。」

「はい、たしか、今宮家において、ヒカリさんについているメイドさんだったような…。」

ヒカリの問いかけに、ケイコが答える。

「その認識で間違いないよ。ちなみにここでは、メイド服の色で、大体の役職が解るようになっているから。デザインは同じだけど、上から黒色、水色、紺色となっていて、黒色は、メイド兼侍女として働いている子が着ているの。リョウコとマナミだけが着ているわ。

次は水色だけど、一応メイドとして、リョウコとマナミから、及第点をもらった子が着ているわ。そして今は、メイドの仕事をしながら、その上の侍女としての訓練を積んでいるのかしら。たしか5人くらいこの色を着ていたわね。

最後に紺色。この色を着ている子は、まだまだメイドとしての仕事をすべてマスターしていない子が着ているわ。今のケイコみたいにね。

それから、サトミさんが開いている『鷺宮食堂』の給仕としても働いてもらっているから。こちらの服装は基本的に自由だけど、なぜか全員メイド服のまま働いているわね。

あとは、給料の事だけど…。」

「えっ!給料を貰えるんですか?」

ヒカリの話を遮るように、ケイコは、驚きのあまり言葉を発した。まさか、給料を貰えるとは思っていなかったからだ。

「もちろん働いた代価だけの給料を渡しているわよ。男子たちは冒険者として、ギルドの仕事を請け負っているから給料制度はないけど、女子たちは、ギルドの仕事をしない代わりに、メイドとして鷺宮家の家事一切を行っているからね。その分の給金を払っているというわけ。この原資は、男子たちが働いて稼いだ金額の一部を当てているから。まあ、女子たちも、休みの日に小遣い稼ぎの名目で簡単な依頼を受けているみたいだけどね。貰ったお金で、私物を揃えていくといいわよ。それに関しては、私も干渉はしないから。

ケイコの場合だけど、まずは、見習いメイドとして働いてもらうから、1日につき、鉄貨50枚を支払うから。あとは、仕事を覚えていくと、給料もそれに見合って上げていくから頑張ってね。食堂の方で働くと、そちらは、サトミさんが決めた給料が支払われるから、みんな休みの日になると働いているわ。ちなみに休みなんだけど、メイドとしては、三日働いて、三日休みのローテーションを組んでいるから。食堂の方は、毎週土日が休業日になっているかな。」

ここでケイコが、今までの奴隷生活では、関係のなかったことを聴いてきた。

「ヒカリさん、少しいいですか?」

「何?」

「ここの『暦』って、どうなっているんですか?それから、ここで使われている貨幣も教えてください。給金が『1日鉄貨50枚』と言っても、いまいちピンと来ないのです。私は、そんなことを覚える前に奴隷にされてしまったし、何より毎日働かされていたから、日にちの感覚ってないんですよね。」

「やっぱりそこから解らないのね。リョウコ、すべての貨幣をもってきてちょうだい。」

「畏まりました。」

リョウコは軽くお辞儀をすると、いったん部屋から退出した。

「ケイコ、まずは、今いる場所がどこなのか解る?」

「この町が『カラン』と呼ばれていることした解りません。」

ヒカリは、苦笑いをして、一旦ソファーを立ち上がると、窓際の机の引き出しから、数枚の地図を取り出して、目の前の机に広げた。そして、指でさしながらケイコに教えていく。

「まずは、一番大きなものから説明していくわよ。まず、私たちが今いる惑星は、『テラフォーリア』と言って、地球がある宇宙空間とは別の空間にある惑星。ここまではいい?」

「はい、」

「それから、初めに言っておくけれど、私たちは、もう二度と地球に還る事は出来ない。」

「それは何故ですか?」

ヒカリの言った事に、驚きを隠せないケイコは、その理由を尋ねた。

「さっきも言ったけど、ここテラフォオリアのある空間と、地球のある空間は、『別の空間』だという事。私たちは、あの日、空間にできた『次元の裂け目』に落ちてこの空間に引き込まれた。この次元の裂け目は、偶然にできるもので、また何時、何処に出来るのかも解らない。たとえできた裂け目に飛び込んでも、元いた時代、場所に帰れる保証は1%もない。故に、『還れない』という結論に達する。

この話はここまでにしておいて、次に移るわよ。今いる場所は、コロラド王国ナリスタリア州の州都『カラン』。ここまではいい?」

「はい。」

”コンコン”とドアをノックする音が聞こえて、リョウコが入ってきた。リョウコは、お盆を机の上に置くと、ヒカリの後ろに控えた。お盆の上には、数種類の硬貨が置かれている。ヒカリは、冷めかけたコーヒーを飲み干すと、一息入れてから次の説明に入った。

「次は、ここで流通している貨幣について説明するわね。ここで流通している貨幣は、この4種類。あと大きな買い物をするときに使う小切手。小切手は、ギルドに口座を持っていないと使えないわよ。まず、単位は『テラ』を使用する。そしてこの貨幣が1テラ。」

ヒカリは、一番左にある1円玉サイズの銅貨を指さした。

「銅貨100枚で鉄貨1枚、鉄貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚になる。つまり、鉄貨1枚が100テラ、銀貨1枚が1万テラ、金貨1枚が100万テラになる。1テラが、日本円で1円だと思ってくれても構わない。ちなみに聞くけど、ドメイクにいくらで買われたの?」

「確か、競り人が100テラって言っていたわね。…てことは、私は、こんなに安く競り落とされたの!」

「…そういうことになるわね。そして、今までただ働きを強制された。多分、ドメイクの屋敷にいた奴隷たちも、あなたと同じくらいの値段で買われていたはずよ。

貨幣についてはここまでにしておいて、次は、『暦』について話をするわね。ここテラフォーリアの1年は、370日。これを12の月に分けている。つまり1ヶ月が30日の月が2回と、31日の月が10回。1月と7月を30日とし、あとの月を31日としている。また、テラフォーリアの地軸が、23度傾いている関係で、1日の昼夜の長さが毎日違うため、春分、秋分、夏至、冬至を定め、冬至の日を1月1日としている。

7日周期で1週間(地球と同じく、日月火水木金土)としたが、休日や祝日は、これと言って定めてなく、それぞれの国によって違う。

1日を24時間で分けており、太陽が中天に来た時を正午とし、午前午後に分けられる。1日の起点は、午前0時になる。たいていの町や村では、午前6時に門が開き、午後6時に門が閉じるため、昼間の時間帯に、1時間おきに鐘が1回づつ鳴る。あと1日3回(午前6時、正午、午後6時)鐘だけは2回鳴る。一応これで説明を終えたけど、理解した?」

「はい、何となく。ちなみに今日は何月何日ですか?」

「今日は、10月25日水曜日、私たちが、テラフォーリアに来たのは、約半年前の2月3日。

…話は変わるけど、もしよければ、今までどんな生活をしていたのか、話してほしいのだけど。嫌ならば、別に話すてくれなくてもいいけど。」

「…、忘れたい思い出だけれども、ヒカリさんが聞いてくれるのならば、話してもいいです。だけど、話した内容は、誰にも教えないでください。」

「分かったわ。あなたの話は、私とリョウコだけの胸の中だけに留めていく。リョウコもいいわね。」

「はい、ヒカリ様の仰せのままにいたします。」

「ありがとう。ヒカリさんたちと別れてた後から、順にお話しいたします。長い話になると思いますが、どうか聞いてください。」

こうして、ケイコが、これまでどう過ごしてきたかを話し始めた。

話の矛盾点を修正しつつ、加筆しています。


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